07.ショタワンコにされました
第一部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「日に日に暗殺者の強さが増して来おったから、もし妾が死んでも、この人形を依り代に使って復活できるよう保険をかけておいたのじゃが、本当にそうなってしまうとはのう」
「そのためにお嬢様は、クズイチにイジメ…ゴホン。魔法を当てるトレーニングと称してラーニングの伝授をしていたのですね」
今、イジメって言った!? あと、クズイチでもう呼ばれるの!? ココさん!!! 助けた時はセーイチって呼んでくれたのに!!! ロリコンってバレてから評価は最底辺になってしまった!!!!! しかし!! 悪くない!!!!!
…それにしても凄い話だった。エリスお嬢様とココさんの出会い。あの年齢でそこまで苦難を乗り越えてきたなんて…。あれ、前世と年齢を足したら今はいくつになるんだろう…。いや、聞かないでおこう。殴られそうだからな。うん、女性に年齢を聞くのは紳士ではない。
「それにしても…グランベル家は何故こんなにも狙われるのでしょうか…?」
俺はさっき脳内で再生していた妄想をシャットダウンして、現実に話を戻した。何故、グランベル家は狙われるのか? ただのいざこざとは思えない。
「…詳しいことは妾もわかっておらん。じゃが、グランベル家に伝わる秘密の『カギ』があるそうじゃ。屋敷が全部燃えてしまった今となっては、そんなものがあったとしても焼失してしまったじゃろうな」
秘密の『カギ』か…。財宝でも出てくるのか?
「いつもやってくる暗殺者たちは全く聞かされていませんでしたからね。もしかしたらレイリー家が何か知っているのかもしれません」
確かに、9年前からのエリスお嬢様の話からずっと出てくる名前。レイリー家。今までずっとレイリー家が絡んでいたのか…。
「今回の暗殺もレイリー家なのでしょうか?」
「レイリー家はあまりいい噂は聞きませんね。かといって今まで証拠を掴むことができませんでしたので、黒と断定するには時期早々です」
うーん…なんとも言えない情報。さて、これからどうしたものか…。
「俺たちが生きてることが知られるとまずいでしょうか?」
「そうじゃな…妾たちが生きているとなったら、また暗殺しに来るじゃろう」
「そのためには身を隠すか、変装するしかありませんね」
エリスお嬢様とココさんの意見に俺も頷いた。そもそも、なぜこんな大それた暗殺を仕掛けてきたのかも分からない。エリスお嬢様は小人サイズになったから大丈夫だろうが、俺とココさんはどうしたものか…。
「姿もそうじゃが名前も変えねばならんな。何が良いじゃろう?」
「確かにクズイチでは品格が疑われますね」
ココさん!!!!!! 本名がクズイチになってる!!!!!! クズイチは本名じゃないから!!!!!
「クズイチの名前を決める前にまずは姿を変えねばならんな。固有魔法『メタモルフォーゼ』を使ってみよ」
ナチュラルにクズイチって言わないで! というか俺は魔法で姿が変えられるのか…。
固有魔法『メタモルフォーゼ』――自分が思い描いた姿に変えられる魔法。さらに形態を固定すれば、起きている時も寝ている時もその姿を維持できる。つまり、このおっさんの姿から別の姿に変えて固定すれば、常に維持できるということだ。しかも固定時の魔力消費は一回のみ。
「まぁ、いきなりやっても失敗する可能性があるじゃろう。妾の手を握って妾とイメージを共有するのじゃ」
なるほど…。って、エリスお嬢様と手を握る!? 女の子と手を握るのか!?!? やばい、手に汗が!!!!!
「今回だけその湿った手を握ってやるのじゃ」
やばい!!!!! 手汗バレた!!!!! ならば!!!!! 恥を捨てて!!!!! 握ろう!!!!! 幼女の手を!!!!!
「さっさと握るのじゃ!また脳内で良からぬことを妄想しておるのじゃろう!」
「と、とんでもない!!」
変なレッテルが増える前に、俺はエリスお嬢様の手を握った。その手は人形とは思えないほど、柔らかく温かかった。
「固有魔法『メタモルフォーゼ』」
光に包まれ、俺の妄想は爆走する。そうだなぁ、どうせなら女の子にモテモテになる超絶イケメン、身長高くて細マッチョの若い男になろう。年齢はちょうど20歳くらい。髪型はちょい長めの茶髪で、顔立ちはイケメン寄りに…。よーし、イメージできたぞおおおおおおお!!!!!!
光が俺を包み込み、イメージが形となっていく。やがて光が消えると、鏡のように湖面を覗き込む俺の姿がそこにあった。
「な、なんじゃこりゃああああああああぁぁぁ!!!!!」
イケメンというより美少年…。そして犬耳としっぽが生えていて、まるでモフモフの小型獣人だ…。まさかの――美少年ショタワンコ!!!!
「変身は成功したようじゃな」
「いや!してない!!!!!!なんで美少年!? なんで獣人!? そりゃブサイクよりいいけど!?」
思わず絶叫した。そういえば、エリスお嬢様の手を握っていた。エリスお嬢様なら何か知っているはずだ。
「お主のいかがわしい店に行きたいという、邪な心を持っていたから妾の方で改ざんしたのじゃ。あと、妾の方でその姿を固定にしたから、妾の意思でなければ解除できんぞ」
あ、バレたか…。女の子の店でウハウハ作戦。そして、この姿はもう固定されたのか…。
「さらに犬耳は妾の好みじゃな。従順でイジメたくなりそうじゃ」
や、やばい。エリスお嬢様、本格的に俺をペットにする気だ…。
「おもちゃからペットに昇格ですね。クソクズイチさん、おめでとうございます」
いや、嬉しくないからね! 早く人に戻りたい!!!!!! そして、クソがついた! クズからさらに好感度が下がった!!!!!!! ココさんとエリスお嬢様からクソを見るような眼差しが俺の心を突き刺す…。だが、意外と悪くない!!!! いや、目覚めそう……。
「さて、そろそろクソクズイチから名前を改変しようかのう」
あぁ…エリスお嬢様。ついにセーイチと呼ばれることなく改変するのか…。
「妾はこの姿になったから大丈夫じゃろう。よくある名前じゃしな。じゃがお主の名前は姿を変えても目立ちすぎじゃ」
確かに…。でもエリスお嬢様が名前を変えないのはいささか不用心では?
「私は変装していませんし、変身する類の魔法も使えません。それにA級冒険者のツテがありますので、それを使おうと思います。そして別行動もしたいですし」
ココさんの話によると、ココさんは冒険者ギルドで顔が効くので、匿ってもらいながら働くことができるという。生活の拠点にするには現状、冒険者ギルドが最適だ。さらに、ココさんは闇ギルドを雇ったと思われるレイリー家の偵察も行うという。なるほど…。
ということは、俺もまた冒険者ギルドに入るのか?
「うぅ…トラウマが…」
異世界転生して2年間で入っていた冒険者ギルド。苦労ばかりで追い出された過去…。だから戻るのはおっくうだ。
「胸を張るのじゃ! お主はもう昔のお主ではない! 妾たちを救ったではないか! 自信を持て!!」
エリスお嬢様が俺の心境を察して、喝を入れてくれた。
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