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異世界転生者のTSスローライフ  作者: 未羊
第一章 大陸編

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第58話 転生者、久しぶりに畑に顔を出す

 要望書の対応はキリエとピエラの二人に任せた俺は、今日はウネと一緒に畑の世話に来ていた。

 先日ウネが蒔いた種がようやく顔を出しそうになっているらしい。どんな芽が出るのか楽しみで仕方がない。


「ようやく来たのね。一人で退屈~」


 ウネはぷんぷんとご立腹のようだった。


「ああ、悪いな。急にいろいろごたごたしてくれたもんだからよ。でも、しばらくは暇だぜ」


「そうなのね。そういえば、あなた魔王だっけ」


「そうだよ」


 とぼけたようにウネが言うものだから、つい返す言葉に力が入ってしまった。


「なら、これでようやく畑ができる。わちはちょっと安心……」


 俺とは対照的に、フニャンと体の力が抜けているかのようにふらつくウネ。

 あまりにも気の抜けた態度がために、これで無事に植物が育っていくのか、変に疑いを持ってしまっていた。

 あとでキリエに確認したところ、リラックスして集中している状態らしい。どう見てもだらけているようにしか見えないんだがな……。

 うん、魔族ってのはまだまだ分からないことが多いもんだぜ。


「さて、今は何を植えてたんだっけか」


「ふふん、わちたちの主食の~葉っぱだよ~」


「ドライアドって葉っぱを食べるのか」


「そうだよ~」


 気の抜けたような声で答えてくるウネ。その話し声には、さすがの俺も脱力してしまいそうだった。


「ドライアドが食べる葉っぱって、俺たちが食べても大丈夫なのか?」


 気を取り直して、俺はウネに改めてその辺りを問い掛けてみる。


「分からないね。でも、アルラウネは平気だよ~」


 ウネからはこんな答えが返ってきた。同じ植物系の魔族であるアルラウネは大丈夫ということらしい。だが、それ以外の種族への影響は結局分からなかった。


「そっか……。鑑定魔法でも使えれば違うんだろうけどな。誰か使えねえかな……」


 俺がぽつりと呟いていると、聞いたことのある声が後ろから聞こえてきた。


「それでしたらうちが使えますよ、魔王様」


「うわっとぉっ?!」


 急な声に大げさに驚く俺。振り返るとキリエの妹であるコモヤが立っていた。

 どうやら隠密系であるコモヤは、その性質上鑑定魔法が使えるとの事らしい。なので、俺は早速ウネが育てている植物を、コモヤに鑑定してもらった。

 すると、コモヤはなんとも不思議そうな顔をしながら唸り始めていた。一体彼女に何が見えたというのだろうか。


「で、どうだったんだ?」


 俺が確認してみると、やっぱり表情が渋いコモヤである。どうやら話していいのかどうかを判断しかねているようだ。


「魔王様にだったら話してもらっていいのよ~」


 ウネはにこにことしながらそう話している。

 そんなわけで、コモヤは安心して畑の植物を鑑定した結果を話し始めた。

 それによれば、確かに畑に植えられた植物は、ドライアドとアルラウネにとっては主食ともいえる植物だった。

 植物系の魔物だから共食いじゃないのかという意見は却下だ。

 光合成をすると魔力を蓄える性質があるらしく、魔法の使い過ぎで魔力を使い果たした時の回復薬としても使えるが、葉っぱを食べても大して回復しない模様。

 煎じて薬に合成すると、その効果は高まるらしい。

 どうやら、ゲームや小説なんかに出てくるマナポーションの材料のようだ。

 とりあえずコモヤの鑑定通りなら、食べてもあんまり害はなさそうだった。


「この植物は、わちたちの株分けみたいなものなのよ。これを知られては、わちたちが狩りの対象にされてしまうのよ」


「確かに、この効果なら乱獲されてもおかしくありませんね。魔力を回復させられる葉っぱなんて、結構珍しいですからね」


 ウネは怯えるように顔を覆いながら話している。コモヤも考え込むようにしながら同調しているようだった。


「いや、だったらこれを食卓に出すわけにはいかないだろ。魔力に敏感だったら気付くかも知れないぞ」


「でも、もう育ててしまったのよ」


「少しは後先を考えろよ……」


 あまりの計画性のなさに、俺は頭が痛くなった。まったく、ドライアドってのは気ままなものだな。


「まあ、育てちまったものは仕方がない。こういうのに詳しそうで口の堅そうなやつに投げてみるか。まっ、ピエラになりそうだがな」


 考えていても埒が明きそうにないので、俺はとりあえず目の前の葉っぱの件はそこで打ち切ることにした。


「ウネ、頼むから普通の食材となる植物を育ててくれ。芋とか果物とか野菜とか、そういうやつな」


「うう、分かったのよ」


 どこか不本意な様子を見せながらも、別の畑に移動して種を植え始めるウネだった。

 まったく、こんな事になるのならもっとちゃんと強めに指定しておくんだったな。


「ああ、ついでに観賞用の花も頼むよ」


「むむっ、注文が多いのよ」


 ぶっすーとむくれながらも、ウネは俺の注文通りに庭園のあちこちを弄っていた。

 この様子なら、しばらくすれば自給自足用の食料が手に入るだろう。今はまだほとんどが城の外からの貢ぎ物で成り立っているからな。

 ひとまずは、これで魔王城でのスローライフの足掛かりはできただろうな。

 あとは、この状況が続いてくれることを祈るばかりか。

 そう思いながら、俺はじっとウネの作業を見守るのだった。

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