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神無月 サンダーソニア




 パッサパッサっと瞬時に抜け落ちては生え変わる長い睫毛。

 三百六十度すべてを見通せそうな血走るつぶらな瞳。

 ムキムキムッキンと効果音が出そうな四本の剛脚。

 ボワボワボッサンと効果音が出そうな黒いたてがみ。

 頭頂部と背骨付近に銅鐘が吊り下げられているような違和感。


 体色および毛色が銀から黒に変わったペガサスの俺に新たに装着されたのが、小さなハンドのないベルの形をした、いくつもの黄色の花。

 装着と言うか、寝ても起きても世界中を静かに駆け回る中、いつのまにか巻き付けられていた。


 待っていてね。

 彼女は言った。

 生まれ変わってから、初めての約束。

 果たせるものなら、果たしたかった。






「ねえ」


 ああ本当にペガサスに生まれ変わったのか。

 飛行中に聞こえてきた彼女の声がする方向に視線を向けると。

 箒に乗った、銀色の髪と紅の瞳のちっちゃな女の子がそこにはいた。


「また魔女に生まれ変わっちゃった」


 むっすり不機嫌ですと頬を膨らませる彼女を視界に入れた瞬間、だばあっと涙が滝のように激しく落下した。


 本当に。

 本当に本当に本当に。

 苦しかったのだ。

 戻りつつある記憶のせいなのか。

 これまでの生まれ変わりで積み重なった感情のせいなのか。

 彼女の死を目の当たりにして苦しかった。


「ペガサスになれなかったけど。まあ、一緒に飛べるからいいわよね。ね?」


 うんうん。

 大きく頭を上下に振ったら、黄色いハンドのないベル花からリィーンリィーンと円の中心から縁へと広がるように響かせながら神聖な音が鳴った。

 うえなんですこれ?

 もしかして輪廻転生終わりの合図ですか?

 まあ、大団円、ですか、ね。


 人間だった頃に決意したことはできなかったけど。

 果たせたも同然だろう。

 だってもう。










(2021.12.16)




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