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615.異世界転生者の過去(2)

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

「あなた、怒鳴りすぎよ……でもこの子、ほんとに駄目ね」


「母さん…!」


「だってそうでしょう? 頭も悪い、運もない、役立たず。

 あの子(妹)の方がよっぽどマシだったわ」


 その言葉が胸を貫いた。


「ごめんなさい……ぼく、頑張るから……」


「嘘ばっかり。どうせすぐ諦めるんでしょ?

 あんたが生まれてから、家の運気が落ちたのよ」


 母は吐き捨てるように言った。

 俺は震える手で床を握りしめる。

 涙を見せたら、もっと叩かれる――それだけは学んでいた。


 その時、小さな声が聞こえた。



「お兄ちゃん……」


 振り向くと、妹の《紗菜》が怯えた顔で立っていた。

 まだ八歳にも満たない、小さな子だ。


「紗菜、来ちゃダメだよ。父さんに見つかったら――」


「だって……お兄ちゃんが、泣いてるから……」


 紗菜がそっと俺の手を握った。

 その温かさだけが、俺を現実につなぎとめてくれる。

 しかし、その光は、やがて闇に飲み込まれた。


______________________


 ある晩。

 父は仕事を失い、家の中に怒りの嵐が吹き荒れていた。


「全部お前らのせいだ! 俺の人生を台無しにしやがって!」


「違う! あんたが無能なだけでしょ!」


 母が叫び返す。


 怒号と怒りの中、俺と紗菜は巻き添えになる。


「お前らさえ! お前らさえいなければ!!!」


 父はそう言いながら包丁を取り出した。


「あ、あんた! 何する気さ!?」


 怯える母の声。


「お前ら全員死ねば!!」


 父は包丁を持って暴れだした。

 グサッ。

 母に包丁が刺さりこの世のものとは思えないほどの絶叫をする。


「紗菜…! 俺が…俺が守らないと…!」


「どけ!!!」


 俺は紗奈を抱えて逃げようとした。しかし、子供が大人から逃げられる訳もなく。


 ゲシッ!


「ぐぁ!!」


 二人揃って父に蹴られて床に転がる。


「お兄ちゃん……助けて……」


 その声を最後に、紗菜の体から力が抜けていった。


「紗菜……? おい、やめろ! 止めろよ!!!」


 俺の声は酒で我を忘れた父には届かなかった。


 グサッ。


「嘘だろ……なんで……」


 嗚咽が漏れた。


「お兄…ちゃん……あ…」


 その声を最後に、紗菜の体から力が抜けていった。


「紗菜……? おい、紗菜! 紗菜! 起きろよ!」


 揺すっても、返事はなかった。

 その小さな身体は、あまりにも軽かった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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