589.危険度SSランクなんて余裕
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
ギガントタートルの巨体が地面に沈むと、重低音のような振動が周囲を揺らした。
甲羅に刻まれた苔と亀裂から、淡い青白い光が立ち上り、やがて空へ溶けていく。
「やったアル! 危険度SSランク倒したアル!」
テンちゃんが勝ち誇った笑顔で拳を突き上げる。
汗で額の髪が額に貼りつき、戦闘の余韻がまだ残っていた。
前にラビリンスで戦ったエンペラートレントも確かSSランクだった。
あの時よりも余裕がある。
「もう危険度SSランクなんて慣れたもんアルね! まだまだいけるアル!」
少し浮かれ気味の声。
俺は心の中で(…フラグ…?)と思う。
「油断はするつもりはないでござるが…確かに、腕は上がっている実感があるでござるな」
サヤが静かに頷き、腰の刀を納めた。
ギガントタートルが居なくなったので、俺たちは静かに湧き出す、魔力の泉にたどり着く。
水ではない。
光そのものが湧き出しているような輝きだ。
ただ深い湖底のように奥行きがあり、見ていると吸い込まれそうになる。
眺めていると泉の光は徐々に形を変え、中央に円形の魔法陣が浮かび上がる。
精緻な紋様が幾重にも重なり、やがてそれは立体的な光の輪となった。
「これは…転移魔法陣か」
俺は思わず声を漏らす。
すると、テンちゃんが首をかしげる。
「そういえば転移魔法陣と転送魔法陣、何が違うアルか?」
考えてみたら俺も気になる。
学園にあったのは確か転送魔法陣だったよな。
「転送魔法陣は物や人を指定の地点に《飛ばす》だけじゃ。しかし転移魔法陣は、指定の位置に魔法陣があってもなくても移動できる。つまり上位互換ってやつじゃのう」
エリスお嬢様の説明を聞きながら、俺はまたわかったようなフリをして頷く。
サヤが泉を見つめ呟く。
「話を聞いたところによると…この魔力の泉が動力源になっているようでござるな。…泉の魔力が魔法陣を常時稼働させている…なんとも不思議な光景でござる」
確かに、魔法陣は人工だけど、この泉の魔力は常に出ているって話だ。
まるで永久機関…。地球にあったらすごい大発見だな。
俺たちは、転移魔法陣へ一歩踏み出した。
次の瞬間――足元から柔らかい光が立ち上がり、視界が一瞬で白に包まれる。
空気が弾けるような感覚と、耳の奥で響く低音。
身体がふわりと浮く感覚の後――
視界が開けた。
足元から立ち昇る光が視界を白く染め――やがてその白は、果てしなく広がる青へと変わった。
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