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百合系サキュバスのお話  作者: 釧路太郎
おパンツ戦争

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第47話 工藤太郎と工藤珠希とペタコン博士

 久しぶりに会った工藤太郎は少し身長が高くなっているような気がしていた。

 前よりも少しだけ見上げるような感じになっているのだけれど、宇宙にいると身長が伸びるという事は知っていたのだが、ここまで急激に伸びるとは想像もしていなかった。


「久しぶりだね。こうしてまた生きて珠希ちゃんに会えてうれしいよ」

「そんな縁起でもないこと言わないでよ。ボクは太郎がちゃんと帰ってくるって思ってたからね」

「俺もちゃんと無事に帰ってくるつもりではいたんだけど、どうもトラブルが多くて間に合うかどうか心配だったんだよ」

「間に合うって、何か予定でもあったの?」


「そういうわけでもないんだけど、地球に色々な人たちがやってきてるみたいだから滅ぼされたりしてたらどうしようかなって思ってたんだよ」

「いろんな人はやってきてはいるけれど、みんな悪い人ではないと思うよ。うまなちゃんとイザーちゃんがお話をしてくれているみたいだし、気まずい関係にはなってないから。それよりも、なんで太郎はこんな深い穴に落ちてたの?」

「何でって言われてもね。いつも通り寝起きにシャワーでも浴びようかと思ってシャワールームに入った瞬間に地面に叩きつけられてたんだよ。宇宙船の装置が故障したのか誤作動を起こしたのかはわからないけど、物凄い勢いで地面にたたきつけられたから死ぬかと思っちゃった」


 覗いてみても底が見えないくらい深い穴に落ちたのに生きているのが不思議だとは思うけれど、太郎であれば怪我一つないのも納得出来る。とはいえ、これだけの大きな穴が開くほどの衝撃を受けても無事だというのは普通ではないだろう。太郎が特別な存在という証になるのかもしれないが、工藤珠希はそんな事を考えずにただただ目の前に工藤太郎がいるという事が嬉しくて仕方なかった。


「太郎ちゃんが無事に帰ってきて良かったよ。イザーちゃんと一緒に帰ってくればよかったのに、どうして一人で残ろうって決めたのかな?」

「いや、俺は別に残ろうなんて決めてないよ。気付いた時にはイザーちゃんがいなくなってたってだけだし。そう言えば、なんでイザーちゃんはあそこで固まったまま動かないでいるの?」

「それはあたしが説明するよ。うまなちゃん達もわかってないと思うしね」


 ペタコン博士は工藤太郎にイザーが固まっている理由を説明していた。

 工藤太郎だけではなく工藤珠希も栗宮院うまなもなぜイザーが動かないのか理由をハッキリとは理解していなかったので助かると思っていたが、それを言い出さずに自然な流れで話を聞くことに成功していた。


「そういう事なのか。ペタコンちゃんが俺にしてくれたようにオナオナ星人の歴史を教えてくれたって事だったんだね。俺が一年かけて覚えた内容を一瞬でイザーちゃんの脳に記したから固まっちゃったって、確かにそんなに一気に記憶させられたら固まっちゃうかもね」

「太郎ちゃんの時みたいに時間があればゆっくりと教えることが出来たんだけどね。イザーちゃんは太郎ちゃんと同じくらい強いって聞いてたから期待してたんだけど、やっぱりモノには限度ってものがあるみたいだね。そこは流石のあたしでも読み切ることは出来なかったかな」


「ちょっと待ってもらっていいかな。今、太郎が言ってたことで気になったことがあるんだけど、一年かけて覚えたってどういう事?」

「どういう事って、一年かけて地球まで近付いてから昨日に戻ってきたってことだよ。あの宇宙船は一年間だけ時間を移動できる設計になってるからね。それ以上の時間移動は世界線が変わってしまう恐れが出てくるみたいで難しいって話だよ」

「それってつまり、今目の前にいる太郎はボクよりも一歳年上って事?」

「俺の時間ではそうなるのかもしれないけど、珠希ちゃんの時間では今までと何にも変わらないんじゃないかな。その辺はよくわからないんだけど、あんまり気にしなくてもいいんじゃないかなって思うよ」

「そうだね。あんまり気にしても仕方ないか。今は太郎が無事に帰ってきたことを喜ぶことにしようか」


 周りにいた人たちは皆校舎内に入ってしまっていたが、ただ一人栗宮院うまなだけが三人の様子をうかがっていた。

 なるべく気配を殺して余計なことは言わないようにしていたのだけれど、そんな栗宮院うまなを見て工藤太郎は何か不審に思ったのか鋭い視線を向けていた。


「うまなちゃんは俺がいない時も珠希ちゃんのために色々してくれたみたいだよね。本当にありがとうね。珠希ちゃんもうまなちゃんとイザーちゃんには助けられてるって言ってたし、君たち二人がいて本当に良かったって思うよ」

「どういたしまして。でも、私たちは別に太郎ちゃんがいないから珠希ちゃんを守ろうって思ってるわけじゃないよ。いつでも珠希ちゃんのことは守ろうって思ってるから」

「それはわかってるよ。でも、ちゃんとお礼は言っておかないとね。珠希ちゃんっていろんなタイプの生き物に絡まれちゃうから心配になってたんだけど、イザーちゃんがいるから平気だとは思ってたんだ。もちろん、うまなちゃんもいっぱい頑張ってくれてたってのは知ってるからね。それよりも、イザーちゃんは全然目を覚ます気配が無いね。どうしたらいいんだろう?」


「調べてみたところ、心臓は動いてるし呼吸もちゃんとしているので生命活動は問題なく行っているよ。ただ、そこの博士が言った通りで脳が完全に機能を停止しちゃってるみたいだね。の牛というわけではなく、パソコンで言うとフリーズした状態に近いのかもしれないな。パソコンだったらリセットして再起動って事も出来るんだけど、イザーちゃんに対して再起動なんて出来るはずもないんだけどね」


 何を思ったのか、工藤太郎は気を失っているイザーの頬に二度三度と思いっきりビンタをしていた。首の骨がいかれてしまうのではないかと思ってしまうくらいの衝撃があったようなのだが、気を失っていたとしてもイザーは自然と衝撃を逃がすように顔を動かしていた。

 音の割には衝撃はそれほどでもなかったのかもしれないが、夕日が校舎を包み込もうとしているタイミングでイザーは意識を取り戻していたのだった。

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