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終章

俺とリクシアはバルサバ領で穏やかに過ごした。


第一王子の視察後に子宝に恵まれ、10年の間に3人の子を授かった。


その第一王子であるケビンだが、先日、国王陛下から王太子に任命された。


通常、王太子に任命されるのは学園卒業、すなわち成人とされてから3年程度だ。ケビンが王太子に任命されるまでにかかった10年という時間は、異例の長さになる。その理由は彼の隣にいる女性にある。


といっても、女性自身に落ち度があるわけではない。


9年前、ケビンとユーリとの婚約解消が発表された。原因は両者の意見の相違であり、円満解決であったと言われている。事実、慰謝料の請求はなされていない。


もっとも、ユーリの養子先であるベルランド伯爵家には秘密裏に金銭のやり取りがあったという噂だ。


短期間で2回も婚約者とうまくいかなかったケビンの評判は大きく傷がつき、また、主だった同年代の令嬢はすでに婚約もしくは結婚していたことから、婚約者選びが難航したのだ。


結局、婚約解消から5年後、第二王子と共に婚約者が発表された。


このような経緯から第二王子のセドリックを王太子に推す声も少なからずあったものの、ケビンがユーリとの婚約解消ののち、仕事や他者に対する姿勢を改めたことから評価された。


バルサバ辺境伯としても異論はなかった。


俺は第二王子と秘密裏に会談したが、彼自身に国王の座への執着は全くなく、ケビンが頭角を現したことも相まって、セドリックを推す理由が薄くなった。


遅れの原因が女性関係にあったことから、王位継承は時間の問題だと言われている。


そんなケビンと俺の関係は良好だ。饗宴で顔を合わせてもお互いににこやかに対応する。リクシアも同様だ。王太子妃としての苦労を垣間見ている分、妹のように感じているらしい。


さて、婚約解消となったユーリだが、彼女は貴族籍から除籍した。社交界に姿を見せることがなくなった彼女に対し、婚約解消直後はさまざまな噂が飛び交った。10年近く経った今では、ユーリの名が話題に上ることもなくなった。それでいいのだと思う。


そんなユーリだが、今はバルサバ領で教壇に立っている。平民かつ王妃教育を受けた彼女の授業は評判が高く、平民だけでなく屋敷で働く侍従や侍女にも教鞭をふるっている。


バルサバ領に来てからは彼女の隣にエリオットがいることが多くなった。ユーリはエリオットの隣で笑顔を見せることが増え、その幸せを誰にも邪魔してほしくない。


「ランド様。いろんなことがありましたが、結果的にランド様のおそばにいられて、私は幸せです」


「僕もだよ。僕のそばに来てくれて本当に嬉しい。これからもずっと、そばにいてくれ」


「ええ。お約束します」


もちろん、僕たちの幸せも誰にも邪魔はさせない。

これにて本編は終了となります。


今後、何人かの登場人物視点の話を書いて終わりになります。もしご興味がありましたら、もう少しだけお付き合いください。


誤字脱字などの指摘、ご意見・ご感想等あればぜひともコメント欄にコメントをお願いします。


ちょっとでも評価していただければ、筆者が喜びます。

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