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貧乏彼氏が欲しい。  作者: ミニマム太郎
1/2

出会う。

夜中の道を一人歩く、青年。

名前は空打奏多。

実を言うと、なぜ夜中の道を歩いているのかは不明。

気づいたら歩いてた。という感じだ。

手に握られた百円玉はあつーくなっている。

三日前からずっとずっと握ってたもんだから、真夏の日差しと体温で物凄く熱い。

この百円でどうやって生きてくか?

そのことで奏多の頭の中はいっぱいだ。

三日前から着てる服で三日前から風呂に入ってない額の汗を拭う。

決して不細工ではない、いや、整った、いや、凄く整った顔立ちの奏多が、(世間的に言うとイケメン)いわゆる『ホームレス』にあたることは誰も想像しないだろう。

そんな時、奏多の後ろに左右不信に曲がる暴走車が現れた。

考え事に夢中で視界が狭い奏多には見えるはずもない。

そんな時


「危ないっ」


奏多の前に、黒い影がとびでて奏多をキツく抱いた。

奏多はドキッと胸を弾ませた反面、何が起きたのか理解できなかった。

ドサッと音を立ててその場に落ちた二人。

「大丈夫ですか?」

そう聞いて来たのは、美人でもなく、ただのおじさんである。

奏多はなんでドキッとしたのか後悔しながら

「大丈夫です」

と不機嫌そうに答えた。

暴走車は耳障りの悪い音を鳴らして目の前で停車した。

暴走車はリムジンであった。

黒く磨かれたボディに外国車のマークが眩しかった。

リムジンの運転席の窓が開いた。

「じい。私は貴方を捨てたの。使い物にならないこのクソジジイがっ!」


奏多は愕然とした。窓から覗く人はとびきりの美人だった。とんでもない暴言を吐き捨ててフンと鼻を天に突き上げる。

「お父様がお怒りになられますよ?」

じいと呼ばれたその人と、美人の関係がやっとわかった。

“お嬢様と執事。″

金持ち…

金のことしか頭にない奏多は何かついているような気がした。

「お父様?!しらないわ!あんな人。」

ついにお嬢様は車から足を下ろした。

真っ赤なドレスに身をつつみ、茶色い髪の毛をゆさゆさ揺らす姿はお姫様に近いほど。

奏多の目の前ということを忘れ、二人は喧嘩を始める。

「シャンパン一本も注文できないこのクソジジイがっ!お父様と手を組んでんじゃないでしょうね?!」

そんなことで怒っているのか?この人は。

奏多は愕然とした。ホームレスの俺のことも考えろよ?

もうやってらんない。

奏多はため息をついて立ち上がった。


「待ちなさいよ!」


何故か止められ、振り返る。

「なんですか?」

待ってくださいとも言えないのか、このお姫様は。と、奏多は呆れた。

「じい、お父様に伝えて、私はこの人のところにいるってね!」

理解不能だ。


「何を言ってるんですか?」

「だから、……一緒に暮らすって言ってんのよ!」

「いわゆる…ぷ、ぷぷろぽー…」

「違うっ、」

お姫様は顔を赤らめて足を鳴らした。

「お父様から逃げるためにかくまえっつってんの!それまでの間だけなんだから!」


「お、お嬢様…何を言ってらっしゃるのですか?」

「うるさいっ」


奏多の手をお姫様が握った。

「もう決めたの。縛られた生活はやめるってね…」


何が奏多は自分に似たところがあると思い、何も言えず、お姫様に手を引かれたままリムジンに乗せられた。


「お嬢様?!」


執事の声を聞くことなく、お姫様はリムジンを走らせた。


そのお姫様の目からは、大量の涙が流れてた。

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