第68話 ブルマを穿いている姿を見たいの?
おパンツの上からブルマを穿く。
そんな事で自分が怒ると思っていたのかと考えると、ちょっと怒りたくなってしまったかもしれない。そう感じた工藤珠希であった。
「で、おパンツの上にブルマを穿くことを太郎が提案してそれを喜んだイザーちゃんがいるって事なんだよね?」
「うん、そういう事になるね」
「それがどうしてボクが怒ることになるのかな?」
「だって、珠希ちゃんってスカートの中にジャージとか穿くの嫌なんでしょ?」
「嫌って事は無いよ。ただ、可愛くないかなって思ってるだけだし」
おパンツを覗こうとする対策として上からジャージを穿くというのは良くあることだと思うのだが、工藤珠希がジャージをあまり好いていないというのは全員の共通認識であった。
体育の時もジャージではなくハーフパンツだったりすることが多いので、スカートの中にジャージではなくハーフパンツを穿くのはどうだろうという話も出ていたのである。
ただ、スカートから微妙にはみ出してしまうハーフパンツは一部のサキュバスの理性を壊しかねないという事で却下されてしまったのだ。
あくまでも、スカートからはみ出さないようにするという事が大事なのである。
宇宙の技術を使ってスカートの中に暗黒空間を展開して見えなくするという案も出たのだが、工藤珠希の意志で暗黒空間を自由に展開する事も出来る事は無く常に補助が必要になってしまう。そんな理由で宇宙の技術に頼る案も却下されてしまったのだ。
そんな時に帰還した工藤太郎が提案したのが、おパンツの上からブルマを穿くというものだったのである。
おパンツではないから恥ずかしくないし、水着と違って普段から穿いていても違和感が無い。
そのうえ、スカートからはみ出すこともなくサキュバスの理性も保つことが出来る。
素晴らしい案だという事で、イザーは歓喜し多くのサキュバス達もその案を支持していたのだ。
だが、ジャージを穿くことをあまり好まない工藤珠希がブルマを穿くことに対してどういう感想を抱くのか、工藤太郎は後から考えて発言を後悔していたのだ。
もしも、工藤珠希がジャージと同じようにブルマを穿くことを拒否してしまったとしたら。
そう考えると、工藤太郎はイザーに殺されかけた時よりも体が苦しく感じていた。
「ふーん、おパンツを覗かれないように何かを穿くってのはボクも考えてたんだけどさ、うまなちゃんとイザーちゃんから色々と言われて困ってたんだよね。なんか、スカートからはみ出しているのを見て興奮するタイプのサキュバスがいるから気を付けてとか、見せパンだから大丈夫だって思わないようにしてとか言われてたんだよ。確かに、ボクはあんまりジャージを穿くのは好きじゃないんだけど、別にそこまで嫌だって思ってはいないんだよね。でも、ブルマを穿くって発想はなかったな。だって、ブルマって今まで一度も穿いたことないからね。太郎はボクがブルマ穿いているところを見たいって思ったの?」
「別に、珠希ちゃんが何を穿いていてもいいと思うよ。珠希ちゃんが嫌だって思わないんだったらだけど」
「そうだね。体育の時に一人だけブルマだったら嫌だって思うけど、普段スカートの下に穿くくらいだったら何でもないんじゃないかな。どんな感じになるのか気になるし。で、そのブルマってどんな感じなのかな?」
「普通のやつじゃないかな。学校で用意してくれると思うんだけど」
「そうなんだ。太郎が用意してくれるってわけじゃないんだね」
「え、俺が用意するって、どういう事?」
「だってさ、そういう風に言うってことは、太郎が私物のブルマを持ってるのかなって思ったんだよ。持ってたとしても、それをそのまま穿きたいとは思わないけど」
「ちょっと勘弁してよ。そんなの俺が持ってるはずないでしょ」
留守中に工藤太郎の部屋を何度か漁っていたのでブルマが無いことは知っている工藤珠希ではあったが、ちょっとだけ意地悪をしたくなってそんな事を言ってしまったのだ。
工藤太郎は明らかに狼狽し困っていたのだが、ニヤニヤしている工藤珠希を見て何かを察したのか少しだけ強気に出てみることにしたのだ。
「俺が選んだのを珠希ちゃんが穿きたいって言うんだったら、本当に俺が選んであげようか?」
「へえ、太郎がそんな事を言うなんて珍しいね。ボクに似合うのを選んでくれるって事なんでしょ?」
「そういう事になるのかな。でも、珠希ちゃんに似合うやつって事で普通のじゃないと思うんだけど、それでも良いって言ってくれるんだよね?」
「もちろん。太郎が選んでくれるんだったらそれでいいよ」
お互いに平然としているように見えるのだが、内心はかなり焦っていた。
軽い気持ちで工藤珠希を困らせようと思った工藤太郎ではあったが、どんなブルマを選べば困らせることが出来るのかわかっていない。
そもそも、どんなブルマを選んだとしても、そこまで変なモノを見つけることは出来ないだろう。
普通に店で買える範囲で困らせるにはどうしたらいいのかわからなかった。
なので、そこまで簡単に受け入れられるとは思っていなかったので、自分の発言に対して後悔し始めていた。
一方の工藤珠希も内心ではかなりドキドキしていたのだ。
変なモノを選ばれてしまうのではないかというドキドキではなく、工藤太郎が自分のためだけに選んでくれるという事に対して喜びの感情が湧いていた。
自分のために何かを一生懸命にやってくれる。
その事がたまらなく嬉しくて、ブルマを穿くことに対する嫌悪感など少しも抱いていなかったのだった。




