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【トランス島奇譚】  作者: 石田ヨネ
第四章 調べにかかる

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23 【便意を聞いてくる人間】


 まず、女のほうが、

「そ、そ、ソユン、さん……」

 と、声かけてきた。

 ただ、その声はというと、少し震えているのだろうか――? 

 あるいは、どこか、“つまるような感じ”がした。

 それに対して、

「……」

 パク・ソユンは、ジッ……と、無言のまま佇み、

「へ――?」

 と、反対に、ドン・ヨンファは間の抜けたような声を出していた。


 また続いて、

「いま、から、下で……、パーティがあるんだけ、ど、」

 と、男のほうが、微笑しながら言った。

 こちらも、どこか震えるような、すこし不自然な感じが漂っていながら――

 その言葉を聞いて、

「えっ? パー、ティ……?」

 ドン・ヨンファが、キョトンとしながら反復する。

 ただし、

「……」

 と、パク・ソユンのほうは、相変わらずに無言のままである。


 そのパク・ソユンに、

「やっぱり……? そうなの、かな? ソユン?」

 ドン・ヨンファが、恐る恐る聞く。

「……」

 と、パク・ソユンは、まだ反応しない。

 何かを、

 ――ジッ……

 と、見ているようにみえる。

 ふたりが、そのようにしていると、

「え、え……、いっ、しょに……、いきま、せんか……?」

 と、女のほうが、提案するように聞いてきた。

 ただ、やはり、その様子は不自然さがある。

 まるで、ヴヴ、ヴ……と、震えるているかのように。

 それを見て、

「ん、ん……?」

 と、ドン・ヨンファも、感じる違和感が強まってくる。

 すこし、警戒をしながら、

「そ、そうです、ねぇ……」

 と、ドン・ヨンファは、様子をうかがいながら答えようとした。

 その時、



「――ちょっと、待って」



 とここで、パク・ソユンがようやく口をひらいた。

 また同時に、その手で、ドン・ヨンファを制止していた。

「ん――? そっ、ソユン?」

 ドン・ヨンファが、ポカンとしながらも、そのワケを聞こうとした。

 矢先のこと、うつろな男女ふたり組だが、


「……」


「……」


 と、無言で、ピタッ――と、静止した。

 そう思いきや、次の瞬間には、

 ――ヴヴ、ヴ、ヴ……!!

 と、あからさまにおかしい様子で、彼らの身体が振動し始める。

「――!?」

 ドン・ヨンファが驚きに、身体をビクン――!! とさせながら身構える。

 いっぽう、

「……」

 と、パク・ソユンが動かないものの、ジッ……と、その様子を正視していた。

 次の刹那、


 ――ボ、ゴォッ……!!


 と、彼ら、虚ろな男女たちの口が大きく開き!! 【ナニカ】を、


 ――ゴバァッ――!! 


 と吐き出した!!

 それは、一瞬――、まるで水圧から解放された魚が、その内臓が口から飛び出すのと同様――!! 

 彼らの、赤い、【身体の中身】が出ていたのだ!!

 そして続けざま、大きく出てきた【彼らの内部】から、まるで柔らかい【ゴム手袋の内側と外側をひっくり返す】かのように、


 ――グリン……!!


 と、彼らの身体の!! 【内と外側】が完全に【裏返り】――!! すなわち!! 入れ替わったのである!!

 なお、その変化だが、彼らの口とは反対側の――、すなわち、尻の肛門のほうでも起きながら――

 この、一連の、衝撃的な【変形】!!

 そんなものを見たわけであるから、

「あ、あ”、あ”、あ”、あ”っ……!!」

 ドン・ヨンファは、まるで壊れたかのように震えていた。

 続けざま、

「うっ、うわぁぁ”ぁ”ーーん!!!!!」

 と、錯乱気味に絶叫した。

 あまりの衝撃と、目の前で起きたことの【グロさ】。

 目・鼻・口といった穴や、尻の穴、はたまた毛穴などいった、ありとあらゆる穴という穴から、

 ――ドバーッ!!

 と、【ナニカ】が噴き出てしまいそうになる。

 その時、



 ――ぷっ、すん……!!



「あっ、うぅん――!?」


 と、ドン・ヨンファは突然に!! 【尻に入ってきた感触】に――、【若干の痛気持ちいい感覚】に嬌声のような奇声をあげる!!

「うっ、うぅ~……、ん……?」

 ドン・ヨンファが、ゆるり……と振り向き、見てみる。

 あろうことか――? 

 そこには、ドン・ヨンファの短パン越しから、パク・ソユンが、指で【カンチョー】をしている姿があった。


「ちょっ、と……? 何で……? 【カンチョー】なんか、してるんだい? ソユン?」

 あまりに唐突かつシュールな出来事に、ドン・ヨンファが固まりそうになりながら聞く。

「ああ……? 何か、アンタ、そのままだと、さ? また、何か、漏らしそうだと思って……。事前に、塞いであげたのよ。何? 意外と気持ち良かったの? 今度から、カンチョープレイしてあげよっか?」

「い、いや……、普通は、出すためにするもんじゃないのか、カンチョーって? て、てか、ちゃんと状況見なよ!! こんなことしてる場合じゃないでしょが!!――うぐッ!?」

 と、ドン・ヨンファは声をあげながらも、言い終わりに、違和感に尻をおさえる。

「ん? 何? 【便意】、催してきたの?」

「いやいやいやッ!! 何こんな状況で【便意の確認】なんかしてんの!? 頼むから!! もうちょっと緊張感持ってくれって!!」 

 ドン・ヨンファは思わず叫ぶ。

 頭をかち割って、中身を見てやろうか、と――?

 こんな状況で【便意を聞いてくる人間】など、このパク・ソユン以外、この世にいないだろう。

 某隕石のハリウッド映画で、超巨大津波から山岳へ逃げるような状況ですら、この人間は、便意を確認をしてくるにちがいない。 

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