610.空の料理
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「本当にリュシエルの両親アルか!?」
テンちゃんが率直に叫ぶ。
「はい、残念ながら……」
リュシエルが肩を落とした。まさか本人が一番残念がるとは。
「ラディソスのバラエティ番組を見た影響で、お二人は筋トレにハマってしまって…」
こんなところでラディソス!?
しかもバラエティ番組!?
俺の中で、さっきまでのラディソスのシリアスな空気がぶち壊れたぞ!?
「はーはっはっはっは!! 我々《空の民》は天使族の血を引いているから《神通力》が使える!」
「ほーほっほっほっほ!! だから身体を変化させることができるので、筋トレしなくてもムキムキになれるのよ!」
「《神通力》!?」
魔力、気力、霊力、呪力。
いろんな力に出会って来たが、神通力なんて初めてだ。
「…なのでお父様とお母様の姿と筋トレは、趣味です」
「はーはっはっはっは!! これからは、筋肉こそパワーだよ、我が娘よ!!」
「ほーほっほっほっほ!! あなたたちも一緒に汗を流しませんこと!?」
「もう! お二人は恥ずかしいので、どこか行ってください! あとお父様は服を着て!!」
リュシエルは真っ赤になって叫んだ。
どこか呆れながらも、その声色には、家族を想う優しさがにじんでいた。
リュシエルもまた、強さと優しさを両方受け継いでいるのだろう。
――その夜は賑やかな夕食の後、それぞれ部屋へと案内された。
俺たちは、空の料理と呼ばれる夕食を囲んでいた。
長い白銀のテーブルの上には、光る皿と宙に浮くグラス。
天井から垂れ下がる星砂のランプが、淡く揺らめき、食卓を幻想的に照らしている。
料理はどれも見たこともないものばかりだった。
蒼く発光する《天空クラゲのカルパッチョ》。
浮遊果のサラダ。
半透明の《風魚の蒸し焼き》は、口に入れた瞬間、ふわりと消えて風の香りを残す。
「……なにこれ、めっちゃうまい」
俺は思わず声を漏らした。
食感は軽いのに、味わいは濃厚。
舌の上に広がる旨味と、微かな雷のような刺激――地上の料理とはまるで違う。
笑いと香りが満ちる食卓。
それはまるで、空の楽園のひとときのようだった。
_______________
「お部屋は皆さま別々にご用意いたしました。どうか今夜はお休みください――明日、ルシファー様の試練が始まります」
静かな夜風がカーテンを揺らす。
遠くの空では、封印の神殿の光が、かすかに瞬いていた。
――まるで次なる試練を、静かに見下ろしているかのように。
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