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短編

僕のこと来世でも〇〇にしてね

作者: 小鳥遊 悠治

 人は死んだらどこに行くのだろうか? 僕は物心ついた時からそんなことを考えていた。

 死とはいったい何なのだろう。昨日まで元気だったおじいちゃんが次の日の朝に冷たくなっていたり、昨日まで元気に走り回っていたハムスターが次の日には全く動かなくなっていたりしている。

 猫は自分の死期が近づくと飼い主にナイショでどこかに行くという話があるけど、あれは本当なんだろうか。

 死ぬのは怖い。けど、生物である以上、それはどうやっても回避できない。

 死んだハムスターを庭に埋めていた時、お母さんはとても悲しそうな顔をしながら、こちらを見ていた。

 お母さん、どうしてそんなに悲しそうな顔をするの? 僕はここにいるよ。

 僕はお母さんの方に手を伸ばす。けど、その手はお母さんの顔をすり抜けてしまった。

 その時、僕は気づいた。ああ、そうだ。僕はハムスターが死ぬ前に死んでいたんだ。それと同時に僕は死んだ実感がないことに気づいた。

 もしかしてお母さんに伝えたいことがあったから、ここにいるのかな? うーん、よく分からないけど、最期に一つだけお母さんにお願いしようかな。お母さん……今まで体が弱い僕の面倒を見てくれてありがとう。そんな僕の最期のお願いを聞いてくれる? 生まれ変わったら、必ずお母さんのところに行くから、その時はまた僕のことを大事にしてね。


 死とは生物である以上避けることができない。だが、死んだ者たちの行いは、この世の者たちの記憶に刻まれる。

 我々はその無限の連鎖の中で生きていく。例え、人類が滅びようともそれは決して変わらない。この星の生物たちはみな、いつの日か生まれ出でたる源に帰るのだから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 気の利いたことを言おうと思った野ですが、悲しくなって無理でした……
[良い点] 「僕」の目線で描くことで、お母さんへの感謝がより伝わりやすくなっていると感じました。 温かな気持ちになれる作品だと思います。 短い中で「僕」の心が上手く表現されていて良かったです。
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