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62.悪役令嬢と聖女は水と油!?

第4部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 犬族でA級冒険者の少年、ウェル・ベルクは、ロッドフォード家の長女、リンジー・ロッドフォードに死を偽装するための偽名を与えた。


 これからの彼女は、人族で聖女として【リーズ・アクィルス】を名乗ることになる。


 俺とリーズの二人は、冒険者ギルド【ルミネスゲート】へ向かって歩き出した。


 たった一日しか経っていないが、街の景色が帰還を歓迎しているかのように感じられ、胸の奥が熱くなる。


 そして――


 ガチャッ!


 ギルドの大きな扉を押し開く。


 「アニキ! お帰りだ!」


 また“アニキ”か……。だんだん慣れてきた自分が少し怖い。


 「アニキ! また可愛い子連れてきて!」

 「憎いねぇ! アニキ!!」


 リーズの可愛らしさに、冒険者たちの視線が一斉に集まる。

 リーズは微笑み、ゆっくりと一礼する。


 「お初目にかかりますわ! 冒険者の皆様。わたくしは聖女【リーズ・アクィルス】と申します。これから冒険者となり、皆様のお役に立てるよう精一杯務めますわ」


 その丁寧で清楚な声色は、ギルド内の荒くれ者たちの耳には新鮮で、目を丸くさせるには十分だった。


 「こんな丁寧なあいさつ、聞いたことないぞ!」

 「聖女様ってみんなこうなのか!?」


 荒くれ者やならず者が多い冒険者ギルドにあって、リンジーのような礼節正しいあいさつは珍しい。


 「あ、あーそうだ!」


 まずい、空気を変えねば。

 俺は焦りつつ受付へ駆け寄る。


 「ミリアさん! ギルドマスターはいますか?」


 エルフで華やかな容姿――受付嬢ミリアさんに、ギルドマスター・ゲルドの居場所を尋ねる。


 「ウェルくん、ちょっと待っててね」


 ミリアさんはさっとゲルドを呼びに向かう。

 すると背後で――


 「ほぉ…また新しい女を連れてきたようじゃな」


 エリスお嬢様が現れた。


 「エリスお嬢様! 紹介します! こちらは聖女【リーズ・アクィルス】。

 事情があり冒険者となり、俺のパーティーに加わることになりました!」


 言い終える前に、エリスの鋭い視線がリーズに向けられる。


 「冒険者になるのは構わんが、妾たちのパーティーに入るとはどういうことじゃ? 回復なら妾がおるじゃろう?」


 ヒーラー役――後衛で仲間を守る魔法使い。

 ウェルパーティーではウェルが前衛・後衛兼任、テンちゃんが前衛、エリスお嬢様が後衛で防御と回復を担当。

 リーズも回復魔法を得意とするため、役割が重なることになる。


 しかし――


 (あら、この方は…)


 リーズの瞳が鋭く光る。

 人族としての容姿ではなく、小族に変化しているが、特徴や名前、ウェルとの関係性から、彼女はすぐにピンときた。


 この人がウェルの主――エリス・グランベル。

 令嬢の中でも、その横暴さは群を抜いているという噂だ。


 「お初目にかかりますわ、エリスさん。わたくしは【リーズ・アクィルス】。不束者ですが、よろしくお願い致しますわ」


 丁寧なあいさつをするリーズ。


 しかし、内心は…。


 (この方がエリス・グランベル。ワガママという枠では収まらないほど、かなり横暴で非道な令嬢としてよく耳にしていましたわ。

それにウェルに対するこの態度…。いくら使用人とはいえあまり失礼ではなくて?)


 「妾がいるからお主はいらんぞ。冒険者になるならソロでも別パーティーでも好きにするがよい」


 「!…エリスお嬢様! 実はそういうわけには…」


 俺が割って入るが、時すでに遅し。


 「あら? 淑女足るもの、あいさつひとつもままらないなんて…あまり良い教育を受けていらっしゃらないのですね」


 リーズが静かに口火を切った――女子バトルの幕開けである。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。


 俺は冷や汗で顔が青ざめた。


 トットット――


 「何してるアルか~?」


 テンちゃんが乱入。何か面白そうなことが起こっていると察し、強引に混ざろうとする。


 「テ! テンちゃん! 今はストーップ!」


 「な! 何アル!?」


 頭の上に大量のクエスチョンマークを浮かべたテンちゃん。

 しかしその間も、火花のような緊張が二人の間に漂う。


 「言うでないか小娘。妾はこれでも中級の回復魔法なら、ほとんど制覇しておるのじゃぞ?」


 エリスお嬢様は最初のころ、俺の魔法を譲渡する魔法『メタフォラ』で初級の回復魔法や防御魔法を使えるようになっていた。

 さらに、ヒーラーとしての役割を果たそうと独学でかなりの量の魔法書を読んだりトレーニングを積んでいる。


 「その程度ですの? わたくしは魔力と霊力を融合させた【魔霊力】を扱えますわ。中級で満足なさっているとは…余程の自信家ですわね?」


 「霊力!?」


 聞き慣れぬ力に、ウェルは目を丸くする。テンちゃんも耳打ちする。


 「霊力って何?」

 「聖女の中でもトップクラスしか扱えない力みたいネ。魔力と融合できるのは、ウェルの【魔導気】みたいなものネ」


 ――聖女トップの力と魔力を組み合わせたオリジナル能力か。

 エリスお嬢様…相手が悪すぎるのでは…? と思うのであったが…。


 「なら、妾とどっちがヒーラーに長けているか勝負するのじゃ!」


 「望むところですわ!」


 二人の手の間から、炎のような気がメラメラと立ち上る。

 女同士の対決――悪役令嬢 VS 聖女。


 果たしてこの戦いの結末は――!?

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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