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第三回
さて、ボクは分裂れる理由という話を書こうとしているわけだが、如何せんモトネタの小島信夫別れる理由のとりとめのなさに尚も辟易しながら半径一キロの行動範囲のなかで私生活を生きている。小説論が小説の形でしか表せないことを小島信夫は別れる理由のなかで書き表したことであろう。ボクもまた分裂れる理由で重厚と軽薄の間を経巡りながら、人間の生きる道の有り様について縷々述べて行くつもりだ。
歴史を繙けば人間という存在とは如何に愚かしいものであろうか?そう書いてみたところで何も言い得ていない自分が情けない。
重厚と軽薄の間を往き来しようが、いずれにせよ人間には生活が否応なく横たわる。
精神異常を来しながらなお自分に残るマトモさによって分裂れる理由は書かれて行くであろう。ただ問題なのは異常さの方なのではあるまいか?
異常精神は何も語り得ない故にウィトゲンシュタインが奨めるように沈黙しなくてはならないのか?ただ命あるかぎり生きた証を遺したいそれだけなのに。