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異世界転生者のTSスローライフ  作者: 未羊
第一章 大陸編

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第78話 転生者、街道の目的を話す

 街道の仕上がり具合をチェックしながら、マールンたちを使って宿場町を整備する場所に目星をつけていく。

 人間たちを連れて来たというのは、こういうところで役に立つんだよな。足をあっちに合わせるから、その移動距離がそのまま目安になるって寸法だ。

 うまいこと考えたな、キリエは。

 そんな事を思いながら視線を向けると、キリエはキリっとした表情を俺に向けてきた。自慢げにドヤ顔じゃないあたりは頼れる参謀だよ。

 トータルで7日ほどをかけて、俺たちは魔王城に戻ってきた。思った以上に近くなっていた。


「整地をするだけでこんなに早くなるんだな。どんだけガタガタしたのかよく分かるぜ」


「左様でございますね。途中にあった沼地なども移動させましたしね」


「沼地を移動?!」


 しれっとしたキリエの告白に、思わず叫びながらキリエを見てしまう。


「以前は真っすぐ進めませんでしたが、キリエ様の命令で無理やり道を直線的にしました。なので、途中にあった障害物は全部移動させたのです」


 工事に参加していたオークがそんなことを証言している。マジかよ。

 確かによく思えば、ほぼほぼまっすぐ進んできた気がする。

 俺は後方で作業の様子を見てただけだし、食事の時間になれば料理を作っていた。そのせいもあって、どのように城から進んでいたのかまったく分かっていなかったのだ。

 まったく、魔族の最高責任者である魔王としてこれではいけないな。このやり取りで俺は反省をせざるを得なかった。


 城に到着してマールンたちを中に案内すると、ピエラがやって来た。


「お帰りなさい、セイ。上から姿が見えたから走ってきちゃったわ」


「お、おう……。ただいま」


 ピエラの出迎えにちょっと驚いてしまう。

 そのピエラは、俺の後ろにいた人物に目を移していた。


「あら、マールンじゃないの。どうしたのよ、こんなところまで来て」


 俺と接していた時と声のトーンが明らかに違う。なんとも冷たい突き放すような言い方だった。


「おいおい、セイの時とは明らかに態度が違うじゃないか。本当に昔っからそうだな、お前は」


 マールンもさすがに苦笑いである。

 すると、ピエラは腕を組んでぷいっと頬を膨らませて視線を外していた。まるで子どもである。

 さすがのマールンも呆れたようにため息をつくが、とりあえずはピエラの質問に答えておく。


「魔族が領境までの街道を整備したというから、その状態を確かめに来たんだ。いや、参ったな。驚くほどにまっ平らだったよ」


 素直な感想とともに話すマールンである。


「まあ、キリエさんですからね。彼女の手にかかれば、どんな事でも完璧にこなしてくれますよ」


「恐縮でございます」


 ピエラが褒めれば、しっかりと頭を下げるキリエである。


「でも、ちょうどよかったわ。帰りはハミングウェイの馬車を引き取ってくれるかしら」


「それは構わないが、今どこにあるんだ?」


「城壁内の馬小屋にあるけれど、とりあえず後で案内するわね」


「分かった」


 ひとまず馬車の話を終えるピエラたち。

 そして、城の入口近くにある応接間にマールンたちを案内する。そこで、この街道を整備した理由を話す事となった。


「……というわけなんだ。俺はすっかり失念してたんだけどな」


 俺は自分の格好を忘れてついつい足を組んで話をしていた。マールンこそ俺の顔を見ていたのだが、付き添いの兵士たちはどうにも落ち着かない様子だった。


「悪いんだが、兵士たちはどうしてそうも落ち着きがないんだ?」


 気になってしょうがないというものだ。

 俺の声にマールンが呆れたように頭を抱えてため息をつく。


「お前なあ……。今の自分の姿をよく考えろよ」


 だが、マールンの言っている意味が俺には通じなかった。それを見たピエラが横からツッコミを入れてくる。


「セイ、自分の性別と服装を思い出してちょうだい」


 肩を叩きながらいうものだから、俺は自分の姿を改めてみる。

 ようやく俺は気が付いた。そうかそういうことかと。足を組む癖が分かっていたら服装は気を付けたのにな。何たる失態なのだろうか。

 俺が視線を向けると、キリエは自分の服のエプロンを外して俺の膝に掛けてくれた。言葉がなくても通じるというのはいいことだ。あとでクローゼに新しい服を注文しておくか。

 とりあえず、これで落ち着いて話ができるだろう。

 そんなわけで、街道を整備した理由のほか、今後の展望などいろいろな事をマールンと兵士たちに話しておいた。


「まあそういうわけだ。俺としては今後とも王国とは仲良くしてはおきたい。他国との兼ね合いで難しいところもあるだろうが、そこら辺は俺たちでもできる限り対処するつもりだ」


 キリエの方に視線を向けると、当然ですといわんばかりに頷いていた。


「だから、マールンたちは今の俺たちの話をそのまま国王に伝えてくれ。いいか、脚色とか一切なしだからな」


「分かった。俺とお前の仲だしな、それは約束しよう」


 俺は少し笑みをこぼすと、マールンと拳をこつんと突き合わせた。

 そして、魔王城で一泊すると、ハミングウェイ伯爵家の馬車で王都へと戻っていったのだった。

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