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小六探偵ユウトの事件簿!  作者: 光大地
【春】4月章:消えた給食費の謎

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第1話.転校生がやってきた!(事件編)

「やあ、はじめまして。少年」


春風の吹く朝。

校門をくぐった先、無人の校庭に咲いた桜の巨木にもたれかかる男が声をかけてきた。腕を組み、赤白帽を深くかぶり、黒いランドセルを背負っている。


「え、はじめまして……」

「その汗と息切れ具合から見るに、ずばりキミは遅刻をしている。そうだね?」

「あんたもだけど」

「それより少年よ、キミに頼みたい事があるんだ」

「頼みたい事?」

「俺を6−2の教室へ案内してくれないか?用があるんだが、何分この学校は広くてだな」

「6−2?それなら、僕のクラスだけど」

「なら話は早い!早速だが、案内してもらおうか!」

「教室そっちじゃないけど?」

「おっと、失敬」

「(……変わった人だ)」


そんなこんなで、靴箱に靴をしまい、東校舎の3階へと向かう。改まって彼を見てみるが、初めて見る顔だ。整った顔つき、それでいてどこか余裕を感じさせる、不思議な雰囲気の男だった。


「ここか!6−2の教室は!」

「あれ、なんだか教室が騒がしい……?」


ガラララッと音をたてながらドアを開くと、僕たちにも目もくれずに、教室中の視線は担任の先生に集まっていた。先生は慌てた様子で、机の中を何度も探っている。


「ない、ない、ない……!?」

「先生どうしたんですか?」

「給食費が……ない……!」

「えぇーっ!?」


教室が一瞬でざわめきに包まれる。


「泥棒が入ったってこと!?」

「いや、お前らの誰かが盗んだんじゃねーの?」

「どういうことなんですか!?先生!」

「あぁ……終わりだ、またPTAから叱られるぅ……」


混乱の中、ひとりの男が静かに教卓の前へ歩み出る。


「先生。給食費はどこに置いてあったんです?」

「なんだあいつは?」

「見たことないけど、誰なの?」

「あ!君は!」

「御託はいいので、質問に答えてください」

「え?あ、あぁ……昨日まで、この机の二番目の引き出しの中に……」

「最後に見たのはいつですか?」

「最後に見たのは……昨日の放課後に教室の鍵を閉めた時、かな」

「その時に持っていけよ」

「し、仕方なかったんだ!昨日は急に呼び出されたんだから……!」

「呼び出された……?」

「あの子たちの三人に……」


先生の指した先に視線が集まる。


「は!?俺たちはやってないって!」

「……いや待てよ?」


男が小さく呟く。


「先生が最後に確認したのは、“鍵を閉めた時”なんですね?」

「そ、そうだよ。今朝給食費のことを思い出して、誰よりも早くここに来たんだから……」

「ということは……この教室は密室だったってことか!?」

「っていうか!お前誰だよ!当たり前みたいに話してるけど!」


教室中の視線が一斉に彼へ向く。


「俺か?」

ニイッと笑うと、黒板にチョークを走らせる。

――成楼優斗

振り返り、堂々と言い放った。


「俺の名前は成楼優斗。名探偵だ」


この時はまだ、誰も知らなかった。

これが――すべての始まりになるなんて。

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