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68.冒険者ギルド【ブレイブハート】

第4部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 濃い煙が空へと昇り、焦げた土の匂いが鼻を刺した。周囲の地面には無数の足跡と爪痕が刻まれ、戦場の空気がまだ震えている。


 俺は魔法剣を構え、テンちゃんは拳を構える。

 そして、国王陛下は背筋を伸ばしたまま、静かに魔力を放っていた。


 その姿はまるで嵐の中心のようで、周囲の魔力の流れさえ制御しているかのようだった。

 元ベテラン冒険者である国王陛下が、俺たちの動きに完璧に合わせてくれることで、三人はまるで長年連携を重ねたチームのように魔物を蹴散らしていく。


 地面に残る焦げ跡の先、崩れた石壁の影に、兵士たちが倒れているのを見つけた。


「大丈夫ですか!?」


 俺は駆け寄り、兵士の体を抱き起こした。甲冑の隙間からは血がにじみ、息も荒い。


「うぅ…き、君は?」


「今、治します! 光魔法【フルヒール】!」


 淡い光が俺の掌から放たれ、兵士の身体を包み込む。


 光魔法【フルヒール】。

 光魔法【エクストラヒール】の上位版であり、腕がちぎれていない限りは完全に回復させる上級魔法だ。


「……な、治った……!? す、すごいよ君! 一体何者なんだい!?」


「ふぉっふぉっふぉ! 上級魔法を無詠唱とは、やるのう!」


 国王陛下の声には驚きと称賛が混じっていた。上級魔法を無詠唱で使える者など、一流の魔導師でも滅多にいない。


「助かってよかったのう。戦況を聞かせてくれんか?」


「こ、これは国王陛下!!! は、はいっ!!!」


 兵士は目を見開き、慌てて敬礼する。さっきまで俺しか見えていなかったようで、国王陛下の存在に気づいた途端、背筋を伸ばした。


 兵士の話によると、現在戦っているのは冒険者ギルド【ブレイブハート】の主力部隊だという。

 最初は兵士たちのみで魔物と交戦していたが、次第に押され、ブルガンリルム王国最大の冒険者ギルド【ブレイブハート】が応援に駆けつけ、共闘しているらしい。


 そして、その中心で指揮を取っているのが、S級冒険者【レオン・スティーヴン】だという。


 S級冒険者――A級冒険者の中でも、【無印】【A+1】【A+2】と三段階に分けられ、そのさらに上に立つ存在。

 S級ともなれば世界中でも指で数えるほどしかいない。貴族の伯爵クラスの地位を得ることもでき、引退後に貴族として迎え入れられる者も多い。


 俺はそんなS級冒険者に憧れて冒険者になった。

 闇ギルドを討ち、グランベル家の再興を果たす――それが俺の目的だ。

 そうでなくてもエリスお嬢様に会う前の俺。つまり、おっさんだったころの時でさえもS級冒険者に憧れを抱いていた。



 そして俺たちは、戦いの中心地――轟音と火花が飛び交う戦場へとたどり着いた。


「国王陛下! なぜあなたがここに!?」


 銀の鎧を纏った青年がこちらを振り向く。

 冒険者ギルド【ブレイブハート】のエース、【氷剣の貴公子】の異名を持つS級冒険者、レオン・スティーヴンだ。

 身長は高く、淡い青の髪が風に揺れる。冷たい光を放つ細身の剣を手に、知性と冷静さを宿した瞳が俺を見据えた。


「! もしかして君がウェルくんかい?」


「えっ? 俺のこと知ってるんですか!?」


 戦場の喧騒の中でも、その穏やかな声はよく通った。


「あいさつが遅れたね。私はレオン・スティーヴン。ここで指揮を取っている」


「S級冒険者に名前を覚えてもらえるなんて……!」


 胸の鼓動が高鳴る。


「ウェルくんのことは冒険者の間でもウワサになっているよ。試験でギルドマスターを倒して、いきなりA級冒険者になったスーパールーキーってね」


「そ、そんな風に呼ばれてるんですか……」


 思わず頬が熱くなる。


「アタシはリン・テンテンというアル! ウェルと並ぶ【ルミネスゲート】のツートップ戦力ネ!」


「うん、テンテンもウワサには聞いているよ。期待している」


 その言葉にテンちゃんはにやりと笑う。


 しかし、その直後。

 レオンに向かって数体の魔物が突進してきた。


「危ない!!」


 俺が飛び出そうとしたその瞬間――。


 ズババッ!!


 一瞬で魔物たちが斬り裂かれ、その傷口が氷に覆われる。


「心配ご無用。私はこれでもS級冒険者の端くれだ」


 冷気が舞い、レオンの剣から氷の欠片が煌めいた。

 その姿はまさに氷の騎士。俺はただ見惚れるしかなかった。


「アタシたちも負けてられないネ!!」


「よし! いこう!!」


 テンちゃんと俺は同時に踏み込み、魔物の群れへと突撃した。


「はあああああああああああ!!!!」


 テンちゃんの拳が唸り、八極気功拳で次々と魔物を吹き飛ばす。

 彼女の拳が振るわれるたび、衝撃波が地を割り、風圧で砂煙が舞った。


「ラーニング二つ同時発動! 二刀流【毒迅剣】!!!」


 俺は二刀を抜き放ち、疾風のように駆け抜ける。

 鋭い軌跡が幾本も走り、斬られた魔物の体から紫の煙が噴き出した。


「グアアアアアアアア!?」


 魔物たちは白目を剥き、泡を吹いて崩れ落ちる。


「ヒュドラの毒を思い知ったか!」


 あの危険度Sランクの魔物、ヒュドラ――かつて俺たちが死闘の末に倒した相手。

 その毒のブレスをラーニングした俺は、いまやその力を完全に使いこなしている。

 さらに、エリスお嬢様の護衛であるココさんから学んだしなやかな二刀流剣術を融合させ、E~Cランクの魔物を次々に斬り伏せていった。


「ウワサ通りの実力だね。私も負けていられないな」


 レオンが微笑むと、氷の結晶が宙を舞い、剣先が青白く輝く。

 彼のその動きに呼応するように、冒険者たちも前に進み出る。


「まだまだ行けるぜ!!!」


 歓声が上がり、戦場の士気が高まる。

 【ルミネスゲート】も【ブレイブハート】も――血が滾る者たちだ。


 魔法の閃光と剣撃の火花が入り乱れていた。

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