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000:アーンレイム帝国から見た地球の感想

作者: 朝倉新五郎

これは「アーンレイム帝国」という異世界の帝国が地球の「今」を見た時の感想です。

「アーンレイム帝国」はファンタジー世界であり、魔法文明世界の一国であり、秩序と法を重んじる、この世界の最強国家です。

北大陸と南大陸に分かれており、北大陸は国家乱立状態で魔獣と魔法のある「地球の産業革命前」程度の文明。

南大陸には「アーンレイム帝国」しかなく、北大陸とは隔絶しており、魔法と科学の文明国で、国の外には魔獣の渦巻く危険地帯。皇帝は血統ではなく、推薦と「選帝王」による選挙で決まります。

「選帝王」は「初代選帝王」とその血統を継ぐ「選帝王」が居り、皇帝を決めるのは「初代選帝王」11人です。彼らは400年前の北大陸最強の冒険者達であり、そのうち二人は形而上存在です。

では、まいりましょう。

000:アーンレイム帝国から見た地球の感想


■第一章:全体の評価

帝国歴327年のアーンレイム帝国は「観測する文明」です。

干渉も評価もするが、感情で世界を断罪しない。

その視点で、現代地球を“完全ライブ中継(全番組・全ネット情報)”として見た場合の反応を書き分けます。


Ⅰ.皇帝の感想

(第8代皇帝リーアムの視点を含む)

第一声

「……なるほど。“まだ”文明だな」

侮蔑ではありません。

到達段階の確認です。


皇帝が最初に気づくのは三点。


① 技術水準ではなく「意思決定の遅さ」

医療技術は高い

食料生産力も十分

情報流通速度は異常に速い

それでも――救える命を救わない判断が頻発している。

皇帝はここで、帝国と地球の最大の違いを確認します。


「技術が足りないのではない、決断主体が多すぎる」


② 国家という枠組みへの違和感

国境、主権、選挙、世論、支持率。

それらが生存判断を遅らせるノイズになっていることを、皇帝は静かに理解します。

「これは…“文明”ではあるが“種の運営”ではないな」


③ それでも「滅ぼす価値はない」と即断する

重要なのはここです。

皇帝は地球を見て、

「愚かだ」とも「救うべきだ」とも言わない。

ただこう結論します。

「彼らは、まだ自分たちで滅びる自由を持っている」

――そしてそれを、尊重する。


Ⅱ.王たち(選帝王・属王)の感想

王たちは皇帝より感情的です。

だが、それでも帝国の王です。

多くの王が同時に抱く感想

「なぜ戦争が終わらない?」

「なぜ飢えが政治の道具になる?」

「なぜ嘘が制度として存在する?」

特に驚かれるのは――“正しさが多数決で決まる”という仕組み。

「意見の多さが、正解の保証になると思っているのか?」


一部の若い王は言います。

「介入すれば、すぐ良くなるのでは?」

だが年長の王が即座に否定する。

「いや介入した瞬間彼らは“自分で選ばなくなる”」

王たちは理解します。

地球は、帝国の保護対象ではなく、観測対象だと。


Ⅲ.学者・技術者層の感想

ここが最も評価が高い。

学者たちの第一反応

「美しい混沌だ」

科学と迷信が共存している

理論と感情が衝突している

無駄な研究、失敗、論争が膨大


しかしそれこそが――“未整理な知性の熱”。


帝国学者は言います。

「これは、我々が失った段階だ」

帝国は効率化しすぎた。

地球には、まだ無意味な挑戦が許されている。


それは、

ある意味で羨望です。


Ⅳ.商人・経済層の感想

率直です。

「……非効率すぎる」

中間業者の多さ

投機で壊れる生活

意図的に作られる不足

ただし次に来る言葉が重要。

「だが“物語”はよく売れる世界だ」

地球の商業は、

ブランド

感情

承認欲求

で動いている。

帝国商人は理解します。


「この文明は理性ではなく物語で回っている」


Ⅴ.庶民(帝国民)の感想

最も静かで、最も残酷です。

初期反応

「忙しそう」

「ずっと怒ってない?」

「休まないの?」


帝国民は、

労働時間が管理され

医療も住居も保証され

飢えも恐怖も日常にない


だからこそ、

地球のニュースを見てこう言う。

「……あれ、楽しいのかな」

同情ではありません。

純粋な疑問です。


ある帝国民の言葉が象徴的です。

「選べるのにずっと苦しい選択をしている世界だね」


Ⅵ.帝国全体としての最終評価

帝国歴327年のアーンレイムが下す結論は、

驚くほど簡潔です。


「地球は、観測を続けるに値する文明である」

滅ぼす必要はない

救う義務もない

ただし、無視もしない

そして密かに、

長老会の議事録にはこう残されます。


「もし彼らが自ら“出口”を探し始めたとき港は、開け」


帝国は今日も完成しない。

完成しないからこそ、

他文明の“未完成”を見捨てない。


それが、

アーンレイム帝国です。


■第二章:全体の評価

帝国歴三二七年のアーンレイム帝国の人々が、現代地球のライブ中継やインターネットを観測した場合、その反応は「驚愕」や「羨望」ではなく、むしろ**「深い同情」と「技術的な稚拙さへの困惑」、そして「社会的な危うさへの恐怖」**が入り混じったものになるでしょう。


彼らの目には、現代地球は「極めて高い知性を持ちながら、精神性が幼年期に留まっている、自己破滅的な文明」と映ります。


1.皇帝・初代選帝王・密議院の視点

「未完成なゆりかごの中で、火遊びをしている子供たち」


資源管理の失敗: 「なぜ、地殻から掘り出した有限の化石燃料(石油)や、不安定な核分裂を主なエネルギー源にしているのか?」と呆れます。帝国では魔素安定化装置による無限のクリーンエネルギーが当たり前であるため、地球の資源争奪戦を「原始的で非合理な自虐行為」と見なします。


情報の混沌: ネット上のフェイクニュースや誹謗中傷、分断を見て、選帝王たちは眉をひそめます。「レイマンス(セリアン族)のような『真実の記録者』を持たない文明は、これほどまでに情報の海で溺れるのか」と、歴史の記述と知の管理の重要性を再確認します。


結論: 「救済の対象としては余りに複雑。もし北大陸がこうなれば、予定より早く別恒星系への移転を検討すべきだ」という、冷徹な統治判断を下します。


2.十一王国の王・貴族・知識人の視点

「理論は優れているが、実装が絶望的に歪んでいる」


科学技術への評価: 地球の量子力学や宇宙物理学の「数式」には高い評価を与えます。しかし、それを「重力制御」や「次元操作」に応用できず、依然として巨大な爆発ロケットで宇宙へ行こうとする力業を「非効率な情熱」として興味深く観察します。


所得格差と制度への疑問: 土地が私有され、住む場所を追われる人々がいる一方で、一部の富裕層が天文学的な富を持つ地球の構造に驚きます。「なぜ全土の土地を公有化し、最低限の生活を保障しないのか。これでは暴動が起きるのが道理だ」と、帝国の半レンティア福祉国家としての正しさを確信します。


3.アーンレイム帝国庶民の視点

「色彩豊かで賑やかだが、あまりに過酷な地獄」


労働に対する恐怖: 地球の「満員電車」や「残業」のライブ映像は、帝国市民にとって最大のホラー映像です。一日の大半を生存のための労働ライスワークに費やす地球人の姿は、帝国の「自己実現のための労働」に慣れた彼らには「奴隷制度」の変種にしか見えません。


エンターテインメントへの関心: 唯一、地球の映画、アニメ、ゲーム、そして多様な食文化には熱狂します。「これほど苦しい世界だからこそ、これほどまでに美しい妄想コンテンツが生まれるのか」と、地球人の創造性には敬意を払います。


SNSの観察: 「なぜこの人々は、会ったこともない他人の言葉でこれほど傷ついているのか?」と困惑します。帝国の精神教育では、個の確立と公共の福祉が両立しているため、地球の集団心理を「集団感染症の一種」のように捉えます。


4.全階層共通の感想:

「この星(地球)には、ピアッツアもサウエもスウェックもいないのだ」


帝国市民は、地球の凄惨なニュースや紛争を見て、改めて自分たちの世界の「設計者(絶対者)」の存在に感謝します。


理性の欠如: 地球には、腐敗すれば即座に入れ替えられる君主も、魔素を浄化して魔獣を消し去る装置もありません。その剥き出しの自然と、制御不能な人間の欲望が支配する世界を、彼らは「セーフティネットのない綱渡り」のように感じ、画面越しに手に汗を握ります。


結末:帝国市民の総意

ライブ中継を一通り見た後、アーンレイム帝国の広場で語られる感想はおそらくこうです。


「地球の食べ物は美味しそうだし、彼らの描く物語は素晴らしい。……でも、あんなに時間の長い(一日の感覚が違う)場所で、あんなに不自由な身体と制度で生きていくなんて、僕たちには到底耐えられない。彼らが自滅する前に、せめて何人かの芸術家だけでも港国へ招待してあげられないだろうか?」


彼らは地球を「ライバル」や「脅威」とは思わず、**「保護されるべきだが、あまりに手がかかる絶滅危惧種」**のように見守ることでしょう。


■第三章:対立の考え方

アーンレイム帝国の者達は地球の「宗教対立」「民族対立」「国家間紛争」を見てどのような感想を持つのか


結論から言います。


**アーンレイム帝国の者達は、地球の「宗教対立」「民族対立」「国家間紛争」を“恐怖”でも“怒り”でもなく――**「構造的未成熟の兆候」として受け取ります。


感情は動く。

だが、帝国民はそこに「敵意」を見出さない。


以下、立場別に書きます。


Ⅰ.皇帝の感想

(帝国歴327年・第8代皇帝)

最初に皇帝が確認するのは**原因ではなく「保存性」**です。

宗教対立を見て

「……まだ“神”を意思決定主体にしているのか」

皇帝は信仰そのものを否定しません。

帝国にも宗教は存在します。


だが地球では、

神の解釈が政治を決め

教義が法を上書きし

反証不能な言葉が武器になる

それを見て皇帝はこう記録します。


「価値判断を検証不能な存在に委ねた文明は内部崩壊を繰り返す」


民族対立を見て


「分類が、運命になっている」


皇帝にとって民族は「記述情報」です。

地球ではそれが行動制限条件になっている。


「出生属性を刑罰や特権の理由にしている時点で統治は破綻している」


国家間紛争を見て


「まだ“地図”を守るために人を殺す段階か」


皇帝はここで、帝国が戦争に口出ししない理由を再確認します。


「これは介入すれば悪化する段階だ」


Ⅱ.選帝王・王達の感想


王達は皇帝よりも人間的です。

宗教対立への反応

「同じ神を信じているのに殺し合うのか」

「いや、神を口実にしているだけだな」

多くの王はここで怒りよりも困惑を覚えます。


「信仰が人を守らず統治の免罪符になっている」


民族対立への反応

王達は帝国内の多種族統治を思い出します。


「帝国では能力と役割が身分を決める。出自ではない」


だから地球の映像を見て、ある王はぽつりと言います。


「……これでは反乱が“正義”になってしまう」


国家間紛争への反応

「戦争の目的が途中で変わっている」


王達は気づきます。


最初は防衛

次は報復

最後は面子


「これは、勝っても終わらない戦争だ」


Ⅲ.学者・思想家層の感想

彼らは感情よりも分析です。


宗教対立について

「宗教が原因ではない、宗教は“保存装置”だ」


帝国学者はこう整理します。


不満

恐怖

不平等


それを宗教が固定化している。


「宗教は対立を生むのではなく対立を長期保存する」


民族対立について


「分類学が政治化している」


学者は危険信号として見ます。


「可変な文化属性を不変の本質と誤認している」


国家間紛争について


「国家は生存装置からアイデンティティ装置に変質している」


帝国的には、国家は生存を管理する道具でしかありません。


Ⅳ.軍人・治安担当者の感想


最も冷静で、最も残酷です。

「非効率」

戦線が長すぎる

目的が曖昧

兵士の消耗が無駄

ある帝国軍人の言葉。


「この戦争は兵士を使い捨てること自体が目的になっている」


ヒューイ派の軍人は特に強く反応します。


「戦えない者の代わりに戦う。それが兵士だ。だが、これは違う」


Ⅴ.庶民(帝国民)の感想

最も静かで、最も本質的です。


宗教対立を見て

「信じるものがあるのはいいね。でも……なんで殴るの?」


民族対立を見て

「生まれた場所で嫌われるのはつらそう」


国家間紛争を見て

「話せばいいのに……話せないのかな」


帝国民はここで、地球の最大の不幸に気づきます。


「あの人たち休めないんだ」


Ⅵ.帝国の最終的な総意


帝国が地球の対立構造を見て下す結論は、

驚くほど非難がありません。


「これは悪ではない“段階”だ」


宗教対立=意味を失う恐怖への反応


民族対立=資源不足時代の名残


国家間紛争=統治技術の未成熟


そして、密議院の補足。


「もし彼らが対立を“恥”として語り始めたなら文明は次に進む」


帝国は裁かない。

帝国は笑わない。

帝国は介入しない。


ただ、記録する。


それがアーンレイム帝国の文明観です。


■第四章:対立の考え方

帝国歴三二七年のアーンレイム帝国の人々にとって、現代地球の「宗教対立」「民族対立」「国家間紛争」は、もはや**「歴史の教科書の中に閉じ込めたはずの、克服済みの病理」**が目の前で再発しているような、おぞましくも悲劇的な光景に映ります。


彼らの感想は、怒りよりも「なぜ、そんな簡単な道理が解らないのか」という、深い当惑に近いものです。


1.「宗教対立」に対する感想

「定義できない『神』のために、実在する『隣人』を殺す不条理」


帝国には、大地母神エンドエラ教をはじめとする信仰は存在しますが、アーンレイム本国では「神」とは感謝の対象であり、政治や法を縛るものではありません。


本質への疑問: 「神が絶対であるなら、なぜ隣の神を信じる者を救う慈悲を持たないのか?」と、地球の排他的な一神教の対立に首を傾げます。


知性の欠如: 帝国市民にとって、魔導科学や魔素の法則こそが「世界の仕組み」であり、それを神格化して殺し合うのは、数学の解釈の違いで殺し合うのと同じくらい滑稽で知性がないことだと見なします。


エンドエラ法国との比較: 「北大陸のエンドエラ法国の方が、まだ神の教えに従って土地を耕している分、地球の宗教戦争よりは理性的だ」とさえ評されます。


2.「民族対立」に対する感想

「共通の『敵(魔獣)』がいないゆえの、内向きの残酷さ」


帝国にはセリアン族、アルネス族、人間種などが共生していますが、それらは「種族の特性」として尊重されるものであり、優劣の対象ではありません。


連帯感の欠如: 帝国市民は、外側に「魔獣(捕食者)」という共通の脅威がある世界で結束してきました。地球の民族対立を見て、「地球には人間を脅かす捕食者がいないから、自分たちの中で敵を作らないと精神の均衡が保てないのか」と、地球人の精神的な幼さを憐れみます。


「個」の未発達: 「肌の色や祖先という、自分では選べない属性に執着して、個人の価値を見失うのは、文明がまだ初期段階にある証拠だ」と断じます。


3.「国家間紛争」に対する感想

「土地の『私有』が生み出す、終わりなき領土欲」


アーンレイム帝国が最も理解しがたく、かつ軽蔑するのが、土地や資源を奪い合う国家間の戦争です。


土地公有制の優越: 帝国は「土地は全て国家(公)のもの」という大原則で平和を維持しています。地球の紛争が、地権や国境線という「線」に固執しているのを見て、「土地を個人の持ち物にするから、その奪い合いが起きる。地球人はまだ『所有』の呪縛から逃れられていない」と分析します。


資源移転技術との対比: 「他惑星から資源を持ってこられる技術(あるいはその発想)があれば、小さな地球の中で石油や希少金属を奪い合う必要などないのに」と、技術的・精神的解決策を持たない地球の政治指導者の無能さに呆れます。


4.全階層に共通する「恐怖」と「警告」

彼らがライブ中継を見終わった後、必ず口にする言葉があります。


「彼らは、自分たちの椅子(惑星)を燃やして、その火で暖を取っている」


自己破滅への危惧: 核兵器による抑止力という概念を、「一歩間違えれば自分たちのゆりかごを粉砕する、狂人の論理」と呼びます。サウエやピアッツアのような絶対的な抑止力(調停者)を持たない地球人が、その破壊的な力をコントロールできているとは到底信じられません。


北大陸への視線: 帝国の人々は地球の惨状を見て、改めて「北大陸をこうしてはならない」と強く思います。北大陸にパンを与え、疫病を消すのは、彼らが地球のような「歪な自滅」の道へ転がり落ちるのを防ぐためであると、帝国の政策の正しさを再認識します。


結論

アーンレイム帝国の人々にとって、現代地球の紛争は**「救いようのない喜劇」であり、同時に「自分たちも一歩間違えれば歩んでいたかもしれない、暗い鏡の向こうの世界」**です。


彼らは地球の中継を閉じた後、そっと窓の外に広がる「魔素の安定した、静かな夜の森」を見つめ、自分たちがこの惑星から「転移」する準備ができていることに、心底から安堵するでしょう。

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