518.最強のエルフ族VSダークエルフ(5)
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「リョウマは無鉄砲でしてね…SS級冒険者になる前は、いつも血まみれになることなんて何度もあったんですよ」
アルテナは懐かしむように微笑みながら、遠くを見るように言葉を続けた。
リョウマは龍族の冒険者。
その強さゆえに、仲間と歩調を合わせることを嫌い、常に先陣を切って突っ込む性格だった。
血しぶきを浴び、骨が見えるほどの深手を負いながらも笑っていたあの日々。
そのたびにアルテナは呆れながらも治癒の光を彼に向けていた。
「最初こそ記憶の改ざんがあって倒れましたが…もともと死にかけたリョウマを見慣れているんです。このくらいでへこたれていては彼の妻は務まりません!!!」
声には確かな誇りと、微かな震えが混じっていた。
だが、アルテナの瞳だけは澄み切っていた。
どうやら魔術【ディストピア】では、アルテナに絶望を植え付けることはできないらしい。
「…私は【ディストピア】で見た絶望はなんなのか把握できないのだが…リョウマとは誰だ…? はっ!? 今!! 妻って言ったか!?!?」
エリシアは目を見開き、驚愕の声を上げた。
【ディストピア】で見せる幻は、対象者自身の心に根ざした絶望を映すもの。
つまり、エリシアがリョウマという存在を選んで見せたわけではない。
エリシアはリョウマの名を知らなかった。
だからこそ、今の会話で初めてアルテナが既婚者であることを知り、衝撃を受けたのだ。
「えぇ…お腹に子供もいますよ?」
「んな!?!?!?」
エリシアの顔が一瞬で真っ赤になり、怒りとも焦りともつかぬ感情が爆発する。
指先が震え、周囲の魔力が不安定に波打った。
彼女の精神が一瞬で揺さぶられたのが、空気の振動で伝わるほどだった。
「…私は…復讐のために…ここまで這い上がってきたのに…そんなお前は…一族の祝福を受けながら…結婚して…子供もいるなんて…絶対に許さない!!!!!!」
ゴオオオオオオ!!!
エリシアの周囲で闇の炎が一斉に噴き上がる。
焦げた大地が裂け、青白い火花が空気を焼く。
その顔には怒りと嫉妬、そしてかつての親友を失った哀しみが入り混じっていた。
復讐のために生き、力を研ぎ澄ませてきたエリシア。
恋や家庭といった温もりとは無縁の人生。
そんな彼女にとって、アルテナの存在は許しがたいほど眩しかった。
「ふふ…さっきとは違いますね…復讐なんかよりも殺し合いなんかよりも、昔みたいにケンカしませんか?」
アルテナの口元に浮かんだ笑みは、どこか懐かしく優しい。
森の中でも、彼女の声は穏やかに響いた。
「くどい!!! 復讐も!!! 殺し合いも!!! 私が勝つ!!! 死ねぇぇぇぇ!!!! リア充ぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」
エリシアの叫びとともに、大気が震えた。
魔力の奔流が彼女の周囲を渦巻く。
その怒りは、復讐という理性の仮面を脱ぎ捨て、ただの女の嫉妬に変わっていた。
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