611.この世界を半壊させた怪物
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
その夜。
静寂に包まれた《空の島》の中央で、ルシファーは一人、夜空を仰いでいた。
漆黒の天に、砕けた星々が散る。
その光はまるで、かつて壊れた世界の欠片のようだ。
「さて――アイツらは試練を乗り越えられるか……」
彼の金色の瞳が、遠く地平の先を見据える。
その表情は冷徹でもあり、どこかに優しさが滲んでいた。
「……それにしても、《あの怪物》はどこへ行ったのか?」
低く呟いた瞬間、吹き抜ける風がルシファーの白髪を揺らす。
まるで、その名を呼ばれたことに応じるように――。
あの怪物。
《ラプラスの悪魔》は、ラプラスのDNAと、かつてこの世界を滅ぼしかけた《原初の悪魔》のDNAによって生まれた存在。
ウェルたちに、その話をしたルシファーであったが、彼らは、情報過多で深く考える余裕すらなかった。
「この世界を半壊させた怪物――《原初の悪魔》、またの名を《白銀の悪魔》」
その言葉が、夜空に溶けて消えていく。
星々のまたたきの中、ひとつだけ白く強く光る星が、遠いどこかで瞬いた。
まるでその名に呼応するように――。
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場面は変わる。
ここは《バルトン王国》の外れ、冒険者育成学校の近くにある深い森。
月明かりの差し込む木々の隙間から、突如として奇妙な音が響いた。
「ブェーックショボワホーン!!!」
「いや、どんなクシャミだよ!?」
そこには二人の男がいた。
クシャミをしたのは、ふんわりとした銀髪と黒いネコミミを持つ少年。
左目はエメラルドグリーンのような瞳、右目はサファイヤのような瞳。左右非対称のデザインが妙に目を引く片袖のない黒いパーカー。
下には白いシャツと黒のネクタイ——ストリートの自由さとフォーマルな品格を同居させた、不思議なバランスだ。
パンツにはベルトのような飾りと、切り込みの入った模様。
近未来の街角を歩いていそうなサイバーな雰囲気を放っている。
足元の黒いブーツが全体を引き締め、その姿をまるで完成されたアートのように見せていた。
彼は極悪人専門暗殺ギルド《グリムリペア》に所属するNo.4。
白銀のスナイパー《ユガレイ》。
ツッコミを入れたのは、短めのストレートヘアで、眼鏡をかけており、耳にピアスと胸元に三日月のタトゥー。
黒いジャケットとヒョウ柄のタンクトップを着て、全体にダークな迷彩模様が入っているパンツと、ローファーを履いた猫族。
彼は極悪人専門暗殺ギルド《グリムリペア》に所属するNo.5。
影法師。
「ズビー。いやー誰かがウワサしたんだよきっとー」
軽い調子で鼻をすするユガレイ。
「そんな奇妙なクシャミをするほどのウワサがあるか! 風邪引いたなら今日はもう帰って寝ろ。俺は《ルナ》を待つ」
「ほーい」
ふざけたように返すユガレイ。
偶然か。必然か。
物語の糸が、ゆっくりと再び結ばれようとしていた。
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