女子会
画面に映し出されているのは、縞の合羽に三度笠、その姿4人の渡世人が街道を進んで行く。一列で進むその最後尾がリン太だ。あいつは何をやっているのだ。少し目を離すとこれだ。面白い。
マリーの目に輝きが戻ってきた。
「情報部のリン太の担当を呼べ」
小脇に資料を抱えた女性が執務室に入ってきた。
「情報部アメリヤ、呼ばれて参りました」
「リン太の担当はアメリヤだったか。それでリン太たちは何故このような姿で旅をしているのだ。簡単でいいから説明してくれ」
アメリヤは、日誌のようなものを机に広げて説明した。
違法薬物である違法魔性丹を売っていた本家結城組と言う腐れヤクザが、アラジ市を拠点に活動していた。そのヤクザの後始末とその後の調査でリン太たちはミリアム市に移動している最中である。
「ふむ。そこまでは分かった。でも何故、渡世人の恰好なんだ?」
「リン太の部下の中に里美という少女がいまして、その子の発案のようです。時代劇というものの真似をして楽しんでいるのです。この調査はゴーラ&リン㈱の社員旅行も兼ねているようです」
マリーは「私もついて行きたい」と羨ましく思った。
「アメリヤ、これをどう思う?」
「言葉を選ばずに申し上げますと、アホみたいです」
「・・・」
普通そうだろう。アメリヤの意見は一般的だ。でもマリーは少し寂しい思いをした。
「でも、そこが良いと思います。初めてこれを見た時は驚きました。そして彼らの自由な考えと行動が羨ましく思いました」
マリーはその一言で嬉しくなった。アメリヤはランスと結婚する。孫の嫁のようなものだ。既に家族だ。本音で話しても支障はないだろう。
「そうだろう。私も同じ思いだ。見ているだけでも楽しい。アメリヤは私と気が合うようだ。これからは女子会をちょくちょくやろう」
「はい、領主様」
「領主様はかたいな。これからはマリー様と呼べ」
「分りました。マリー様」
「よし、いいぞ」
お茶のお代わりを飲みながらマリーとアメリヤは推しの話に花を咲かせた。
アメリヤの推しは、リン太の部下の里美だ。分る気がする。里美はカッコいい。
里美はリン太と同じゴブリン村出身の11歳の女の子だ。だが、既に9人の手下を従えている。軍隊で言えば、分隊長である。彼女は魔力も高く、利発で我儘で容赦がない。その上とても可愛い。鬼人の女の子は美人が多いようだ。
今回の渡世人姿の発案者も彼女で、やりたい事は、機を逃さず実行する。
アメリヤが話す彼女の行動はとても魅力的だった。
マリーは里美を第二の推しにと考えた。




