プロローグ
俺の名前は西村 ヒロ、16歳、彼女無しの冴えない高校2年生だ。
今日は日曜日の休日なので、朝からダラけて、ベッドで寝ていた。
時計を見るとまだお昼の12時。ああ、今日も彼女無しの冴えない一日が始まるのか。
そう思い、起き上がろうとすると、ふいに携帯が鳴っていることに気づく。
「ブーンブーン」
マナーモードにしていた俺の携帯が鳴り響き、最初は電話を無視しようとしていたが、あまりにも何回も電話がくるので仕方なく電話に出た。
「あ、はいはい、もしもし」
俺は電話越しにでも、眠そうだとわかるような声で会話した。
「やっと出たか!おいヒロ!お前にもHPバーは出たか?」
そういってきたのは、中学からの悪友の二川 レオである。
「HPバー?何それ?」
俺の言葉にため息をついてレオは言う。
「頭の上!何かないか?」
頭の上?
まだ俺は起きて寝ぼけていたらしく、悪友に言われてようやく焦点を合わし、ソレを見た。
よく見るとファンタジーゲームでよく見る緑色のHPバーがそこにはあった。
「うん、何これ?ゲームみたい」
俺の言葉にレオはさらにため息をつき答えてくれた。
「なんだよ!やっぱり今頃気づいたのかよ!そうヒロの言う通り、世界がゲームのようになったんだよ!テレビつけてみろテレビ!」
俺は仕方なくレオに言われた通りに、テレビをつけた。
テレビのメインキャスターの頭にも緑色のHPバーが存在しており、画面にはファンタジーゲームに出てくるような戦士や魔法使いの服を着た人たちが杖や剣を持ち、スライムやゴブリンなどのいわゆる下級モンスターと戦っている様子が映し出されていた!
「何これ!映画か何か?」
「違うって!これは現実だから!とりあえずユウスケと一緒にヒロの家に行くからそれまでテレビでも見てろって!」
俺はとりあえずテレビを見ながら二人を待つことにした。
インターフォンがなり、ドアを開けるとレオともう一人の悪友の日野ユウスケが来ていた。
俺を含めこの三人は中学が一緒で高校生になった今でもたまに集まって遊ぶ親友である。
「とりあえず中に入れよ」
俺の部屋に入り、ソファーに座りレオが話を切り出した。
「みんなテレビ見たりして、わかってると思うけど現実世界がファンタジーゲームのような世界になってしまった。いち早く気づいた人はすでに職業、つまりジョブを取得して戦ってる。そこで、俺らもファンタジーゲームみたいに参戦しよう!」
レオの言葉に俺とユウスケは驚いた。
「でも危険とかないん?それに職業を取得ってどうするか知ってるん?」
珍しくユウスケが発言した。
レオが迷わず言う。
「ネットの情報ではステータスと念じると、ステータスが表示されて、ジョブのボタンを押すと職業取得のためのアンケートを答えるだけで手に入れることができるらしい。しかも今出現しているのは雑魚モンスターのみやからケガする確率は低い」
レオのその言葉を聞いて、俺がやってみよう!というと三人の方針は決まった。
三人とも頭でステータスと念じると、そこには三人のステータスが表示された。
西村 ヒロ
16歳 レベル1
職業 なし
体力110
攻撃力18
守備力19
スピード13
魔力25
二川レオ
16歳 レベル1
職業 なし
体力115
攻撃力12
守備力11
スピード20
魔力21
日野ユウスケ
16歳 レベル1
職業 なし
体力120
攻撃力13
守備力12
スピード18
魔力 9
「こうしてみるとレオがサッカー部でスピード早くて、ユウスケが陸上部で体力があるって感じだな!」
俺がそういうとユウスケとレオが頷いた。
続いて三人で職業ボタンを押した。
アンケートは簡単なものであった。
三人とも確認ボタンを押し、自分たちが選んだ職業になった。
俺は攻撃力と守備力、魔力に適正があったので魔法剣士になった。
レオは俺たちの中で一番スピードがあったので盗賊という職業になった。
日野は魔力がなく体力とスピードがあったのでヒール戦士という変わった職業についた。
そして、ステータスに変身しますか?という文字が出てきたので三人とも押した。
すると、三人とも一瞬の内にそれぞれ選んだ職業の服に変身した。
レオの服は薄着で短剣を持ち、スカーフをした黒髪イケメンの盗賊という感じで、ユウスケは大剣に金色のブレスレットをはめ、攻撃と回復を兼ね備えた金髪のたれ目で、俺は赤服でハットを着て細い片手剣と金のリングをつけ攻守を兼ね備えた万能型であった。
三人ともちょっとしたナルシストなので、鏡で変身した自分の姿を見て喜びに溢れていた。
「よし!じゃあモンスター狩りに行きますか?」
いつも無口なユウスケがテンション高く言い放った。
俺たち3人は剣を抜き家のドアを開け、冒険に繰り出した。
こうして、俺たち三人の戦いは始まった。