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魔女の塔と塔の上の魔女

 一行は、さっきまで迷路だった瓦礫を乗り越えて、魔女のいる塔の入り口から中に入っていった。

 塔は中央が吹き抜けで無数の階段が交差して作られており、そのはるか最上階はかすんで見えないほどだった。

「まためんどくさそうだな、これ」

「しかも高いよなぁ」

「なんかこの1階だけでも5個所階段があるぞ……」

 三賢者はすっかりやる気のない表情になり、息をつきながら持っていた荷物を肩から下ろし、床に腰を下ろした。

 そんな賢者たちを尻目に、上を見つめていたレピスがぐっと手を握ると皆に話しかけた。

「みんな、これは魔法がかけられているわ」

「どういうことだ?」

 三賢者たちの視線がレピスに集まった。

「このたくさんある階段は、まやかしよ」

「え?」

「これから魔法を解くから、みんな一旦塔の外に出ていて」

 レピスの言葉を受けて三賢者たちは相談を始めた。

「ど、どうする?」

「レピスさんがああ言っているんだから、ここは任せようよ」

「だなぁ」

 テイたちは荷物を持って立ち上がった。

「わかったよ、じゃあ、まやかしが晴れたらよんでよ」

「うん」

 皆が塔から出たのを確認するとレピスは塔の中央に行って両手を上に掲げた。すると両の手から青く光る風が巻き起こり、次第に風力が強まっていくと、それは竜巻のように変化して更に勢いを増していった。ついには塔の中にある階段を風に巻き込んで粉々にすると竜巻は細くなっていき、巻き込んだ瓦礫を塔の中央に集めだした。

「再構築!」

 レピスが叫ぶと竜巻は光り輝いて消え去り、塔の中央に石で組んだ長い煙突のような円柱が出来上がっていた。

「みんな、いいわよ」

 レピスが扉の方を向いて声をかけるとテイたち三人が再び塔の中に入ってきた。

「なんか中でものすごい轟音がしていたけど」

「お、おい、あれなんだ?」

 ルイが塔の中央の石を積んだ円筒形の太い柱を指差した。

「さっきはなかったぞ。それに階段がなくなっている」

 皆が塔の中央に出現した円柱に驚いていると、その円柱からなにやら低い音とともにキイキイという音がし始めた。

「な、何の音だ?」

 レピスが円柱の反対側に来て手招きした。

「みんな、こっち来てみて」

「どうしたんだ」

「ほら、昇降機よ。これを使えば最上階なんて一気についちゃうわよ」

「なんだ、助かったよ」

「これが隠されていたのか。よし、早く乗ろう」

 

 昇降機に乗って最上階に着くとそこには先ほどまでいた1階の殺風景な環境とは打って変って、きれいな絨毯がしかれた小奇麗な部屋だった。

「うわぁ」

壁には一面の本棚やガラス棚があり、その一角に大きなデスクがあって、その前に一人の小柄な少女が立っていた。

「あ、も、もしかして、あなたが塔の上の魔女、ですか」

 ボウスにそう聞かれた少女は感情のないような表情で皆を見つめていた。

 白とベージュの縞模様が入ったローブを着て、長い金髪を左右に結んでおり、見つめる瞳はエメラルドのような緑色だった。

「そうよ。あたしがここの主、魔道師範リモン・ライモン」

「リモン、さん?」

「営業用の名前だけどね」

「はぁ(なんだそれ)あ、お、俺たちは」

「言わなくてもわかっているわ。あなたたちが何者かね。テイ、ルイ、そしてボウス」

「俺たちの事を?」

「魔王討伐のために旅をしているんでしょ? わかっているわ」

「さ、さすが稀代の魔法使い」

「ただ」

「ただ?」

「彼女がなぜそこにいるのかしら?」

 リモンが冷めた目でレピスを見つめた。

「彼女? レピスさんのことか?」

「そうよ。これは理解に苦しむことよ」

「あ、彼女は旅の途中で一緒に行動することになって……」

 テイの説明を遮るようにリモンが淡々とした口調で話し始めた。

「彼女と一緒に行動するという事は、わたしにとって、舞台上で幽霊コントを行っている演者に『後ろ、後ろ!』と観客の子供たちが声をかけるようなものよ」

「なに言っているのかよくわからないんだけど……」

 理解に苦しんでいるテイの横を通って、リモンと名乗った塔の上の魔女はゆっくりとレピスの前に立った。

「勝手にエレベーター作っちゃうとか、めちゃくちゃするのね」

 リモンの言葉を聞いてテイたち三賢者は、困惑した表情になった。

「作る?」

「隠されていたんだろう? 魔法で」

 リモンは、テイとボウスの呟きを聞いていないようで、真っ直ぐにレピスの顔を見つめていた。

「あ、あなた」

 レピスはリモンの頭の中に話しかけた。

(やっぱりリモン……リモン・ライモン、あなただったのね)

「久しぶりね、レピス」

「ちょ!」

(なに普通に口に出して話しかけてるのよ! こっちが頭の中に話しかけているのに!)

 リモンの一言にテイがレピスに訊ねた。

「え、知り合いなの?」

「あ、あのね」

 レピスがどう答えようかと思っていると、かまわずにリモンが口を開いた。

「そうよ、なにせ私たちは……」

 リモンの言葉を切るようにレピスは素早くリモンに抱きついた。

「あー! 久しぶり! ホント久しぶりね!」

(余計なこと喋らないで!)

(どういうこと? なんで魔王のあなたが彼らといるの? 彼ら、三賢者でしょ?)

(いいから、今は何も言わないで!)

 レピスは有無を言わさずリモンを抱きしめ続けた。 


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