ACT3-1 取られた銃
私事:昨日までの8作はHPに掲載していたものをそのままコピー。今回はワープロで打った原稿を見ながら、手打ち。
昨日、友人がコインロッカーに荷物を取りにいった際に男は同行したのだが、その時の出来事。
友人の荷物が入っているロッカーの、真上にあるロッカーが半開きになっていた。男は、そういうちょっとした"ずれ"みたいなものが気になるらしく、きちんと閉めようとした。
1度完全に扉を開け、中を確認してしてみようとしたのだが、中にはあるものが入っていた。
金を払うのが面倒くさいとかいって、ロッカーに荷物だけ入れていることはたまにあるが、そこに入っていたものはそういうものとは一線を画すものだった、
捨てたもの−−−−−−。
何となくそんな表現が似合っている。
中に入っていたのは、まさに常軌を逸していた−−−−−一丁の拳銃。赤ちゃんをロッカーに捨てるような時代だから、あるいはそんなものが入っていたとしても不思議ではない。それを目にするかしないかだけであって・・・。
友人に異変を感じ取られないように、極力平静を装いロッカーを閉める。後日取りにいこう、その時になくなっていたら仕方ない、本物かどうかもわからないものだ別に問題はない。
翌日、男はそこに向かった。大学の同じサークルに所属している女性を連れて、だ。行く先も理由も話してはいない。
「ねぇ、聞いた? また死んだんだって」
「ああ、このへんだろ。事件があったのって」
彼女は最近巷を、しかもまさにこのあたりを中心に起こっている拳銃を使用した殺人事件の話を持ち出した。ああそういえば、これから向かう先にあるものがそうかもしれない。
コインロッカー群があるあたりにさいかかると、そこには1人の男がいた。荷物でも取り出しているんだろうだろうが、立ち位置が妙に男の気に障った。
銃があったあたりだ。いや、まさしくその場所。
先に来ている男は荷物を、銃があった場所に入れようとしている。ということは、銃はすでになくなっているのか、
いや、朝刊では銃が発見されたという記事はなかったはずだ。ということは、昨日の深夜から今までの間に誰かが見つけたのか。
男は、仕方なく手前の空きロッカーで、怪訝がっている彼女を背に、無意味な捜索をすることにした。
「おかしいな、確かこのへんに・・・」
「なんかあったの?」
「ん?ん。まあ、ちょっと・・・」
彼女の問いにも答えられぬまま、何もないはずのロッカーに何もないことを確認せざるを得なかった行動に終止符が打たれ、結局彼女にはあとあと、わけのわからない弁解をしなければならなかった。
荷物を入れるのにとまどり、小銭をジャラジャラさせている男を背に、2人はこの場をあとにする。
探していた銃が、今まさに持ち出されようとしていることも知らずに・・・。




