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百合系サキュバスのお話  作者: 釧路太郎
おパンツ戦争

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第21話 仲良しな二人

 カボチャの馬車が目的地へ着くと、乗っていた四人は駐車場の空いているスペースで体を伸ばすストレッチをおこなっていた。

 そこまで長時間馬車に乗っていたわけではないのだが、固い椅子と垂直の背もたれとなれない馬車の乗り心地による緊張感で知らないうちに全身に力が入っていたようだ。


 あの時は軍艦が泊まっていた港も今は何も無い状態で時々散歩をしている地域住民がいるくらいであった。


「ココが珠希ちゃんとうまなちゃんの最初のデート場所なんだね。思っていたよりも広くて先端まで行ったら良い運動になりそうだね」

「確かにそうかも。あの時はこの辺でウロウロしてただけだったし、奥の方は何かイベントをやってたから行かなかったんだよね。それに、ココに泊まってた大きな船を見て圧倒されてたんだよ」

「へえ、そんなに大きい船があったんだったら私も見に来ればよかった。どれくらい大きかったの?」

「あそこにある灯台よりも大きかったよ。遠近法でそう見えただけかもしれないけど、船の最後尾にあったよくわからないアンテナみたいなやつががあの灯台よりも上にあったからね。写真も撮ってるから見てみる?」


 工藤太郎に送るために撮った写真の中に船の全景をおさめようとしたものがあったのでそれを見せてみた。

 工藤珠希の記憶にあった船よりも写真の船は大きかった。あの時は目の前にあった船の大きさに圧倒されて写真に写っている船が小さく見えていたのだけれど、今になって見返してみるとソレがタダの錯覚だったのだと思えるくらいに大きな船が写っていたのだ。


「こんなに大きな船って何人くらい乗ってるんだろうね?」

「何人くらいなんだろう。どこかに書いてあったような気がしたけど、忘れちゃった。うまなちゃんは覚えてないと思うけど、ボクと一緒にここに来たのって覚えてるかな?」


 何かを探してキョロキョロとしている栗宮院うまなは急に話しかけられたので驚いてしまっていたのだが、工藤珠希が笑顔で話しかけていることに気付いてすぐに笑顔を向けていた。


「ここに来た時はおっきいお船があったと思う。珠希ちゃんと一緒に乗れなかったけどすっごく大きなお船だったよ。いつか一緒に乗れたらいいね」

「うまなちゃんって船が好きなの?」

「わかんない。前に乗ったことがあったと思うけど、あんなに大きなお船じゃなかったと思う。イザーちゃんも一緒にいたと思うけど、すっごくすっごく早くてビックリしたんだよ。空を飛んでた時もあったし、お船って何でも出来るから凄いんだよ」

「そうなんだ。それは凄いね。うまなちゃんは喉が渇いていないかな?」

「喉乾いた。お水飲みたいな」

「ジュースじゃなくてお水でいいの?」

「うん、お水がいい。愛華ちゃんはジュースがいいの?」

「私は何でも大丈夫だよ。じゃあ、二人で飲み物買いに行こうか。この近くにコンビニとかなさそうだし、あそこにある自動販売機でいいかな?」

「あそこのよりあっちの方がいい。うまなちゃんの飲みたいお水はあっちのやつだから」

「そうなんだ。じゃあ、そっちにしようね。珠希ちゃんと柘榴ちゃんの分はうまなちゃんが選んでいいからね」

「わかった。珠希ちゃんと柘榴ちゃんの分はうまなちゃんが選ぶね。何があるかな、何があるかな。楽しみだな」


 栗宮院うまなと鈴木愛華が仲良く手を繋いで自動販売機へと向かって行った。その二人を見ていた工藤珠希は自然と鈴木愛華に自分の姿を重ねてしまったのだが、すぐにそれは自分らしくないことだと思って妄想を消そうとしていた。


「眉間にしわが寄ってるけど何かイヤなことでもあったのかな?」

「そういうわけじゃないんですけど、なんでかわからないけど二人の姿を見てたら愛華ちゃんに自分を重ねて見てたんです。何の意味があってそんな想像をしたのかわからなくて妄想を掻き消そうとしたんですよ」

「まあ、そういう事を考える時期だってあるさ。珠希ちゃんは以前にここに来た時にうまなちゃんとデートをしてたんだし、その時の姿を思い出して愛華に自分の姿を重ねてしまったってだけさ。幼児化する前のうまなちゃんがソレを聞いたらどういう反応をするのか楽しみだけど、今はそんな事を考えなくてもいいんじゃないかな」

「それもそうですね。あんまり深く考えない方がいい気がしてます」

「それにしても、うまなちゃんは愛華に懐いてるみたいだね。あの子の優しさを理解してくれているんだとしたら、私はとても嬉しいよ」

「ボクもそれは嬉しいです。飲み物を買ってきてくれるみたいですけど、いったいどんな飲み物を買ってきてくれるんですかね?」

「さあ、どんなものを買ってきてくれるのか楽しみにしておこう。うまなちゃんのセンスは幼児化しても変わっていないのか、愛華が上手く誘導して普通のモノを買ってくるのか、本当に楽しみだね」


 どこにでもありそうなごく普通の自動販売機に混じってみたことも無いような色遣いの禍々しい自動販売機が一台存在していた。

 自動販売機の背中部分しか見えていないので商品ラインナップがどうなっているのかまではわからないのだけれど、何となくオリジナリティーの高い商品が売っているような気はしていた。

 二人がどの自動販売機を利用しているのかわからないけれど、先ほどからずっと嫌な予感しかしていなかった。

 こういう時に限ってその予感が当たってしまうのだが、工藤珠希も栗鳥院柘榴もお互いに笑顔がひきつっているのがわかっていたのだった。

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