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三賢者とイストガルドの夜

 魔道師範リモン・ライモンを新たに雇い入れ、テイたち三賢者とレピスは、ノゼスト山に向かう準備のためにイストガルドに戻り、旅の準備を整え、休憩のため一泊することになった。

 宿屋の一室。そこにテイ、ルイ、ボウスがいた。テイとボウスは椅子に座り、ルイは立って歩きながら2人に何かを話していた。

「いいか、いよいよ俺たちは明日、ノゼスト山に登って飛竜に乗り込むんだ」

「ああ」

「そりゃわかってるよ」

 テイとボウスが答えた。

「いいか、そしたら俺たちは一気にデスフィールドに行っちまうんだぞ」

「ああ」

「そりゃわかってるよ」

 テイとボウスが答えた。

 しばしの沈黙の後、テイとボウスが声を合わせて訊ねた。

「で?」

 2人の短い問いかけにルイは振り返ると、拳を握って叫ぶように問いかけた。

「俺たちこれでいいのか?」

 またしてもしばしの沈黙が流れた。

「つまりどういうことだ?」

「いいか、俺たちはいよいよ引き返すことのできない場所に踏み入れるんだぞ? こちら側の世界においそれと戻ってこられないんだぞ? このままでいいのか?」

「だから、なにがいいんだよ?」

「俺たち、最後に楽しい時間を過ごしてもいいんじゃないか?」

「楽しい時間?」

「なんだよそれ?」

 急にルイが冷静な口調で語り始めた。

「楽しい時間、それはズバリ、かわいい女の子と楽しいひと時を過ごすってやつじゃないか?」

「は?」

「ていうか、それ以外あるのかよ! この草食系童貞どもがぁ!」

 一転して大きな声で叫ぶルイであったが、テイとボウスはやや脱力気味になっていた。

「そ、草食系童貞って……」

「つまりもっと具体的にはどうしたいんだよ」

 ボウスの質問にルイは再び目をむいた。

「だから、女の子と、お食事会、だろうがぁ!」

「お食事会?」

「そういえば、レピスさんも前にイストガルドでよく食事会したって言っていたなぁ」

 テイのその言葉に、すかさずルイが反応した。

「だろう? 俺はその話を聞いた時から、俺たちに欠けているものはこれだって思っていたんだ」

「そんな時から思っていたんだ……」

 テイもボウスも、そこまでルイの思いが強かったことに、あきれるのを通り越してやや感心し始めていた。

「と、言うわけで、テイ!」

「な、なんだよ」

「なんか、あれ、テイはさ、女の子の知り合いとかいないの?」

「姉さんくらいかな?」

 ルイは大袈裟に頭を抱えてため息をついた。

「マジかよお前。よくレピスさんお前についてきたなぁ」

「ほっとけよ! ルイはどうなんだよ?」

 ルイは髪をかき上げながら余裕の笑みを浮かべた。

「俺も、特にいない!」

「いないのかよ!」

「それとなんでちょっとえらそうなんだよ!」

 ボウスとテイの突込みに対してもルイは余裕の対応だった。

「まあ、いいじゃないか。で、ボウスは?」

「ああ? まぁ、友達くらいなら」

「なにぃ!」

 ボウスの『女の子の友達いる発言』を聞いて、急に低姿勢でルイがボウスに懇願し始めた。

「ちょっと、食事会とかやってくれよ。マジ、マジ、頼むよ!」

「まじで? めんどくせえなぁ。そのかわりどうなっても知らねぇからな」

「じゃ、早速連絡とってくれよ。いやぁ、ボウスの地元であるイストガルドに戻って正解だったな」

「じゃあ、段取ってくるわ」

 ボウスはあまり乗り気じゃない感じで部屋を出て行った。

 ウキウキのルイとは対照的にテイが不安そうにルイの方を向いた。

「でも、さぁ」

「ん? なんだよ」

「レピスさんとリモンさんには、なんて言うんだよ」

 テイが心配そうに呟いた.

「俺に任せろ。大丈夫だって」

ルイはテイと肩を組んで、またしても余裕の笑みを浮かべた。

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