582.空間女帝
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
大教会デウスから少し離れた森の上。
鉄の塊という不自然なほど異質な存在感を放つ飛行船が、ぽつりと佇んでいた。
飛行船【ルシエール】――
その外殻には、まだ大罪竜【アウァリティア】の残したツタの痕跡がこびりついていた。
しかし、アウァリティアが討たれたことで、周囲を覆っていた異常植物たちが枯れたおかげで、緊急連絡をすることができるようになった。
それにより現れたのは、どこか《人外》の気配を纏った美しい少女。
「……まったく。妾がいなかったら、どうするつもりだったのじゃ?」
その少女は、橙色の髪を夕焼けの炎のように揺らし、頭からは小ぶりで黒く湾曲した二本の角が艶やかに伸びている。
紅く光る瞳には底知れぬ魔力が宿り、見る者に言い知れぬ威圧感を与える。
彼女の身に纏うのは、黒と赤茶の縦縞が交差する奇抜で洗練された衣服。
金のボタンや袖口の刺繍が織りなすディテールには、ただの装飾ではない《誇りと威厳》が漂っていた。
スカートの下から覗く布地にはフリルが揺れ、幾何学模様の描かれたタイツがその細い脚を包み、足元の茶色のパンプスを履いている。
小さな装飾の一つひとつまでが、彼女の《格》を物語っている。
可憐な少女の姿でありながら、その存在は空間そのものを支配しているかのような異様な重みを放っていた。
彼女こそが、グリムリペアNo.2。
空間女帝――リア・スカーレット。
「ほっほっほ。面目ないのう、リア。まさか、お主の魔法を模した《時間停止システム》が、こうもあっさり破られるとは……」
ルシエールの中で話すリアとクレスト。
クレストは申し訳なさそうに頭を下げつつも、どこか愉快そうに笑っていた。
「妾の魔法を《模した》って……」
リアは呆れたようにため息をつき、小さく指を鳴らした。
すると彼女の足元の空間がわずかに揺れ、現実が歪んだような錯覚を生む。
「アレはせいぜい妾の十分の一程度の出力であろう? そもそも、なぜ妾をすぐに呼ばなかったのじゃ?」
クレストは肩をすくめる。
「ほっほっほ、それがのう……大罪竜の《権能》は、魔力を吸い尽くすタイプでな。呼ぼうにも魔力通信が遮断されてしまうのじゃ。だが、ヤツが討たれたおかげで、ようやく植物たちが枯れ、通信ができるようになったのじゃよ」
「……ふむ、なかなか厄介な状況じゃな」
リアは顎に指を添え、瞳を細める。
彼女の瞳が一閃すると、空間が《軋んだ》。
それだけで、周囲の気温が一瞬だけ下がったような錯覚すら覚える。
「妾がいれば、大罪竜ごときに手こずることはなかったというのに――」
その言葉に、クレストが笑いながら応じる。
「ほっほっほ! それを聞いたら、ウェルくんたちが凹んでしまうじゃろうなぁ。あれだけ全員で死に物狂いで戦って、ようやく倒したというのに」
「ウェル……ああ、あの《犬っころ》」
リアがくるりと身体を回して、太陽に照らされた自らのスカートの裾をふわりと舞わせる。
「キュリアが《深淵の闇魔法》を与えた子じゃな。ふむ……危険度SSSランク程度で手こずるようでは、まだまだじゃのう」
その瞳には、《格の違い》を知る者の静かな断絶があった。
ただの実力差ではない――空間そのものを支配する女帝が、上から見下ろすような、冷たくも美しい瞳。
だが――それでもリアは、どこか楽しげだった。
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