第7話 決意
「やぁ!やぁ!」
お祭りが終わって数日後、俺は必死に木の棒を振っていた。このほかにも筋トレやランニングもしている。なぜここまでするのか…それは!
「冒険者になるためー!」
…叫んでしまった。恥ずかしい。そう、あの日冒険者達と会って以来ずっと訓練しているのだ。だが少し謎がある。なぜ5歳まで俺は冒険者というのを知らなかったのか?
「うーむ…わからん。」
平和なことにこの近くでは魔物というものを見たことがない。だからまずここに来ないのか?
「シオン?何に悩んでいるんだ?」
いいところに声をかけてきた父よ。どうせなら聞いておこう。
「ねぇ父さん。なんでこの村には普通の時に冒険者さん達が来ないの?」
「ん?そんなことか!」
父さんは笑いながらこう言った。
「魔物が超弱いからだよ!」
「へ?」
弱いの?魔物、弱いの?それでいいの?
「あ…どれくらい弱いの…?」
「鍬で切ったら消えるぞ?」
よっわ!雑魚か!?え?弱…!
「ちなみにそれって…」
「あぁ見るか?今から討伐しに行くが。」
「いく!」
本当にいい時に声をかけたらしい。これから討伐しに行くところだったようだ。
しばらく歩くと、それが見えた。
「あれだよ、シオン!」
「へ…?」
俺の口からは間抜けな声が出た。だってそこにいたのは紛れもないスライムだったからだ。
「スライム…?」
「おぉシオン!知っていたのか!」
知ってます。魔物といえばあれですから。あれが主人公の本もありますから。
「じゃ、倒すぞ!」
そう言って父さんは鍬を振った。
ボンッ!
と音がしてスライムが消えた。
「弱…」
弱かった。スライムは弱かった。死ぬほど弱かった。
「よし!帰るぞシオン!」
「え?これだけ?他は?」
「大抵出るのは一体だからな!」
なるほど。なんで冒険者がここにいないのかわかった。
「ねぇ父さん、もしかして…魔物が雑魚すぎて自分達で全部倒しちゃったり…」
「まぁそうだな。」
「じゃあなんでいるの?冒険者さん達。」
「強い魔物もいるんだよ。」
おぉいるのか!強い魔物!
「ちなみにそれってどんな…?」
「ドラゴンとかかな!」
よっしゃー!きた!ドラゴン!
「まぁあんなの都市にしかいないからなぁ。こんな田舎に冒険者はこないんだよ。」
「そっか…」
うん。まぁいいか、ドラゴンいるなら。それ倒したら最強っぽいし。
「帰るぞー!」
俺は父さんの声を聞いて家へと走り出した。