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宇宙のヴァンパイアローズガーデン

作者: 切亡

竹宮恵子先生の地球へと

萩尾望都先生のポーの一族に憧れて描きました。

現実には有り得ない異世界の物語です。

第一話 ヴァンパイア宇宙



ねーねー 魔仔 この計算式マジ辛たんなんだけど

答えは66億で間違いあるかしら!?


えーっと どれどれ

1+6−4億ベクトル×l√9億÷666ミリメートル×

40兆ベクトル+…


惜しいな 流花 答えは64億だよ


やっぱりだわ 魔仔なら このイラつく計算式

絶対解けるって思ったの

流石にエリートNO1高校生は違うわね


何を言ってるの 流花!?

キミだって同じじゃないか!?

6日後には流花とボクは この聖紅蜘蛛学園の

エリート代表としてヴァンパイア宇宙に行くんだよ

ちゃんと準備は出来てるの!?


そう言われてみればそうだったわね

魔仔と宇宙旅行とか めっちゃ楽しみ過ぎるうー

それから 特に準備は必要ないみたいよ

洋服もコスメも必要な物は

バァンパイア宇宙に揃ってるし

何か欲しい物が有れば

ロボットに命令すればいいみたい


旅行じゃないだろ!?

勉強とか研究とかスパイみたいな者だろう!?


へー そうなの!?

勉強も研究も大嫌いだけどスパイは面白そうね


余り はしゃぎ過ぎない方がいいと思うよ

表向きは流花とボクがエリート高校生代表って事で

選ばれてるけど可笑しくないか!?

何で三年の奴等が行かないで

ニ年の僕等が行かなきゃならない訳!?


うーん 三年生が無能だからじゃない!?

でも どうせならこの際

修学旅行気分で楽しまない!?

旅行には変わりないしさ


それを言うなら新婚旅行の間違いだろ!?


そうだったね 魔仔 宇宙一愛してる

宇宙に行っても永遠に限りなく愛してる


ボクも 流花 宇宙一永遠に限りなく愛してるよ



ヴァンパイア宇宙への旅立ち前夜

流花は魔仔の部屋を訪れていた

魔仔の両親は宇宙的に有名なカリスマアーティストで

現在 ニューヨークに在住している

仕事が激務な為 帰国する事は余りなかった

その為 魔仔は六本木のタワーマンション

パークサイドラバーズの13階で一人で生活していた



魔仔!? 今夜は流花が魔仔を男にしてあげる


うん 楽しみにしてた 流花 おいで


魔仔は流花をベッドに座らせ

キラキラ煌めく流花の唇を

卑猥に濡れた舌でペロリと舐めた

そして 流花の口内に舌を滑らせ

可愛いスプリットタンをペロペロ舐め廻した


ああん あっ あっ はあっ ああ ああ


流花はスプリットタンでレアソーセージみたいな

魔仔の巨大な肉棒をペロペロ舐め廻した

そして 流花は魔仔の右の乳首をペロペロ舐めながら尖った爪先で左の乳首をぐりぐり愛撫した

そして またスプリットタンは魔仔の口内に侵入し

魔仔のレアステーキみたいな舌と絡ませ合った


魔仔は流花の左の乳首を舐め廻しながら

華奢な指先で右の乳首をぐりぐり弄り廻し愛撫した


ああん ああん あっ あっあん

はあ はあ ああ ああ ああ ああ ああ


流花のエロティックな喘ぎ声が

真夜中の宇宙に響いた


もっと舐めて


いいよ


魔仔の舌は流花の秘密の花園の扉に触れた

扉は流花の甘い蜜で溢れ簡単に開いた


魔仔は流花の淡紅色の可愛いらしい薔薇の蕾を

舐め廻し そして レアソーセージみたいな

巨大な肉棒を花園の中に侵入させ

激しく腰を振り続けた


あっ あっ ああん ああん

ああ ああ ああ ああ ああ 


魔仔… 流花 もう逝っちゃう


流花… ボクも逝くよ


二人は狂う程 激しく愛し合い同時に果てた




そして 西暦6666年 6月6日 午前0時

魔仔と流花はヴァンパイア宇宙に旅立って行った


二人が乗ったのは宇宙ロケットではなく

数人が乗る事が可能なミニ宇宙飛行機だ


必要な物は一応一通り揃ってるし

人間の操縦士は居ないが

ナビゲーターロボットが操縦しているので

何の問題もなかった


流花 この宇宙飛行機の中では

流花とボクは透明人間になるらしい

だから ヴァンパイア宇宙に到着するまで

昨日みたいに触れ合って愛し合う事は出来ない

その代わり脳内セックスで愛し合うんだ


脳内!? 魔仔の脳内に触れられるなんて素敵だわ


その夜 魔仔と流花は 羽根のようなキスを交わし

そっと抱き合い 脳内セックスで愛し合い

深い眠りの闇に落ちて行った


そして 二人を乗せた宇宙飛行機は 予定通り

66時間後に憧れのヴァンパイア宇宙に到着した


魔仔と流花を待ち侘びていたのは

宇宙飛行船ジョミーロマネスクの操縦士

僅か齢15歳のジョミー少年だった


魔仔 流花 ようこそ 我がヴァンパイア宇宙へ

そして ヴァンパイアローズガーデンへ

キミ達二人については全て調査済みだから

プライベートな事以外 何も話す必要はないよ

申し遅れたがボクの名はジョミー

どうぞお見知りおきを


ジョミー はじめまして こちらこそ宜しくね

とても素敵なヴァンパイア宇宙で感動したわ


ありがとう 流花

ボクの仕事は この宇宙船の中にあるローズガーデンの薔薇達を毎日大切に愛でて育てる事なんだ

此れからキミ達をボクのローズガーデンに案内するよ

6日後にはキミ達二人共ヴァンパイアドールに進化

させる予定だから 残された僅かな人間の少年少女でいられる貴重な時間を存分に楽しんでくれ


分かったわ ジョミー だけど

本当に流花はヴァンパイアドールになれるかしら!?

本物のエリート高校生の魔仔とは真逆で

落ちこぼれで劣等生の流花は適合力不足とかで

途中で消されたりしないかしら!?


そんな心配は御無用さ 謙遜など必要ないよ

宇宙飛行機の中で完璧な脳内セックスをした

キミ達なら 完璧なヴァンパイアドールになれる筈

ボクが保障するよ 間違いないさ


えーっ!? ジョミー 観えてたの!?


観える訳ないじゃないか!?

ボクの脳内で触れたんだ

キミ達の求め合う愛の激しさと支え合う絆の深さを

脳内で感じ そして とても感動したんだ

キミ達ならきっと素晴らしく美しい

ヴァンパイアドールになれるとね



そして 宇宙船ジョミーロマネスク号の入り口から

66メートル先にジョミーのローズガーデンはあった


魔仔 流花 ようこそ ボクのローズガーデンへ

それじゃあ 此れから薔薇達のカラーと特徴

それぞれの魅力について説明させてもらうね


柚子裏羽のカラーはエメラルドブルー

女王様のような甘く美しく妖艶なイメージを

醸し出している


紅音のカラーは 血みどろ真紅

メンヘラでリスカ癖はあるが

JKみたいに賑やかでキュート

毎週クラブパーティーに参加している


愛砂魅のカラーはダークバイオレット

甘く美しい魔紫色の毒の香りで溢れてる


百合のカラーはローズピンク

甘く可愛らしく可憐なティアラを頭に

天使の花園でスキップしてる


躑躅のカラーはレモンフラワー

タンポポの綿毛のように草原の端まで

フワフワ楽しげに舞い踊ってる


華凛のカラーはパールブラック

容姿端麗 エリート才女の華凛は教壇に立ち

お馬鹿頭にウジが湧いてる生徒全員に向かい

こう言うのさ 馬鹿は死ねば治ると美しい笑顔でね


柊のカラーはプラチナパール

ナルシストでローズガーデンNO1ホストの柊は

甘く妖しく香るプラチナパールの薔薇を

ベッドルームに溢れさせ

毎晩 姫達と愛を囁き合っている


赤末のカラーはジャンキーレッド

自慢の真赤なフェラーリをレースロードで乗り廻し

レース界のジャンキーキングと呼ばれている


館英のカラーはプラチナブロンド

見た目はヤンキーだが本当は優しい

少年漫画のヒーローだ


融咲のカラーはエメラルドグリーン

キザでカッコいい融咲は合コンでモテモテ

自宅のリビングには沢山の観葉植物が飾られ

観葉王子と呼ばれている


黒騎のカラーはダークブラック

妖しく香る漆黒の薔薇だ

黒騎は毎晩ベッドルームに悪魔の薔薇を散りばめ

プリンセス達を愛でている


火氷柱のカラーはパールオレンジ

少年のように向日葵畑を無邪気にスキップしながら

向日葵の種をポリポリ齧る

火氷柱の可愛い恋人は子リス

ベッドルームに毎晩違うエロビッチを誘い

無邪気に遊んでいる


今 紹介した12人の仔達は歳は取らない

病気にさえならなければ変わる事なく

永遠にこの美しい姿のままだ


そして 一番奥にそっと佇んでいるのが琉深夜

聖なるマリアだ カラーはバイオレットティアーズ

そして 半年後には出産の予定だ

琉深夜は とてもナーバスでデリケートだから

キミ達二人には世話は出来ない

琉深夜の世話はボクに任せて

魔仔と流花は他の薔薇達の世話をして欲しい


分かったわ ジョミー

みんな素敵な薔薇達で感動したわ

特に流花は 柚子裏羽姫と柊様に魅力を感じたわ


ふふっ 流花はお目が高いな

柚子裏羽と柊は妖艶で近寄り難い高嶺の花のような

カリスマ性が有るから人気が高くて困ってるんだ


ボクは華凛と黒騎に魅力を感じたよ

特に黒が好きって訳じゃないけど何となくね


解るよ 魔仔

華凛や黒騎みたいに美しくプライドが高い薔薇達は

キミくらいの歳の少年達に とても人気なんだ


ねー ジョミー 

人気が有り過ぎて困ってるってどういう事なの!?


宇宙中の薔薇マニアから花束や薔薇の種子の注文の

依頼が沢山有り過ぎて間に合わないんだ

だけど この仔達に子孫は残せないから

ボクは琉深夜を無事出産させ

その子供が美しく成長したら ボクはその仔を連れて

バイオレットロマネスクという

ボクの永遠の憧れの薔薇を探しに行くつもりなんだ

琉深夜が出産した薔薇達は6時間後に

12歳のヴァンパイアドールに進化するのさ


ジョミーの話って信じられない事ばかり

別に疑ってる訳じゃないけど

ドラマの中の話みたいでクラクラするわ


魔仔も流花も あんな保守的な地球で

生まれ育ったんだから

そりゃあ仕方ないよ そのうち慣れるさ

それじゃあ そろそろディナーの時間だし

ローズガーデンの地下にあるバーで乾杯しない!?

魔仔と流花とボクの素敵な出逢いと

ローズガーデンの薔薇達の輝かしい未来に


やりー!! 流花腹ペコ過ぎて吐きそう


さっきも言ったように 6日後にはキミ達も

ヴァンパイアドールに進化する予定だから

体力と栄養を付けないとね

ラムステーキとテキーラで乾杯しよう



そして 三人がやって来た地下バー

ルナテックティアーズは ローズガーデン同様

妖艶で耽美で美しく煌びやかでサイケデリックで

昭和レトロな香りと近未来の香りが

混じり合い溢れていた


調理はカリスマロボットシェフがしてくれていた


ジョミーはナイフとフォークを使わずに

ラムステーキを左手で掬って喰べていた


ラードでギラギラ艶かしく光るジョミーの指を

流花は なんて美しいのだろうと思った


舐める!? 

ジョミーは流花のチェリーみたいな唇をそっと開いて

左手の薬指で流花の卑猥に濡れるスプリットタンを

優しく撫でた


美味しいわ ジョミー ジョミーの味がする


やっと分かった!?

ボクのママはバイオレットロマネスクなんだ

琉深夜同様 歳を取ってしまうから

ボクを出産して6時間後に死んだよ

もう 6億年以上 昔の事さ


思い出したわ ジョミー

そういえば 図書館の伝説の植物図鑑の中に

バイオレットロマネスクの事が書かれていたわ

全ての薔薇マニア達が宇宙一永遠に愛でて止まない

夢と憧れの伝説の薔薇で有ると説明されていたわ

植物雑誌の人気投票では常に1位で

2位との差が666億あったわ


その通りだよ 流花 よく調べたね

だから ボクはいつか必ずバイオレットロマネスクの

種子を手に入れて美しく成長させ

ヴァンパイアドールに進化させるつもりなんだ


それがジョミーの大切なパートナーなのね!?

宇宙一永遠に限りなく愛でて止まない恋人


そうさ 魔仔と流花のようにね


時計の針は午前3時を指していた


ボクは此れから琉深夜の様子を観て来るから

魔仔と流花は まだ好きなだけ飲むといいよ

2階に60畳程のキミ達の部屋を用意して有るから

ゆっくり疲れを癒して欲しい


分かったわ ジョミー

魔仔は潰れてるし 私達は休ませて頂くわね


流花は魔仔を激甘なディープキスで目覚めさせ

2人は指を絡ませ合い2階ヘ向かった


2階にジョミーが用意した2人の部屋は

ローズガーデンや地下バー同様

妖艶で耽美で美しく煌びやかでサイケデリックで

昭和レトロと近未来が混ざり合ってて

真にジョミー城だった


魔仔 御疲れ にしたって広過ぎるっつうの

流花は魔仔と一緒に居たいんだから

2部屋も要らないしさ


いいんじゃない!? 

2部屋共存分に散らかして

ロボット達に片付けさせればいいよ


そうね 魔仔も流花も散らかし魔だものね

てゆか 魔仔 ジョミーどう思う!?

少し生意気過ぎない!?


それボクも思った 言ってる事は全て正論だけど

敬語くらい使えっつーの


そうね 1歳違いだから敬語は許してやっても

とにかく生意気よね


けどさ ヴァンパイアドールなんて

みんなあんな感じじゃないかな!?

そもそも人種も文化も違う訳だし

さっきボク ジョミーに地球なんてとか言われて

キレそうになったけど 確かに地球は保守的な星だし

決して悪口ではなく事実を言ったに過ぎないと思う


確かにね 母親が薔薇だもの 次元が違うわね

うちの両親やクラスメートが聞いたら

腰抜かして立ち上がれなくなるんじゃない!?


それより 流花 

ボクの目の前でジョミーとイチャ付くとか

有り得ないんだけど


イチャ付いてるように観えちゃった!?

魔仔ったらジョミーに嫉妬してるの!?

確かにジョミーは生意気だし大人びてるけど

身体は子供じゃない!?

あれじゃあ流花は濡れないわよ

流花は魔仔に夢中なの

抱かれたくて身体が泣いてるわ


それにね このヴァンパイアローズガーデンは

とても素敵な宇宙だけど

流花が一番永遠に愛してる星は

魔仔と流花の故郷であるあの美しき地球なの

身体がヴァンパイアドールに進化しても

心は地球人なのよ

いつか必ず地球に帰って流花は魔仔と結婚するわ


流花 マジでそう思ってくれてるの!?

それなら めっちゃ嬉しいよ

ボクは流花はきっと このヴァンパイア宇宙に残り

この場所で永久に生き続けるのかと思ってたよ


違うわ 魔仔 流花を信じて


勿論 信じるよ 

6日後は いよいよ聖なる儀式だね

流花は楽しみだろうけどボクは怖いよ


流花だって怖いわ

ヴァンパイアドールになる事は

子供の頃からの夢だったけど

人間がヴァンパイアになるのだから

並大抵の覚悟じゃ済まないと思うわ


流花 キミはボクが守る

だから キミはボクを守って永遠に抱いて愛してくれ

決して離さないでくれ


勿論よ 魔仔 流花からもお願いするわ

宇宙一愛してる


そう言いながら2人は

ラードでギラ付いた唇を舐め合い

華奢な指を絡ませ合い 脳内で愛し合いながら

深い眠りの森に旅立って行った




第二話 ヴァンパイアドール



翌朝 ロボットが淹れてくれたカフェオレは

とても美味しかった

気になってレシピを調べてみると

宇宙一最高級珈琲専門店ブラックキャットの

最高級豆ガラディーアを使用

生クリーム 蜂蜜 薔薇ジャム カミュ ラム酒が

たっぷり注ぎ込まれていた


魔仔も流花も激甘党だから最狂ね



そして その5日後

魔仔と流花はローズガーデンに行き

ジョミーと琉深夜の洗礼を受け

ヴァンパイアドールに進化したのである



そして 6ヶ月後には予定通り

琉深夜は美しい双子の薔薇を出産した

姉の名は愛羽 妹の名は莉羽

この二人の姉妹の名前は

母 琉深夜が美しく育つように考えたのだ


そして その後も予定通り6時間後に

愛羽と莉羽は12歳のヴァンパイアドールに

進化したのだが 娘達の聖なる美しき姿を観る前に

母 琉深夜はローズガーデンの奥の片隅で

密かに絶命していた



ねー 愛羽姉様

琉深夜御母様の御亡骸を御覧遊ばして!?

莉羽 先程 少しばかり覗かせて頂いたのだけど

とても不気味で醜かったわ

あのような御方が愛羽姉様と莉羽の御母様だなんて

莉羽 気持ち悪くて眠れないわ


莉羽 そんな事を言ってはいけないわ

琉深夜御母様はバイオレットティアーズという

ジョミーが育て上げた最高級のブランドローズで

とても気高く美しかったわ

病のせいで その美しさが歪み

穢されていった事は仕方ない事なの

琉深夜御母様は御自分の命を犠牲にされて

私達 姉妹を産んでくれたのだから

どんなに感謝しても とても足りないわ


そうでしたのね 愛羽姉様

何も存じ上げませんでしたわ

莉羽 此れから琉深夜御母様に御別れを言いに行くわ


莉羽 私も一緒に行くわ


愛羽と莉羽は仲良く手を繋ぎながら

母 琉深夜の眠るローズガーデンの

奥に向かい歩いて行った



あら ジョミー

魔仔と流花もいらしてたのね


愛羽 莉羽 丁度いいところに来てくれた

キミ達に大切な話が有る


一体 何ですの!? ジョミー

愛羽姉様と莉羽は琉深夜御母様に

最後の御別れを言いに来ましたのよ


そうか 分かったよ 莉羽

話が終わったら みんなで琉深夜に御別れしよう


それで 話というのは実は相談なんだ


琉深夜は病の為 花弁が艶を失くし

穢れてしまっている しかし 良く探して観ると

6割程 華麗で気高く美しい花弁が残されている


琉深夜の死は6秒後に全宇宙に報道され

宇宙中の薔薇マニア達が

琉深夜の亡骸をいち早く愛でたいとお待ちしている


愛羽 莉羽 

キミ達なら琉深夜の花弁をどう商品化したい!?

当然 生は有り得ないから 

それ以外のやり方で考えて欲しい


ジョミー 莉羽はドライフラワーが素敵だと思うわ

ドライフラワーなら琉深夜御母様の御美しい御姿を

いつまでも愛でていられますもの


私は香水がいいと思うわ

琉深夜御母様の香りは

宇宙一気高く素敵な香りですもの


当然ながら愛羽と莉羽の意見は違っていた


ジョミー 

それなら 香るドライフラワーはどうかしら!?

香水も素敵だけど僅かな量しか創れないし

香るドライフラワーなら香りを楽しみつつ

琉深夜の妖艶で華麗で気高く美しい姿を

いつまでも愛でていられるわ


いいアイディアだ


香るドライフラワーで決まりだな


ボク達は此れから他の薔薇達の世話をしに行くけど

愛羽と莉羽も少し習ってみるかい!?


ジョミー 薔薇達の御世話の学習は

明日からでも宜しいかしら!?


私達 もう少し琉深夜御母様と一緒に居たいわ

此れで さよならは余りにも切ないし侘しいわ


構わないよ 莉羽

本当に此れが最後だ

ゆっくり御母様と御別れをするといいよ


ジョミーは愛羽と莉羽を そっと抱き締め

魔仔と流花と共にローズガーデンの入り口向かい

歩いて行った



何て麗しく御美しいのかしら!?

琉深夜御母様の花弁 

一枚なら頂いても宜しいかしら!?

ねー 愛羽姉様 やっぱり駄目かしら!?


そうね 一枚なら頂いても仕方ないわね

ジョミーには内緒にしてあげるわ


ありがとう 愛羽姉様

愛羽姉様にも時々 御貸しして差し上げるわ


1時間後 愛羽と莉羽は仲良く手を繋ぎながら

ローズガーデンの入り口に向かい歩いて行った


そして 誰も居ない場所で

琉深夜の花弁を愛でたいと思った莉羽は

愛羽の手を振り切り

宇宙船ジョミーロマネスク号から

勢いよく走り出して行った


ローズガーデンの入り口近くで

薔薇達の世話をしていたジョミーは

莉羽の姿を観つけると急いで後を追った

そして 宇宙船から66メートル程 行った先で

突然 やって来た闇の宇宙族に襲われ

心臓を刃物で刺され殺された


そして 闇の宇宙族は透明になり

宇宙の闇に消えていった




第三話 バイオレットロマネスクと地球



どうしてジョミーが死んじゃうの!?

ヴァンパイアは不老不死じゃなかったの!?

もうマジ意味不明なんだけど


流花 キミが言ってる事は

漫画や小説の話じゃないか!?

よく考えてよ ジョミーの母親は薔薇だよ

人間の両親から生まれたボク達と比べて

どれだけ生命力が弱いか少し考えたら解るだろう!?


そう言われてみればそうね

流花 ポーの一族とか昔ヴァンパイア漫画に

ハマり過ぎて 頭可笑しくなった時期があったわ

未だに それが残ってたかもね



ごめんなさい

全部 莉羽が悪いの 魔仔 流花

ジョミーが死んじゃったのは全部莉羽のせいなの

莉羽 此れから御部屋に戻ってリスカするわ

メンヘラになるわ


ぷっ…

思わず吹き出しそうになった魔仔の口を流花は塞いだ


笑わないであげて 魔仔

きっと そういう年頃なのよ


莉羽 良く聞いてね

ジョミーが死んじゃったのは殺人事件なの

悪いのはジョミーを殺した闇の宇宙族なの

だから 莉羽はリスカはしちゃ駄目だし

メンヘラになってはいけないわ


分かったわ 流花

莉羽 リスカとメンヘラは止めるわね

ジョミーに御別れが言いたいのだけど

すぐに砂みたいに消えてしまったわ


そうなのよ 莉羽

ヴァンパイア漫画にそう描かれていたわ


だから 流花 それは漫画の話だって


莉羽 ジョミーと莉羽は強い絆で結ばれている

ジョミーが天国への螺旋階段を上がって逝っても

莉羽の優しい気持ちは

きっとジョミーに伝わってるよ

だから 泣かないで 御姫様


魔仔は綺麗にカールされた莉羽の髪を

わしゃわしゃ撫で廻した


分かったわ 魔仔

御優しい言葉を どうもありがとう

莉羽 もう一度 ジョミーが天に召された

場所に行って最後の御別れをして来るわね


分かったよ 莉羽 気を付けて行っておいで


莉羽はスキップしながら

宇宙船の外に駆け出して行った


はあ… 莉羽 大丈夫かなあ!?


それよりさ 魔仔

ジョミーが居なくなった以上

ジョミーの永遠の憧れで御先祖様でもある

バイオレットロマネスクは魔仔と流花が

探しに行かなきゃだよね!?


何を言ってるの!?

流花が此処を離れたら

薔薇達の世話は一体誰がやるのさ!


ボクが莉羽を連れてバイオレットロマネスクを

探しに行くから 流花は愛羽と此処に居て

12人の薔薇達の世話をして欲しい

キミだって あのヤンチャな御姫様が

居ない方がいいだろう!?


そうね 確かに莉羽はヤンチャで少し生意気で

とても可愛いけど二人で薔薇達の世話は大変そうね

それに 莉羽は流花より魔仔の方が好きみたいだしね


流花 いつになるか分からないけど

ボクは必ずバイオレットロマネスクを探し出して

此処に戻るから

キミはボクを信じて此処で待っていて欲しい


そして バイオレットロマネスクの花が咲いたら

このヴァンパイアローズガーデンは

愛羽と莉羽に任せて 

ボク達は地球に帰って結婚するんだ

そして 流花は双子の姉妹を産むんだ


分かったわ 魔仔

流花も魔仔と全く同じ事を考えてたの


ヴァンパイアドールになってから魔仔は変わったわ

それまではエッチでカッコいいだけの小僧だったけど

今は とても高貴な貴族のようだわ


それは 流花も同じだよ

生意気で可愛いエロビッチだった流花が

今は とても気高く美しいマリアのようだよ


そんな事を言って貰えたら

照れちゃうけど嬉しいわ


魔仔 気を付けて行って来てね

莉羽をくれぐれも危険な目に合わさないようにね


それが一番の悩みの種だけど

首に縄を付けて行くから心配ないさ


必ず帰って来てね


そして 魔仔と流花の永遠の憧れの美しき地球で

いっぱい愛し合いましょう







                the end


ラストは永遠に限りなく続く夢と憧れを忘れない

魔仔と流花の願いを込めてハッピーエンドです。

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