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部下に好かれすぎた魔王の息子、学校に行ったら部下も教師になっていた!?

作者: 私信
掲載日:2026/04/29

「ブエル。ボク、今日から学校ってところに行くから」


 そう言うと、部下の者たち全員が驚いた。


「ジュニア様! あなたともあろう者が、そんな低俗なところへ……」

「うるさーい! それに、お父さんからは許可は出てるもんね!」

「本当ですか? 先代魔王様?」

「うむ。世間知らずだし、過保護過ぎるおぬしらには任せておられんからな。魔王の器として、少しは年相応の者になってもらう」

「それじゃ、行ってくるね」


 そう言って、ボクはいつもの服にマントを羽織り登校する。


 ――で、どうやって登校すればいいんだろう?

 たしかバッジを着ければいいとか言ってたような……?


 ボクは言われたとおりに学校指定のバッジを胸の辺りに着けた。


 すると、一瞬で魔導学校の中に瞬間移動する。


「おそらく、瞬間移動系の能力者が作った魔道具か……」


 よく量産できたなぁ……と、感心するボク。

 こういう知識はちゃんとあるんだけどなぁ。


 でも、憧れの通学路とかがないのは不満かな。

 学園ものの漫画とかなら定番なのに……。


『魔王ジュニアくん。バッジの反応からして、校内にいるのはわかっています』

「えっ!?」


 これがいわゆるアナウンスってやつか!

 でも、テレパシーの方が便利だと思うんだけど……。


『いまの場所から教室に向かう経路を指示するので、言うとおりにしてください』

「はい!」


 こうして、アナウンス通りに進むボク。


 すると、ボクのクラスの教室の前に到着。


「よし、どんな挨拶にするかな……」


 そんなことを考えていると、自動でドアが開いた。


「ジュニアくん! 編入初日から遅刻とは、感心しませんね」

「あ、すみません。魔王城から出たことなかった……ので」

「自己紹介はしなくていいです。あなたの肩書きを知らない人はいないでしょうから。ですが、先生は贔屓しません。あなたの席は、一番後ろの空いてる席に座りなさい」

「は、はい!」


 ボクは隣に誰もいない席に座る。

 すると、先生から一言。


「そこでいいの?」

「はい。魔王の玉座に慣れてるので、一人の方がいいかなって」

「そうですか……。では、一時間目は魔導書についての授業にします」


 ふぅ……どうやら教科書って本は必要ないみたいだ。


 ボクは羽ペンで魔王城から持ってきた魔導書に内容を書き記す。

 それにしても……


「なーんか、見られてるなぁ……」


 学校だと能力を使ったら怒られそうだし、我慢するか……。


 そして授業が終わると、ボクの席にたくさんの人が集まる。

 これこれ! こういうのがやりたかったんだ!


「お前、ホントに魔王の息子なのか?」

「うん、そうだよ」

「ちっちゃいね。顔も幼いし、本当に同い年?」

「うん。こう見えて十四歳なんだ! チビでごめんね」


 ボクは聞かれたことをすぐに答える。

 それにしても、学校って楽しいなぁ。


「魔王城って魔界にあるの?」

「さぁ? 城から出たことなかったから……」

「部下の人たちってどんな感じ?」

「過保護って感じで、ちょっとウザかった」


 そのほかにも、「一番強い部下は?」とか「どんなもの食べてるの?」とか、色々聞かれた。

 ボクは全部答えたけど、テレパシーを集中させてみると、ボクのことが嫌いな人がいるようだ。

 なので、テレパシーでボクが嫌いだと思ってる人と会話してみる。


『やぁ! キミはボクのどこが嫌い?』

『なんだ? 幻聴か……?』

『違うよ! キミの心に問いかけてるんだよ』

『そうかよ! よし、お前がテレパシーで心を読めることをバラしてやる!』

『うん。やってみて! ボク、友だち作るの夢だったんだ!』

『そうか……。やっぱやめだ! ……お前、変なやつだな』

『うん? そんなことより、キミは友だちになってくれる?』


 テレパシーの会話に夢中になっていると、いつの間にか周囲がうるさくなっていた。


「もう! いま集中してたんだよ!?」

「何にだよ? 目をつむってただけだろ?」

「はぁ……また後にしよう。それより、そろそろ次の授業だね!」

「あ、ホントだ。準備しなくちゃ! じゃあジュニア、また後でな!」

「うん……!」


 名前も知らない子から「また後で」って言われちゃった……。

 こんな簡単に仲良くなれるんだな。ボクびっくりしちゃったよ。


 ――でも、次の授業でさらに驚くことが起きる。


「どーもー! 新米教師のブエルです。理科の教師として、頑張ります!」

「ブエル!?」


 ボクは仰天する。

 なぜならこの教師は、ボクのお世話係のブエル本人だったからだ。


「どうもジュニア様。先代魔王様から、アスモデウスやアンドレアルフスと共に教師にふんして観察しろって命令が……」

ふんせてないよ! ていうか、まずボクにバレバレだし、クラスメイトたちにもバレちゃってるじゃん!」

「くっ、さすがはジュニア様。でも、授業内容は頭に入ってますよ」


 そうか。ブエルは賢いから、案外大丈夫かも。


「ではまず、私の臓器を配ります。脳と心臓以外を指定して、この紙に『ほしい臓器』を書くように! では配りまーす」


 クラス中がどよめく。

 そりゃあそうだ。ボクだって少し引いたんだし、指定する人なんて……


「あの! 性器も対象に入りますかー?」

「……いい質問ですね!」

「いや全然良くない! というか、みんなはこんな人が教師でいいの!?」


 ボクがそう尋ねると……


「別に面白いからいいんじゃね?」

「イケメンだし、わたしは賛成」

「オレはジュニアのツッコミが面白いから賛成かな」


 といった意見が返ってきた。

 ……ていうか、人生で初めてツッコミしたなぁ。

 

 ボクは今日という日を忘れることはないだろう……。

 もちろん、悪い意味で。


「ちなみに、性器は対象に入りません! それと、性器は臓器には入りますが、それは陰……」

「……いや、その説明はいいから! ていうか、いま授業中だよね!?」

「いえ、これはれっきとした授業なので……」

「えっ? そうなんだ……」

「なーんだ、入らないのか。ちょっとがっかりだな……」


 なんでがっかりしてる子がいるんだ……?


 結局、ブエルの思惑どおりに臓器が行き渡る。

 ブエルは再生力が凄まじく、よく盾になっていたようだ。

 だから、臓器をすぐに再生させられたり、回復魔法をよく使ってくれたっけ。


 ……というか、そこは保健室の先生じゃないの!?


「はい。では、その臓器たちがどういう細胞なのかどうかを……」


 なんかまともに授業っぽいことしてる……。


 だけど、ボクにはツッコミどころが多すぎたせいか、集中できなかった。


「はーい、ではこれで授業を終わります! ありがとうございました!」

「「「ありがとうございました! ブエル先生!」」」


 ボク以外の全員がブエルに礼を言う。


 どうやらまともなのはボクだけのようだ。

 それとも、ボクが世間知らずなだけで、臓器を取り出したりするのって普通なのかな?



「おいジュニア!」

「な、なにかな?」

「お前の部下の人ってユニークだな!」

「ワタシはブエルさんいいなって思っちゃった」

「ん? ブエルが羨ましいの?」


 何がいいんだろう?


「ところでよ、アスモデウス……さんってどんな人?」

「アスモっちは……そうだな、恋愛マスターだよ」

「ってことは女性?」

「うん。いつもなぜか下着みたいな格好してるから、寒くて風邪引きそうなのが心配で、昔は毎回『服着なよ』って言ってた」

「マジかー!」


 何故かテンションを上げる男子たち。

 その男子たちを残念な顔で見る女子たち。

 どうかしたんだろうか?


 ていうか、アスモっちはよくブエルに「不潔女」って言われてるけど、さすがに中学校だし大丈夫だよね?


「でも、女の子の方に人気が出るかもしれないよ。なんせ恋愛マスターだからね!」

「綺麗な人なの?」

「うん。色欲操作っていう能力を持ってるんだって。よくわからないけど、ブエルにはいつも手で目隠しされてた」

「へ、へぇー……」

「だから実際にはボクもよく知らないんだよね。ちょっとブエルに訊いてみる」

「え? どうやって?」

「テレパシー。集中するから、待ってて!」


 こうして、ボクはテレパシーを使う。

 それにしても、ブエルとアンドレっちとアスモっち以外は来てないだろうな……?


『ブエル! アスモっちって担当教科はなんなの?』

『ジュニア様! お疲れのところ……』

『いやそんなことどうでもいいからさ、アンドレっちとアスモっちは何やってるの?』

『アンドレアルフスは知りませんが、不潔女は……保健室の教師だったかと』

『なんで回復魔法が使えるブエルじゃないの?』

『それが……あの女、教養がないので……』

『……どういう意味?』

『頭が悪いので、保健室の先生になったようです』

『そっか、サンキュー! じゃあね』

『あっ、ジュニア様! 待っ――』


 よし、テレパシー完了!

 

「アスモっちは保健室の先生らしいよ」

「よーし、次の授業が終わったら、みんなで見にいこうぜ!」

「「「おー!」」」


 そんなことを話していると、孔雀が教室に入ってくる。


「あ、孔雀だ……」

「でっけー!」

「わたし、生で見たの初めてかも!」


 ていうか、この孔雀……

 絶対あいつでしょ……。


 クラスメイトが近づくと、孔雀が羽を広げて、人間の姿に変貌する。


「フィーバ――!!」

「うわっ!?」

「人!?」


 やっぱりアンドレっちだったか。


 というか、なんでアンドレっちはいつも孔雀の姿で登場するんだろう?

 おかげでボクにはバレバレなんだけど……。


「ジュニア様、お久しぶりです。ミーは数学の教師としてやってきたので、そのつもりで」

「あ、うん……」

「では、自習とします! わからないところがあったら、ミーに聞くように!」


 いきなり自習なんだ……


「はい! 先生!」

「なんだ? そこの小僧?!」

「先生の名前を教えてください!」

「おっと、そうだったな。ミーはアンドレアルフス。ジュニア様からはアンドレっちと呼ばれている。ちなみに、魔王軍の中では一番頭が……」

「アンドレ先生、ここがわからないんですが……」

「どこだ?」


 アンドレっちは女生徒に近づく。

 

 アンドレっちは顔はいいけど、その代わりに性格が変わってるんだよな。

 まあいいけど。

 ボクはおとなしく自習していよう。


「なんだ? そんなこともわからんのか?」

「は、はい……」

「ここはまず代入して……」

「はぁ……」


 あの子、アンドレっちの方見てるけど、どうかしたのかな?


「なんだ小娘? ミーの美貌に夢中か?」

「は、はい!」

「はっ! それなら、問題を解けたら褒美をやろう。男子には、さっき話していた保健室とやらに行っていいよう許可をとってやる! いずれ最高幹部になるのは、このミーだ!」

「「「はい!!」」」


 クラスメイトが一致団結する。


 もしかしたら、アンドレっちが一番教師に向いてるのかもしれない。


「お、終わりました!」

「そうか……褒美を与える」


 そう言って、アンドレっちは頭をポンポンと軽く撫でた。

 

 でも、なんか意味あるのかな?

 うーん、わからん。


「アンドレっち」

「なんでございますか? ジュニア様」

「ボクに対してのご褒美は?」

「あー……」

「考えてなかったんだね……」


 アンドレっちは案外抜けてるから、たまにこういうところがある。


「じゃあ、ミーの羽毛で作った枕でもあげましょうか?」

「いらないよ!」

「先生! できました!」

「あたしも!」

「オレも!」


 次々と挙手をするクラスメイトたち。

 

「はっはっは、教師ってのは楽しいな」

「というか、目的忘れてない……?」

「心配ご無用! ミーは少し抜けているところを除けば完璧な頭脳を持っていますので!」

「それより先生! はやく来て!」

「わかったわかった」


 こんなふうに、授業は自習だけど、生徒には人気だったアンドレっち。


「じゃあ、そろそろ疲れたから自習終了! 自由にしていいぞ。ただし、ミーの許可なく教室は出ないように」

「「「はい!」」」


 アンドレっちが休んでいると、クラスメイトたちが質問しに行く。


「アンドレ先生! 付き合ってる人はいますか?」

「いない」

「異性のタイプを教えてください」

「雌の孔雀……というのは冗談で、ミーより美しい人だ」

「一瞬びっくりした! あはは!」

「先生おもしれーな!」


 なんか、男女問わず人気あるなぁ……。

 そう考えていると、チャイムが鳴る。


「おっと、それでは小僧に小娘ども、また今度な」

「「「ありがとうございました! アンドレ先生!!」」」

「うむ」


 クラスメイト全員がアンドレっちに礼を言い、アンドレっちは教室を出て行った。


 そして、再びボクの席にクラスメイトが集まる。


「アンドレ先生かっこよかったねー」

「ねー」

「え? アンドレっち、性格悪くない?」

「そこがまたいいというか……」

「……うーん、よくわからない」


 でも、魔王城で孤独だったアンドレっちからしたら、嬉しい言葉だろうな。


「それより、アスモデウス先生見に行こうぜ!」

「あっ、そうだね」

「あたしたちも行こうかな。ジュニアくんの家族って面白いから!」


 家族か……。

 たしかに、言われてみれば家族みたいなものかもしれない。


 こうして、ボクたちは保健室へと向かう。

 すると、アスモっちがいた。

 しかも服を着ている!


「あ、ジュニア様……」

「おお、アスモっち! 服着たんだね!」

「はい。少し暑いですけどね」


 そういえば、アスモっちはボクの前だとしっかり者のお姉さんキャラだったな。

 よかった、変なことが起きなくて。


「それより、なんの用ですか?」

「クラスメイトが会いたいって言うから……」

「どーも!」

「お邪魔してます!」

「ふふっ……可愛い子たちね」


 なんか、いつもと雰囲気が違うな。

 いつもは色っぽく話してたけど、服を着てるせいなのかな?


「なあジュニア」

「な、なに?」

「あの先生、おっぱいでけーな」

「そう? 胸なんてどうでもよくない?」

「おっ、ジュニアは貧乳派か?」

「いや、そうじゃなくて……」


 なんなんだこの会話は……。

 でも、なんだか中学生っぽい会話かも。


「それよりアスモっち先生! 恋愛マスターなんですよね?」

「ええ。色欲操作が昔からできたから、小さい頃に魔王軍にスカウトされた過去とか、もしかして聞きたい?」

「「「はい!」」」


 女子が声を揃える。


「ていうかなにそれ? ボク、初耳なんだけど」

「ジュニア様にはこういう話はするなって、ブエルがね……」

「あぁ……」


 ブエルは堅いからなぁ。


「ブエル先生とはどういう関係ですか?」

「同僚かしら」

「好きなタイプは?」

「色欲操作が効かない人」

「スカウトされたのはいつですか?」

「十一歳」

「告白のやり方を教えてください」

「普通にすればいいんじゃないかしら? 個性が出るし、そういうところは重要よ。あっ、そうだ! 告白したくするように、魔法をかけてあげる」


 なんか……普通だな。


 アスモっちは危険だって思ってたけど、杞憂だったかな。


「それじゃあ昼休みにまた来るね!」

「はい、ジュニア様。お気をつけて」

「さよなら、アスモっち先生!」

「ええ」


 そうして教室に向かっていると、みんな突然頭を抱え始めた。


「うう……」

「なになに!? どうしたの?」


 ボクは女生徒に近づく。


「す……」

「す?」

「……あなたじゃない!」


 そう言って、女生徒は走っていった。


「ふふ、さっき軽く色欲操作してみたの。まあ、対象は一人にするつもりだったけど、みんなにかかっちゃって、わたしも焦ってるわ……」

「アスモっち、焦ってる場合じゃなくない!? 学校全体で事件になるよ!?」

「だ、大丈夫大丈夫。誰かに告白したくなる程度に抑えたから」

「そっか……」


 それでも、学校全体で告白事件が起きてしまうだろうな……。


「あーでも、わたしの色欲操作は時間と共に増幅するから、放っておくとまずいかも」

「えっ!?」


 そんな話をしていると、女の子が話しかけてきた。

 

「ジュニアくん、初めて会ったときからかっこいいと思ってました! 付き合ってください!」

「あ、あの……付き合うってなに? どこか行きたいの?」

「相変わらずね……ジュニア様」


 色欲操作か……。まずはみんなを助けないと……!

 

「アスモっち。色欲操作って、解けるの?」

「直接見るか話しかければかけられるけど、解くのはわたしが直接触らないと……」

「なら、ボクに教えて!」

「え?」

「ボク、物真似が上手いらしいんだ! 色欲操作って、どういう原理?」

「えーと、欲望を増幅させる感じかしら? 心の中に語りかけるイメージで」

「わかった!」


 無関係な人たちをボクのせいで巻き込んだんだ!

 ボクが全員助ける!


 テレパシーと色欲操作の特性を使えば……!


「範囲拡大! テレパシー、フルパワー!!」

「ジュニア様! あなたって人は……」


 よし、テレパシーは学校全体へ拡大した。

 あとは色欲操作を真似るだけだ。


『キミたちの起きている欲望を、もう一度眠らせよう。ただし! これはきっかけさえあればまた開く「錠前」のようなものだ。いくよ……スリー、ツー、ワン……はい! これでキミたちの暴走した欲は再度眠りについたよ』


 そうテレパシーを送ると、暴走していたクラスメイトたちが倒れていく。


「さすが現魔王様!」

「ふふん! で、これホントに大丈夫なの?」

「はい。倒れるのは自分の欲が打ち消しあってる証拠ですので」

「そっか」


 アスモっちと話していると、ブエルやアンドレっちもやってくる。


「アスモデウスー! またお前か!!」

「フィーバ――! アスモデウス先輩、勘弁してくださいよ! ミーの生徒たちも気絶しちゃったんすけど」

「「えっ!?」」


 予想外の事態に、驚くボクとアスモっち。


「アンドレっち、詳しく教えて!」

「ミーが授業していたら、突然倒れたんですよ」

「それたぶん、わたしのせいじゃなくて……」

「あー、ボクのせいだね」

「「えっ!?」」


 驚く二人に事情を説明する。


「色欲操作を真似して、起きてる欲を眠らせたんだ。でも、ボク『色欲』ってよくわからないから、とりあえず起きてる欲を全部眠らせたんだ……」

「つまり、勉強したい欲とか、好意とか、そういうのも眠らせてしまった可能性があると」

「うん……」

「え? じゃあ、ミーの生徒たちは、勉強したくなるまで勉強しなくなるんですか?」

「うん、多分……」

「さすがです、ジュニア様! また一つ、強くなられましたね!!」

「あ、そうだね! プラス思考でいこっか!」


 感心するアスモっちとブエルをよそに、アンドレっちはすごく凹んでいた。

 

 そんなとき、校内にアナウンスが流れる。


『現在、生徒の大半が気を失っています。原因は不明、意識がある生徒は保健室へ運ぶよう、お願いします』


 そんなアナウンスに対し、冷や汗をかきまくるボク。


「……ボク、早退しよっかな!」

「……ですね」

「……だな」

「嗚呼、ミーに向いた仕事だったのに……」


 こうして、ボクはみんなと一緒に魔王城に瞬間移動する。


「ジュニアよ、どうだった?」

「楽しかったけど、やっぱり我が家が一番かな」

「……そうか」


 そう強がるボク。

 ホントは、もっと居たかったなぁ……。

 でも、ボクは魔王だ。


 ……だから、今度はみんなに内緒で登校しようかな。


 でももし部下の誰かが来たがったとしても、また事件を起こしそうだし来ないでほしいなぁ……。

 

 それから翌日学校に行くと、案の定事件扱いされていた。


「よう、ジュニア! 集団気絶事件、大変だったなー!」

「昨日は逃げてごめん」

「いいってことよ! アスモっち先生のせいだったんだろ?」

「それより、今度は誰が来るんだ?」


 そんなクラスメイトの発言に背筋を凍らせながらも、誤魔化すボク。


「今日は……どうだろうね?」


 今日は来てないよね? 

 そう不安になるくらい、部下たちは油断ならないからなぁ。

 

 そんなことを考えながら、ボクは今日も魔導書を開く。


「どーもー! 理科担当のブエルです! 今日の授業は……」

「って、また来てるし!?」


 ボクの学校生活は、部下との思い出づくりの場所になりそうだ。

 だけど、そんなふうに賑やかでもいいかもしれない。


 なんたって、ボクのことを見てくれる人が、ここにはたくさんいるのだから。

次回、「魔王の息子、恋をする」

※そんな予定はありません。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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