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【トランス島奇譚】  作者: 石田ヨネ
第六章 立て直しと再対決

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42 某赤髪の不良男子高生がバスケットボールに目覚めるような漫画や、最初はオレンジ色の玉を探していた漫画――、あるいは世紀末に頑張って戦う覇者たちの漫画

「がッ!? はぁァッ――!!」

 思わず、パク・ソユンが叫び声をあげる!!

 その顔が、苦痛に歪みかける。

 その間にも、

「さあ……? 次は、悲しいかな……? 貴女の美しい顔、肉体を……、変形させてあげますよ……」

 と、表情の変わらないユスリ・タカリが、とどめを刺さんと、パク・ソユンに手をかざそうとした。

 しかし、その時――、


「う、む――?」


 と、ユスリ・タカリは、ふと気がついて……、その動きが、一瞬だけ止まった。

 眼前の空間――

 苦痛に歪んでいたはずのパク・ソユンの表情が、

「……」

 と、元の、ジトッ……としながらも、意志を宿した目に戻っていた。

 続けざま、

「はぁ、――。やっと、“いい形”が、浮かんだわ」

 と、パク・ソユンは、

 ――パカッ――

 と、その目を開眼させながら、ユスリ・タカリに迫らんとしていた。

 眼前の、

「……?」

 ユスリタカリの顔が、少し歪む。

 そのパク・ソユンの目の奥の、脳に思い起こされるのは、“ある漫画など”の記憶――

 某、少々ぶっ飛んだ設定のガンダム・シリーズの、東方不敗老人の操るタオルの記憶。

 それから、幽遊白書に出てくる、某赤いリーゼント頭の言葉、と――

 ――そこから、こちらの現実世界に戻ること、


「なッ――!?」


 と、ユスリ・タカリの、その肖像画のような目が、ここで初めて動揺した。

 その先にあったのは、クパァッ――と逝ってしまったはずのパク・ソユンの右手が、パク・ソユン自身の異能力を以ってか――!? 

 まるで巨大な旗の布のように!! 大きく変形していたのだ!!

「く、ぬッ――!? し、しまっ――!!」

 ユスリ・タカリが思わず驚く!!

 だがすでに時遅く!!


「ふんッ、ぬッ――!!」


 と、大旗を振るうように、巨大な布と化したパク・ソユンの右手が、


 ――ブ、ンッ――!!!!!


 と、振り降ろされ!! まるでハエ叩きでもするかの如く――!! ユスリ・タカリを覆って潰しにかからんとす!!

 その力の衝撃は、係留ロープの破断力の遥かに上回る力であり!! なおかつ、いっさいの逃げ場が無い!!

 そうして、


「ギィ”、エ”ェェ”ェーー!!!!!」


 ユスリ・タカリの苦悶の絶叫が、大布の中から響いた。

 そして、振り終わった布を、

 ――ゴ、ワッ……

 と、少し開く。

 中からは、まるで、戦車にでも潰されたかのようになったユスリ・タカリが、何とかその肉体を再生させつつも出てきた。

「こ”、こ”にょ”……! ぼ、ボルモォ”ットどみょ”ぉぉ”!!!」

 半分再生しつつも、半分グシャグシャの顔になったユスリ・タカリが、怒りに任せて叫ぼうとする。

 たぶん、「このモルモットども!!」と言わんとしたのだろう。


「は? 何? 何て言ったの? いま?」

 脂汗に口から滴る血をのぞいては、他は普段と変わらない顔で、パク・ソユンがドン・ヨンファに聞いた。

「さ、さあ、」

 ドン・ヨンファが、答える。

 こんな、腕がクパァッと逝かれたにもかかわらず、一撃反撃をキメたパク・ソユンに対して、軽い驚愕と、戦慄を覚えながら――

 いっぽう、

「――で? アンタ、さ? 悪いんだけど? まだ、この一発で、終わらないんだけど?」

 と、パク・ソユンは冷徹な顔で、ボロボロのユスリ・タカリに告げる。

 それと同時、


 ――ブ、ンッ――!!!!!


 と、ふたたび、大旗を淡々と振るう!!

「ぐッ!? ぐわあ”ぁぁ”ぁーー!!!!!」 

 またしてもユスリ・タカリの苦悶の絶叫が響きながらも、

「ああ? これは、たぶん――? 何か、私とポーカー行きたいとか言ってた子たちの分」

 と、パク・ソユンは、“某赤髪の不良男子高生がバスケットボールに目覚めるような漫画や、最初はオレンジ色の玉を探していた漫画――、あるいは世紀末に頑張って戦う覇者たちの漫画などで使い古されたテンプレのセリフ”とともに殴るが如く――!!

 その変形させた右手で、ユスリ・タカリをつ!!

「ぎ、ぃぇ”ぇ”ぇ!!!! や”、やめ”ッ――!?」

「ごめん、まだまだ――。これは、何か、ヨンファと接待ゴルフ行こうとしてた人たちの分――? あと、何か、皆の分? たぶん、皆の分――。たぶん違うけど、皆の分……」

「後半、けっこう、適当になってないかい……?」

 ドン・ヨンファにつっこまれつつ、パク・ソユンは7、8回ほど、ユスリ・タカリを殴り潰す。


 そうして、ユスリ・タカリを解放するも、

「ギ、ギ、ギィ……、も、モル、モットどものぉ……、ぶ、分際……、で……」

 と、まだその再生能力は残っているのか? ユスリ・タカリは憎悪にまみれた表情でふたりを見つつ、その肉体を何とか再生しようとする。

 それを見て、

「てか!! ヨンファ!! 早く何か召還しなさいよ!! コイツが再生する前に!!」

「あっ、ああッ!!」

 と、パク・ソユンがドン・ヨンファを急かす。

 そうして、ドン・ヨンファが、


 ――ブ、ワァンッ――!!


 と、異能力を以って、“植物”を召還する。

 それは、巨大なウツボカズラのような見た目であり、

 ――パ、カァッ……!!

 と、開きながら、ユスリ・タカリを飲み込む!!

「ギィッ――!? な、何をするッ!? このモルモットどもォッ!!」

 ユスリ・タカリは叫ぶも、やはり遅く!!


 ――ジュ、ワァァ……!!!!


「ぎっ――!? ぎぃ、ゃ”ぁぁ”ぁー!!!!」

 と、強力な溶解液に、その肉体が侵される!!

 下に満ちた溶解液と、上からも、その蒸気は供給され続けるという。

 ゆえに、ユスリ・タカリは再生しようとしても、そのそばから溶解され続けるわけである。

 そんな、無限に続くとも思える“溶解”を“ウォッチ”しつつ、

「これで、いいかい?」

 と、ドン・ヨンファが聞いた。

「まあ、いいんじゃ、ない?」

 パク・ソユンが答える。

 こうして、ただの人間異能力者ながらも、パク・ソユンとドン・ヨンファのふたりであるが、超人的な能力を持つユスリ・タカリに勝ったわけである。

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