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幸せのしたに

 劣等感を感じさせないことはできても、劣等感を感じない人間なんていやしないというのが、持論だ。

 劣等感というのは、人によっては、気軽に場に出せないジョーカーのようであって、ホイホイと出せるカス札のようでもある。

 僕はホイホイと出せるカス札のタイプだ。


 人と比べたって虚しいと分かっているからだと、自分で慰めたこともあるし、相応の努力とか、才能とか必要なものが多すぎると、分かっているからだ。


 時折やってくる嘲り、虚しさにさえ耐えれば、そこそこに生きて行ける時代と国であったし、傷を埋める娯楽には事欠かなかったし、劣等感を抱きながら、へらへらと生きて行けるというのも、凄いことだと思う。


 まぁそんな経験をしている僕には、正直なところ彼女ら達のすむ貴族の世界なんて他人事に近いものだ。


 強いて言うのであれば、アイドル、芸能界に、近いのだろうか。

 人の憎悪に、才覚に、努力にいくつも産み出される劣等感で、簡単に自らの人生が、翻弄されてしまうことが、近いのかもしれない。


 本人が望んだか望んでないかの違いや、色んなしがらみとかあるから、そんなに比較するものじゃないかもしれないけど、ダブってしまうことがある。


 まぁだからこそ女神様が、意図的に思い起こすような役割を与えらているわけだ。


 眼下には、僕よりもひどい役割を与えられている王子と婚約者が、大勢の人の目の前で、神官に、女神に永遠の愛の誓いの言葉が宣言されていく。


 一つ一つの儀式が終わる度に、周囲から漂うのはお祝いムード。


 そんな周囲の雰囲気を取り込みさらに増大させ、輝きを纏う王子達。

 ここだけを切り取り飾る家庭がいても何らおかしくはなく、


 どれ程の人が、羨み憧れるかわからない。

 そしてとても幸せそうだと思う。



 この幸せの下には、色んなものが埋まっている。

 幸せの皮の下に、悪意や、野心に、肥大な自尊心、矮小な劣等感、特別な日の主役たる優越感、いくばくかの不安、数奇な運命、そんなものの上に成り立つ幸せの時間。


「女神の代行足る女神の愛しき聖女と、この国の次期王である私は、永遠の愛を誓い、冠に恥じることのない歩みだ、二人で、困難を乗り越えて行くことを女神に誓います。」


 その誓い言葉を聞き届け、女神に報告をするように大きな声で報告する。


 その時に僕はヒラヒラと舞い下り、王子達の前に現れる。


「この国は女神を謀り、信じるに値せず、故に滅ぼすが正しき道となりましょう」


 先ほどの誓いの言葉より大きく轟くこえに、

 輝かしい未来のように、言い伝えられている女神は現れた。

 当たり前のように女神は告げた。


「なるほど、異論はないなら報告通り、滅ぼす事にしよう。」



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