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魔を駆り、魔を操りし者

「とりあえず、偽魔王の復活で決起しちゃった残念な連中を鎮圧しに行こうぜ」

 ボウスのその一言で、偽魔王討伐でやや満足しかけたテイとルイも腰を上げてセントガルドに向かって歩きだした。

「レピスさん、いいですか?」

 歩きながらテイがレピスに訊ねた。

「なに?」

「前に城の兵と魔族が戦っている光景を見た時『魔力を使って強化している』って言ってましたよね」

「うん」

「魔王は偽者だったのに、一体誰が魔力を使って魔族を強化しているんですかね?」

 すると音もなくリモンが二人の間に割って入ってきた。

「そうね。誰か強力な魔力を駆使するものが魔族たちの中にいるって事になるわね」

「リ、リモンさん、急に入ってこないでくださいよ」

リモンの言葉を聞いてレピスも頭をかしげた。

「一体誰が……」

 テイが難しい表情になって前を見つめた。

「とにかく、謎の強力な魔力を使う奴がいて、そいつが今の魔族たちを先導しているに違いないですよ」

 すると急にルイが前方を指差して叫んだ。

「それってアイツじゃないか?」

「え?」

 林の小道を抜けるとセントガルド前の平原に出た。ルイが指差した先で魔族の一団とセントガルドの兵士たちが戦っており、その魔族の一団の最後尾に馬二頭が引く2輪戦車に、赤いマントを羽織った男の魔族が立っていた。

 どうやらその男が魔族の一団を指揮しているようであった。

 長い金髪に切れ長の目。しなる様な筋肉が無駄なくついた体は、身体能力も高い事をうかがわせた。

 テイたちは魔族に見つからないように、しばらく木々の陰から様子を伺っていた。

「とりあえず城の兵士たちが苦戦しているようだから、アイツがかけている魔法を解除しておく?」

 リモンの提案に一同が頷いた。

「しかもここからなら、後方からあの指揮官をダイレクトに攻撃できそうだしな」

 ルイが正攻法とは言えない、姑息な手段を口にしたが、テイもボウスも賛同していた。

「やっちゃおうぜ」

「うんうん」

 三賢者たちの意見がまとまったところで、リモンが木の陰から出て指揮棒のような魔法の杖を振るって呪文を口ずさんだ。

 リモンの杖から強い光を発する玉が現れ、それは素早く飛んでいくと魔族たちの上で大きく輝きだした。

「すご、なんか派手な魔法だな」

 すると魔族たちの魔法による影響が消失してしまったのか、一転して城の兵士たちの方が押し返し始めた。

「この分なら俺たち出て行かなくてもいいんじゃないか?」

 ルイが無気力そうな発言をして木にもたれかかった。

「いや、やっぱアイツと戦わないとダメそうだぞ」

 ボウスが慎重な口調で答えた。

「なんでだよ?」

「いや、こっちの方、すっげぇ怖い目で見てるんだよ」

「み、見つかっていたのか?」

 見ると、魔族を指揮していた男が戦車の向きを変えてこちらに進んできた。

「やばい、マジでこっち来るぞ」

「さっきの魔法が派手すぎだったんじゃないか?」

「逃げるわけにいかいないだろ、やるしかないよ」

「いや、ちょっと待てよ、あいつはマジで強そうだぞ」

 あたふたとテイたち三賢者がしている間に、戦車は一行の目の前に止まり戦車の上から長い金色の髪を垂らした男がこちらを睨みつけながら笑っていた。

「貴様らか。先ほど私の魔法を邪魔したやつらは」

 ルイが慌てて手を振って釈明を始めた。

「い、いや、邪魔したのは俺たちじゃなくてこの魔法使いの女で」

「あんたたちがやれっていったんでしょ?」

 リモンが無愛想に答えるのを聴いて戦車の上の男は大きく笑い出した。

「フッハハハ。どうやら少し手ごたえのある奴らがいたようだな。いいだろう。この私自らが、お前らの体を全て引き裂いてやるわ」

「ひ、引き裂かれちゃうのかよ?」

 動揺するルイの肩をテイが叩いた。

「ルイ、何言っているんだよ。俺たちは最強のパーティーだろ?」

「あ、そうだったな。すっかり忘れていたよ」

「忘れるなよ、そこは」

 ボウスもルイに突っ込みながら前に出た。

「貴様ら只者じゃないな? 一体何者だ」

 戦車上の男の問いかけに、テイが剣を抜いて答えた。

「俺たちは三賢者の末裔。そして偉大な魔法使いと神からの使者の最強のパーティーだ」

 戦車上の男が両手を広げて叫んだ。

「すばらしい!」

「な、なに?」

「これこそ私の待っていた展開だ。最高の相手がやっと来たじゃないか」

「ところでお前は誰なんだよ?」

 ルイの問いかけに男は羽織っていたマントを脱ぎ捨てた。

 その中から黒いレザーに包まれた引き締まった肉体が現れ、大きく腕を組むと男はテイたちを見下ろしながら口を開いた。

「私は魔王の副官、漆黒の閃光 ダイナ・グラッパァだ」

「ふ、副官、魔王の?」

 テイたち三賢者に戦慄が走った。

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