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家召喚で快適な異世界旅行を満喫します。  作者: 白田 まろん
第一章 ジャックの秘密
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第一話 独り立ち

 俺の名はジャック・アレオン。身長は177センチで細マッチョ、短髪の黒髪にアクアマリンの瞳は意外に女性の目を惹く。自分で言うのもなんだがそこそこモテるのだ。


 十五歳で成人となった数日後のこと、俺は王都にあるフリーギルド・ビークを訪れた。


 ギルドとは傭兵、商人、手工業者などの間で結成された職業別の組合のことをいう。


 個人はそれぞれの特技を生かせるギルドに所属して仕事を得るか、特技がなければ何でも屋(フリーランス)として、雑用やこぼれ仕事を請け負うのが一般的だった。そしてこれら何でも屋の仕事を扱うのがフリーギルドというわけだ。


「ジャック・アレオンさんですね」


 俺の受け付けを担当してくれたのは二十歳前後に見えるコリンヌさん。人懐っこそうな美人で胸がかなり大きい。背筋が伸びて姿勢がいいせいで、余計にその双丘が目立つ。


 十五歳で思春期真っ只中の俺には刺激が強すぎる、思わず色々教えて頂きたくなる年上のお姉さんだった。


「何かご希望はありますか?」

「俺はあまり力がないので、それでも出来る仕事であれば何でも構いません」


「かしこまりました。ではこちらへの記入と登録手数料五百カンブル、年会費五千カンブルの合わせて五千五百カンブルをお支払い下さい」


 地代や家賃の高い王都でも、安宿ならパンとスープ程度だが朝食が付いて一泊の相場が五千カンブル。この額が年会費なら良心的と言えるだろう。ちなみに大衆食堂なら五百カンブルで安いランチが食べられる。


「えっと、仕事を斡旋してもらう時に料金ってかかりますか?」

「いえ、それは依頼主から支払われますのでかかりません」


「仕事を失敗した時のペナルティーはありますか?」

「内容ごとに異なりますので請け負う前に必ずご確認を。失敗した際の損害賠償額が大きい依頼には気をつけて下さい」


「では逆に難クセとかつけられて、ちゃんと仕事したのに達成を認めてもらえなかったらどうなります?」

「その場合は私共が仲裁に入ります。依頼主側に問題があれば予定報酬の倍額が支払われます」


 つまり賠償は請け負った側だけではなく、依頼する側にも発生するということか。なかなかフェアではないか。まあ、多少の忖度はあるかも知れないが。


「あ、それと安く泊まれる宿って紹介してもらえたりしますか? ギルドと提携していて会員割引きがあるとか」


「そういうところはありませんが、ここを出て右にまっすぐ、四ツ辻を左に曲がって二十分くらい歩くと赤い屋根で三階建ての建物があります」

「何という宿屋ですか?」


「ブッシュさんです。一室二畳の素泊まり専門ですけど、一泊二千カンブルだったと思います。ただ……」

「ただ?」


「お風呂はもちろん洗面所もありません。お手洗いは外に建てられた小屋で共同。朝、顔を洗うためのお水は洗面器一杯で千カンブルかかります」


「それ、安いって言えるんですかね」

「まあ、本当に寝るだけでしたら」


 俺もコリンヌさんも苦笑い。しかしそんな宿でも利用者が多いというから驚きだ。


 他にはビークから徒歩五分ほどのところにある酒場バルニエ。そこの二階が宿になっているらしいが、酒場で酔わないとうるさくて眠れないらしい。


 お姉さんのオススメは出て左に十分ほど歩いた先にある、アスランという食堂兼宿屋とのこと。ただしこちらは一泊朝食付きで八千カンブルかかるそうだ。


「宿泊客が夕食を食堂で摂るなら一割引きしてくれますよ」

「えっと、何でも屋の初心者が毎日一万カンブル以上稼げるものなんですか?」

「む、難しいですね」


「早めに家を借りることを考えた方がいいのかな」

「王都で家を借りるとなるとかなり高いですし、物件によっては貴族様か中規模以上の商会が保証人にならないと借りられないところもあります」


「それなら父上に……いや、ダメだ」

「保証人にお心当たりがあるんですか?」

「いえ……」


「あ、そうです! ジャックさんは読み書き計算は出来たりしますか?」

「はい、問題ありません」


「よかったです。そんなジャックさんに打ってつけのお仕事があります!」

「おっ! どんな内容ですか?」


「ユゴニオという大きな雑貨店の店員さんです」


 読み書き計算が出来るなら成人以上で年齢不問、犯罪歴がない限り身分も問わないとのこと。王都の貴族区画と平民区画の間にある店で、雑貨店でありながら武器や防具、魔法具なども取り扱っているそうだ。


「しかもですよ、部屋は広くありませんが従業員宿舎があります。お給金は月に十五万カンブルですが見習い期間の三カ月は十二万カンブルです。宿舎に入る場合は利用料が月六万カンブル。お休みは七日に一度で、お昼は賄いが一食三百カンブルで食べ放題だそうです」


「それはよさそうですね」

「面接に行かれますか?」

「ぜひ!」


 王都では間取り一部屋の狭い共同住宅の一室を借りる場合でも、家賃は最低十万カンブル以上かかるという。だから六万カンブルで住める宿舎はかなり魅力的なのだ。


 俺はコリンヌさんから紹介状を受け取ると、その足でユゴニオに向かうのだった。


あらすじにも書きましたが、1カンブルは1円とお考え下さい。

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