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異世界転生者のTSスローライフ  作者: 未羊
第一章 大陸編

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第95話 転生者、二つ目の街に着く

 魔王領の馬車で再び1日で移動して向かった二つ目の宿場町。その街を見て、俺は少し驚いた。


「最初の街とだいぶ雰囲気が違うな」


「はい。こちらは沼地の近くということもありまして、それを反映した形になっています。魚人、爬虫類系といった魔族が住んでおりますからね」


 バフォメットがいう通り、いわゆるマーマンだのリザードマンだのといった姿が見える。本当に魔族というのはいろんな姿の者がいるんだな。

 更なる説明を聞いているが、地形的な問題もあって、ティコの治める宿場町と同じようにはいかなかったそうだ。下手に家を建てると重みで沈んでしまうことが判明したためらしい。

 それで、一部に関しては土魔法で強化をして、それから建設を進めていったとのこと。


「ふーん、沼地があるというのなら、釣りはできるのかな」


「釣り……でございますか?」


 俺がちらっと漏らした単語に、バフォメットが微妙な反応を示している。この分だと分からないといった感じかな。


「針付きの糸を垂らして、水の中の魚を獲るんだよ。それを釣りっていうんだが、バフォメットは知らないのか?」


「魔族にはそのような習慣がございませんのでね。魚を食べるのはここに住む魔族だけですし、潜って手で捕まえるというのが普通でございます」


「なるほどな」


 どうやら道具を使って捕まえるという習慣はないらしい。

 そんなわけで、俺はバフォメットとカスミを連れて沼の方に案内してもらいながら向かう。

 向かった先は、いかにも魔族たちの住む場所にある水場という、なんとも不気味な雰囲気が漂う場所だった。

 宿場町を造ることになったために、これでも幾分マシになったらしい。

 沼に着いた俺は、魔法で適当な棒と糸と針を作って沼に垂らす。うん、こういうのも魔法で作れるっていうのはいいよな。


「素晴らしいですな、魔王様。まさか魔法でそのようなものを作ってしまわれるなんて」


 後ろでバフォメットが涙しながら感動している。うるさいから黙ってくれ。

 騒ぐバフォメットを尻目に、俺はしばらく糸を垂れて待つ。ある瞬間、意図ではなく俺のひげがぴくりと何かに反応した。


「どうかなされましたか、魔王様」


「しっ……」


 カスミが声を掛けてきたが、俺は短く言葉を遮る。

 ひげが反応してしばらくすると、意図が引っ張られて棒がしなる。


(よし、ここだ!)


 俺は獣人の勘でもって、一気に棒を引き上げる。

 すると、糸の先に魚のような何かが食いついていた。


「おお、カミツキウオですな」


 バフォメットが魚の名前を叫んでいる。


「カミツキウオか。確かに、歯がなんだかギザギザしてて痛そうだな」


 じっと釣れた魚を見つめる俺。


(えっと、この後は一発で仕留めて暴れないようにするんだっけか)


 前世の知識を思い出しながら、俺は地面でバタバタと暴れるカミツキウオに向けて魔法を放つ。


「アイスニードル」


 魚の脳天目がけて氷の針を飛ばす。魔法が命中した魚は、一瞬で暴れるのをやめてしまった。どうやら見事に一撃で仕留めたらしい。


「お見事でございます、魔王様」


「へへっ。ところで、こいつって食べられるのか?」


「おう、そいつならうめえぞ」


「だ、誰だ!」


 俺たちが話をしていると、突然割り込んできたの人物がいた。そこに居たのはマーマンだ。魚人が魚について語っている。


「なんか面白い事をしてるなと思ったら、難なくそいつを倒しちまうとはねぇ。こいつは驚いたぜ」


 実になれなれしい雰囲気で近寄ってくるマーマン。

 あまりにチャラい雰囲気のために、俺たちは身構えている。


「おっと、そう構えないでおくれ。魔王様たちだろ?」


「魔王様と存じておきながらその態度、命が惜しくないのですかな?」


「まぁ待て待て。俺らマーマンはこういう性質なんだ、信じてくれよ、なっなっ」


 なんだこの物言い。「いいえ」って返したら延々と同じ言葉を繰り返しそうだぜ。

 ならば、短く話を切る方がいいだろう。


「なら信じよう。俺たちに近付いてきたってことは、町長のところに案内してくれるのか?」


 睨むように質問をすると、マーマンはこくこくと激しく首を縦に振っていた。


「もちろんでさぁ。ついて来てくだせぇ」


 大声でそういうものだから、俺たちは怪しみながらもそのマーマンの後ろをついて行った。

 連れていかれた先にあったのは、半分沼に沈んだような町長の屋敷だった。


「びっくりしやしたかい? なにせここの町長はリザードマンですからね。俺らとは仲が悪いと思われてますが、そんなこたぁまったくないんですぜ。うまくやってまさぁ」


「おい、魔王様がいらしたぞ。中に入れるんだ」


「モリー、それは本当か?」


「嘘を言ってどうなる。というか、後ろにいらっしゃるんだ。死にたくなかったらとっとと通すんだな」


「こ、これは失礼しました。どうぞお通り下さい」


 そのやり取りを経て、俺たちは町長の屋敷の中へと入っていく。

 このマーマンの男、モリーといったか。口は悪いんだが、衛兵とのやり取りを見るに偉い立場にいるようだな。

 俺が考え事をしていると、モリーはとある部屋の前で立ち止まった。


「さあ、ここが町長の部屋でさぁ。町長、失礼しやすよ!」


 呼び掛けると同時に返事を待たずに扉を開けるモリー。

 いよいよ二つ目の宿場町の町長との対面だが、一体どうなるのやら……。

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