583.空に浮かぶ島
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「さて、クレストも助けたことだし、妾はもう去ろうかのう」
森の静寂を切り裂くように、リアがくるりと身を翻す。
先ほどまで異形のツタに捉えられていた飛行船ルシエールは、今は地表に静かに着陸している。
機体を縛っていた植物はすべてリアの手で消滅させた。
「ほっほっほ! 助かった、ありがとう。次は《南のラディソス》の調査かのう?」
飛行船の縁に手をかけながら、クレストがいつもの調子で笑う。
「…まだ調査段階なのじゃ」
リアはそう言い残すと、宙に一歩を踏み出し、次の瞬間にはその姿を消し去った。
――タッタッタ。
遅れて、森を駆ける複数の足音が近づいてくる。
枝をかき分けて現れたのは、ウェルたち一行だった。
「クレストさん! 大丈夫ですか!?」
先頭のウェルが駆け寄る。
その瞳には心底からの安堵と、少しの焦燥が混じっていた。
「ほっほっほ! ウェルくん、ワシはこの通り大丈夫じゃ!」
クレストは豪快に笑いながら胸を張る。
「心配したのじゃ!」
続けてエリスが駆け寄り、心配した表情を浮かべる。
(……そういえばこのエリスという娘、リアと同じ口調じゃのう。調子狂うわい)
クレストは内心で苦笑しながら、優しく微笑み返す。
「心配してくれてありがとのう。だが残念なことに――破損が大きくての、復旧作業に時間がかかりそうなのじゃ」
「ということは……これに乗って帰れないアルか!?」
テンちゃんが仰天して叫ぶ。
「なんと! それは困ったでござる!」
サヤが眉をしかめながら、ルシエールの損傷を見回す。
「ここから私たちの家まで、かなり距離がありますからね」
ココさんが静かに呟いた。
その視線の先には、延々と続く森と山脈が広がっている。
本来、ラビリンスから大教会デウスまでは、馬車で三ヶ月かかる遠路。
それをたった二日で運んだ超高速飛行船ルシエールがあったからこそ、成し得た奇跡の移動だった。
そのルシエールが動かぬ今、俺たちの帰路は完全に途絶えたも同然。
テレポート使ってもきついな。
ザッザッ
「もし……帰りにお困りのようでしたら――《空の島》に行ってみませんか?」
沈黙が流れる中、クラルテさんが後ろからやってきて提案する。
その言葉は、まるで空気に風穴を開けたかのように、場に新たな色をもたらした。
「空の島!?」
この世界に、空の島なんてあるの!?
俺は驚いての声を上げた。
疑念と期待が交差しながら、俺たちは思わず顔を見合わせた。
空に浮かぶ未知の島。
それは伝説か、幻か――それとも、これから自分たちが踏み入れる新たな運命の地か。
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