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遺された日記帳〜毒をのんだ令嬢〜  作者: アーエル


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4/12

ただ、それだけであった


。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.



王妃の妹とその娘が半死半生で地下牢に投げ込まれた。

死なない程度の傷を負い、処刑のその日まで生かすだけの治療。

拘束された状態で自死する勇気などもたない2人は、痛みをもってその罪を償わせる。

拷問のために潰された手指。

全身に与えられた鞭によるミミズ腫れ。

気絶すれば掛けられる塩水。

憔悴しきった彼女たちからは……悲鳴すらあがらなくなった。

(もう)けられた処刑の日まであと12年と8ヶ月。





使用人たちは全員が(とら)えられた。

公爵家の令嬢であり主人(あるじ)の娘を害し続けてきたのだ。

その罪は使用人の家族や身元保証人にまでおよぶ。

誰ひとりとして弁明出来る者はいない。

大なり小なりの罪を犯しているからだ。

証拠は、深い眠りについた令嬢の残した日記帳。


牢に繋がれた囚人たちの前で朗々と読まれる日記の内容(罪の証言)に、当事者以外の目に涙が浮かぶ。

使用人たちは自身の犯した罪と向き合い、後悔…………することはなかった。

自身の犯した罪の重さを誰ひとりとして理解していないからだ。


執事が、メイドが。

口を揃えて訴える。

執事長が、メイド長が。

そうするように指示した。

自分たちは()()()()()その指示に従ってきただけだ、と。


そのような理由で逃れられる罪など、この世には存在しない。


公爵令嬢を虐待し自死にまで追い込んだ罪で、執事たちは鉱山の重労働役夫(えきふ)という賦役(ぶやく)の中でも厳しい罰が与えられた。

一番軽い使用人たちでも、農奴として残りの一生を償いに費やす。


一番軽い理由。

それは、採用されてまだ半年だったからだ。

しかし、令嬢が虐待されていたことを知ってもなお、口を(つぐ)んだ時点で同罪である。





縁座や連座になった者たちもまた、使用人たちと同じ道を辿る。

使用人たちは極寒地や極暑地に送られたが、同罪となった彼らは寒冷地や熱帯地へ送られた。


身元保証人たちは深く後悔する。

自分たちは何を見て何を保証したのかを……

自問する。

家格だけをみて、当人を知っていたのかを……



導かれた結果はただひとつ。

まだ12歳の公爵令嬢が、自ら毒をあおった。

………………そこまで追い詰められていた。

無責任な大人たちと、無関心な大人たちによって。





年端もいかぬ幼な子は厳しく芸を仕込まれ、見せ物小屋(サーカス)で芸を売っている。

愚かな大人たちの被害者であるものの、幼なさを理由に罪から逃れることは出来ない。

自ら毒をあおった令嬢は、幼な子たちと同じ年齢ですでに虐待されてきたのだから。



そんな酷い環境下でも令嬢が生かされてきたのは、ひとえに当主である公爵の意志が確認出なかったから。

…………ただ、それだけであった。


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