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水無月 ハナショウブ
「なあ」
「んー」
「なんでうちの町内会って梅雨真っただ中に祭りをするんだ?」
「梅雨だからこそじゃない?うつうつしてないで楽しみましょーって」
「いやいやいや。梅雨だから不衛生だっつって、食いもんの出店一つもねーじゃん。楽しみひとっつもねーじゃん」
「まあ、食べ物どころか遊ぶ出店すらないしね」
「そうだよ!傘さして公園に来て、ハナショウブを見ながら池を一周。で終了じゃねーか。どこが祭りだ!?」
「まあまあ、落ち着きなさいよ。終わったら、ジュースとお菓子もらえるじゃない」
「それがなかったら行かないけどな」
「そうカッカしないで。いいじゃん。私たちが花をじっくり見るなんて、そうそうないわけだし」
「花で腹は膨れねーし」
「食べられる花もあるけど」
「んなの知るか。あー、無駄に池はでけーし、無駄に進みはおせーし。抜け出すか?」
「いや。私は楽しいから」
「いつも花なんか見ねーくせに」
「だから今見るの。ほら。あんたも」
「あーあ、つまんねー蛙でもいねーかなー」
「ちょっと、池の中に。あー。ほんっと。あんたばか」
(2021.12.10)




