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ダンジョン プロジェクト1

 人族の本能についての研究結果は、戦争はなくならないだ。外敵がいなくなっても人族は次の敵を探し出し、それと争う。それが人族どうしであっても。


 何度も戦争を仕掛けて来る人族の好戦的な本能を抑えるため、戦える環境を提供する。

 それがダンジョン プロジェクト。

 魔王国とメシヤ国の国境に密かにダンジョンを出現させる。

 初期投資に必要なダンジョン核作成の魔力は魔王様にお願いする。

 維持に必要な魔力は、ダンジョン攻略に来る冒険者たちを適当に間引いてその躯を魔力の糧にする。またダンジョン核により生み出された魔物は、冒険者に討伐されると魔素に帰り、それもまたダンジョン核に吸収される。餌となる宝物やアイテムは多少必要になるが、これも死んだ冒険者から回収すれば少ない費用ですむ。

 これで半永久機関の完成だ。溜まり過ぎた魔力はスタンビードを発生させ、人族の国メシヤに放たれる。人族の騎士や兵士を間引くことになる。生き残った人族は勝利の喜びを得られる。

 最初のダンジョンは国境付近に出現させ、その後はメシヤ国内にも少しずつ出現させる。当然魔王国内にも出現させる。

 勿論、魔王国内に出現させるダンジョンは偽物だ。魔族にとって保養施設的なものにする。偽装としては、1階から3階層までは普通のダンジョンにする。4階層からは温泉、海水浴、スキー場など娯楽施設とする。

 メシヤ国内に作るダンジョンも100階層以上は娯楽施設にする。人族が辿り着くことができるかは疑問だ。しかし人族には勇者が生まれるから100年に一度は可能だろう。


「どうでしょう。魔王様、このダンジョン プロジェクト、賛同頂けますか」

「面白い。やってみろ」

 公爵の叔父に当たる魔王様は即答した。

 魔王の了承を得た彼女は、魔王国国土交通省及び魔法省から必要な人材をかき集めて、いったんゴーラ市に戻る。


 屋敷に戻って直ぐに、主要幹部だけを集めて会議を開く。この事業は国家機密だ。

「この計画をDP0と呼称する。言うまでもなく呼称事態、機密事項だ。この場にいる者以外に漏らすな」

 国務部長が恐れながらと発言する。

「領主様、計画の内容は理解できました。人材も魔王様から寄こして頂いた者たちで十分かと思います。我々がやるべき事は、その者たちの支援でよろしいのですか」

「その通りだ。支援は生活支援から始まり、護衛、警備、運送等々多岐にわたる。先にも言った通り、これは機密だ。支援に関しても秘密の要素が多分に含まれる。秘密保全には気を配るように」

「承知しました」

 そうしてDP0は始まった。


 10日程の後、情報部から報告が届く。

「メシヤ国との国境付近の砂漠で数十人の怪しい者たちが活動しています。何かの調査のようです」

「了解した。引き続き監視しろ」

 情報部長はDP0について知っているが、情報部の部員たちには伏せておくよう指示している。秘密保全のためだ。そして、通常の情報収集業務として取り扱うためだ。

 それが、情報部によりダンジョンだと認定された時点で、国内外に発表する計画だ。半年後を予想している。

 マリーは、ダンジョンがどの様に作られていくのか興味がある。是非にでも見学したいと思う。

 しかし、領主であり公爵のマリーが、国境付近へ出歩くのは非常にまずい。そこに何かがあるのだと言っているようなものだ。

 それで、現地に行くのは諦め、カラスの式神による映像を見ることにした。

 しかし、ここ数日、荒野が映し出されているだけだ。何の変化もない。

 彼女は小さく「つまらない」と呟くと、傍らに控えていた執事に指示を出す。

「国務部長を呼べ」

「承知しました」

 執事のセバスが退室して、暫くすると国務部長のゴンザレスが来た。

「呼ばれて参りました」

「国務部長、DP0はどうなっている」

「はっ、今は環境調査が終わり、魔核に対してプログラミング作業中です。これが5カ月程の時間がかかり、それが完成すれば、スイッチ一つでダンジョンが一瞬で出現するそうです」

「何と凄いものだ。だがそれまでは見た目は砂漠のままなのだな」

「その通りです。私も初めて知ったときは驚きました。これで秘密保全も容易です」

「分った、下がっていい」

 何とつまらないものだ。マリーの心からいっぺんに興味が失せた。

 仕事をする気もなくなった彼女は、また推しの行動を覗くことにした。

 執務机にあるモニターのスイッチを入れる。

「何だこれは」


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