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538.冥界とショタワンコ(5)

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 亡者の迷宮――それは冥界に巣食う、彷徨う死者たちの魂が絡みつく恐ろしい迷宮だ。


 どこまでも続く暗闇は深く、静寂は重く、歩を進めるたびに冷気が骨の髄まで染み渡る。


 入口をくぐった瞬間、冷たい風が頬を撫で、空気は鉄と湿気と腐れた香りを混ぜたような匂いに変わった。


 道は迷路のように絡まり、視界の端を常に影がかすめる。

 どこからともなく聞こえてくるのは、亡者たちの断末のうめきと、遠い昔の記憶を反芻するような囁き声だ。


「まるで死者の牢獄みたいだな…」


 俺は小声で呟く。だが、そこに屈する者などいない。むしろ騒がしい野性の活気が彼らを満たしている。


「ああああああおおおんんん!?!? いっちょやるぞおめええええらああああああおおおんんん!!!!」


 シュラムの部下たちが一斉に叫びを上げ、迷宮の静寂をぶち破る。総勢は五十、その声が石壁に跳ね返り、枯れた風のように周囲を震わせる。


 シュラムが冥界を巡って集めた猛者たち。冥界で生き延びるだけの荒くれ者ばかりだ。


 ここで気配を消して潜入など――そんな期待は最初から置いてはいないらしい。


「ひっそり忍び込むとかないんかい!!!」


 シュラムが豪快に笑う。奴らは囮だ。俺とシュラムは先に冥府の城を目指し、残りは前線で殲滅して道を切り開く算段だ。


 総勢五十が亡者の群れへ駆け込むと、そこに立ちはだかったのは、ダクソスの配下――堕落した戦士たち、【フォールン・ウォーリアー】だった。


 かつては栄光を誇った戦士たちも、今は異形と化し、心だけが朽ち、肉体だけが戦場に縛られている。


 錆びた鎧は重く歪み、肉は膨れ上がり、無数の傷が風化した栄光の証のように残る。


 彼らの目には光はなく、ただ命令されたかのように刃を掲げ、前にいる者を無差別に切り裂かんと迫ってくる。


「俺とお前は邪魔なやつだけぶっ倒して進むぞ!!」


「おう!!」


 俺とシュラムは高速で動く。足元から立ち上る瘴気をものともせず、互いの動きを合わせて連携を刻んでいく。


「【冥界波動剣】!!!」


「【冥府の迅剣】!!!」


 刃が光り、波動が重なり合う。霊力を帯びた斬撃が群れを裂き、腐敗した鋼と腐肉の衝突音が辺りに鳴り響いた。


 亡者の兵は、斬撃に弾かれ、地に倒れては朽ちた呪縛に引き戻されていく。


 壊れた石段、崩れ落ちたアーチ、そして永遠に続くかのような通路――迷宮は生き物のように術者を試す。


 だが、俺たちは前へと進む。背後の喧騒が徐々に遠ざかり、前方にただ暗い影と、さらなる試練だけが残された。

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