552.精霊王と地底王
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「みんな…ただいま!」
空を舞いながら、俺は眼下の仲間たちを見下ろす。悠長な挨拶をしている場合ではないが、どうしても声を届けたかった。
「ウェル殿…!」
「冥界から戻って来れたんですね…!」
「結局…自分でなんとかしたアルな」
サヤ、ココさん、テンちゃん――皆、全身がボロボロだ。だが俺の無事を確かめると安堵で目を潤ませ、笑顔を浮かべる。
ユグドラシルの傍には、エリスお嬢様、アルテナの姿もあり、遠目に見ても彼女たちの疲弊が伝わってくる。
「ウェル…心配させおって…!」
エリスお嬢様の声は震え、こらえきれない涙が頬を伝う。
うぐっ、と俺の胸にも熱いものがこみ上げる。情に脆い男になったものだ。
――ゴゴゴゴゴゴゴ……!
突如として大地が唸り、空気が押し潰されるような衝撃が走る。
ガバッ!
地に伏していた巨大な竜が轟音と共に起き上がった。
「ギャハハハハ!! びっくりしたぜ!!」
黒緑の鱗を震わせ、強欲の大罪竜アウァリティアが不敵に笑いながらこちらを睨む。
「この俺様をぶっ飛ばすとは……やるじゃねぇか!!」
さっき受けた一撃が効いていないのか、竜はぴんぴんしている。レナと精霊融合した【魔導霊気】で叩きつけたはずの攻撃が、まるで効かなかったかのようだ。
その時、ユグドラシルの前で――
「……ウェル・ベルク…生きていたのか…それと久しいな、精霊の王よ」
低く震える声が響き、巨大な剣を振るう精霊王の斬撃が、大地を引き裂く。だが、タルタロスは人間大の体躯でそれを片手で受け止めていた。
「うむ……実に五千年ぶりか…地底の王よ」
精霊王とタルタロスの間には、長い因縁と刃を交わす覚悟が満ちている。
「お、おぉ!? あれは精霊王じゃねぇか!? なんでこんなところに!?」
アウァリティアが動揺した声を上げる。だが、次の瞬間――
「な…ななな…なんで…あんたは…タルタロス…!?」
竜の顔に強張りが走り、さっきまでの豪胆さはかき消される。目に浮かぶのは隠しきれない恐怖だ。
「今さら俺の存在に気づいたか……相変わらず、魔力感知が下手だな」
タルタロスが冷笑を漏らす。
「それより……竜王【ヴァルガント】のとこの小僧が、俺を呼び捨てか?」
その一言がアウァリティアを刺すように突き刺さる。
「い、いえいえ!! タルタロス様…!! そんな滅相もない……!! こ、このことは……ヴァルガント様にはご内密に……!!」
竜は震えながら頭を下げる。かつての豪語は消え、怯えた獣のようだ。
「ふん……ならばこいつらを全員殺せ。特にウェル・ベルクは確実にな。俺は精霊王と決着をつける」
タルタロスは吐き捨てるように命じた。なぜ俺を狙うのか。その素性に何か因縁があるのか――疑問は募る。
「お、お易い御用で……!!」
アウァリティアの命令に、配下の影が動く。戦いの狼煙は、再び高く上がった。
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