第53話 工藤太郎を糾弾する会
強引にでも工藤珠希のおパンツを見ようとする勢力が拡大している現状において、取れる限りの対策は取っているものの万全ではなかった。
どんなに気を付けていても意図しない場面において偶発的に見えてしまう場合もあるのだが、イザーと太郎が新しく開発した魔法に近い謎の技術によってソレを解消する方法も開発されたのだ。
その方法とはズバリ、サキュバス達の目には工藤珠希のスカートの中が見えたとしても謎の暗黒世界が広がっているだけという状態にしてしまうというものなのだ。
サキュバス対策としてはそれで十分だと思われた。
だが、今までそういったものに興味を持たなかったレジスタンスにも工藤珠希のおパンツが気になっている層が増えているのも事実であり、それらの勢力に対してサキュバスに使っているような特別な力を使うことは出来ないのだ。
なぜなら、レジスタンスはサキュバスと違って普通の人間であるのだ。
普通の人間にもサキュバスと同じように工藤珠希のスカートの中が暗黒世界に見えるようにしてしまうと、普通の人間である工藤珠希自身にも影響が出てしまい大変なことになってしまう恐れが大きいのだ。
これに対する解決方法は、誰も思いつかなかったのであった。
「珠希ちゃんのおパンツを見たいサキュバス対策はそれで問題無いと思うんだけど、問題は普通の人間の中にも珠希ちゃんのおパンツを見たい層が増えているという事なんだね。サキュバスと同じように人間も対象にしちゃうって事になると、珠希ちゃん自身もその魔法の影響を受けてしまう事になるのか」
「でも、珠希ちゃん自身には適用範囲外って可能性もあるんじゃないですか?」
「その可能性はあると思うんだけど、試すことが出来ないからどうなるかわからないんだよね。珠希ちゃんがスカートを脱いだ時に世界が暗黒に包まれる可能性があるというのも試すことが出来ない理由の一つなんだよ」
「その辺はイザーちゃんと太郎ちゃんの力で調整とか出来ないのかな?」
「無理だね。俺もイザーちゃんもそこまで細かく範囲を設定することは出来ないんだよ。やろうと思えばできるのかもしれないけど、一つ間違えるとスカートの中だけじゃなく珠希ちゃんが見せたくないって思った部分も暗黒世界になってしまう恐れがあるんだよ」
「天才二人の力を合わせても難しいって事なんだね。残念だけど、それが今の我々の限界って事なのかな」
「ペタコン博士は何かいいアイデアはないんですか?」
「あたしにも出来ないことはあるからね。元の世界ではそれなりに出来る方だとは思ってたんだけど、太郎ちゃんを見てからは自分が凡人だったって気付かされたよ。あたしのいた世界に帰ればちょうど良いものがあったんだけど、今から帰ったとしても無事にここに戻ってこれるかもわからないからね」
「それって、燃料的な問題ですか?」
「それもあるんだけど、超光速を超えた速さで移動してるんで同じ世界線内で移動できるかもわからないんだよ。ココにはイザーちゃんがいるから目印になってたどり着けたんだけど、あたしのいた星にはイザーちゃんみたいに目印になってくれる存在がいないもんで別の世界線に行ってしまう可能性が高いんだよ。むしろ、同じ世界線内で超光速を越えて移動することの方が難しいからね」
「大変ですね。では、クリームパイちゃんはどうかな?」
「私は全然いいアイデアが思い浮かばないよ。クリーキーのバカが変なことばっかり言ってるからそっちばっかり気になって申し訳ないって思いばっかり強くなっちゃってるよ。あのバカがもう少し空気の読めるバカだったらよかったんだけど、何が見えてもいいパンティーを穿けばいいだよ。見えてもいいおパンツなんてあるわけないのにね」
見えてもいいパンティーという言葉を聞いて多くの者は“頭がおかしい”と感じていた。
ただ、工藤太郎だけはおパンツではない別のモノを想像していた。
「例えばなんだけど、スカートの中にジャージを穿くとかスカートじゃなく男子生徒と同じズボンにするとかはどうなのかな?」
「は、バカなんじゃないの。そんなの無いでしょ」
「あるわけないよね。スカートの下にジャージとか逆に下品すぎるわ」
「そんなの逃げだよね。珠希ちゃんにはそういう逃げた感じになってほしくないな」
「太郎ちゃんっておかしくなっちゃっての?」
「普通にあり得ないっしょ。そんなの自意識過剰なバカがやることだよ」
「珠希ちゃんにはそういうのじゃなくて、もっとお清楚な感じが似合うと思う」
「ジャージもあり得ないけどズボンとか無いでしょ。ズボンだとお尻の形まるわかりだし、そんなのお尻を出してるのと全く一緒でしょ」
「そうですよね。珠希ちゃんのウエストサイズに合わせるとお尻が強調されちゃうと思うし、お尻に合わせるとウエストと裾が大変なことになっちゃいそう。そんな事もわからないんですか?」
良かれと思っての発言だったのだが、その後も工藤太郎は会議の終了時間ギリギリまで罵倒される事になってしまった。
メンタルの強い工藤太郎は精神的なダメージを負う事も無かったのだけれど、かなり際どいところまで精神を削られそうになっていたのだ。
「本当に考えて発言してもらっていいかな?」
「君がそんな事を言う人だとは思わなかったよ。私と同じ強さなのに、ちょっとガッカリしたな」
栗宮院うまなとイザーの言葉で大罵倒大会は幕を下ろしたのだが、工藤太郎の返した一言によって事態は急変したのだった。




