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51.名探偵ショタワンコ

第3部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 公爵家当主であるイーニアス・ロッドフォード様の長女、リンジー・ロッドフォード様が、長らく寝込んでいるらしい。


 その様子を確認するため、俺はイーニアス様の屋敷へ足を踏み入れた。


 広大な敷地にそびえる屋敷は、外壁の石材から重厚感が漂い、屋根の赤瓦が光に反射して美しく輝いている。


 門をくぐると、手入れの行き届いた芝生の庭が広がり、噴水の水音が静かに響く。


 屋敷に入ると、廊下には使用人たちが整列しており、一斉に頭を下げた。


「おかえりなさい、旦那様」


 さすが、貴族中のトップ公爵家。使用人の数、振る舞いの規律、すべてが違う。


 リンジー様の部屋に向かう途中、ひとりの若い男性と出会った。


「父上。もう戻られたのですか?」


 高身長、茶髪、整った顔立ち。

 ジョーディ・ロッドフォード――ロッドフォード家の長男で、次期当主だ。


 というか、俺が屋敷に到着する前に頭にイメージしていた“イケメン像”そのものだ。

 こんな偶然があるのかと、少し驚いた。


「あぁ…魔法の力ですぐに帰ることができた」


 実際には馬車で片道分しか進んでいないのだから、当然の反応だ。


「その魔法を使ったのがウェル・ベルクくんだ」


「なんとすごい! この子があのウワサの新人冒険者!」


 どうやら俺は、かなり噂になっているらしい。

 公爵家当主だけでなく、次期当主にまで知られるなんて光栄だ。


「はい、私がウェル・ベルクと言います。お嬢様の容態を確認するために参りました」


「私はジョーディ・ロッドフォード。ロッドフォード家の次期当主で、リンジーの兄です」


 なるほど、これから容態を診るリンジーお嬢様のお兄さんか。

 爽やかな笑顔に、少し緊張しながらも、好印象を抱く。


「それにしても、子どもとは思えないしっかりしたあいさつだな。期待しているぞ!」


 見た目は若いが、中身は“おっさん”的な俺の自覚がある。

 その後、イーニアス様がジョーディ様に事情を説明する。


「なるほど、わかった。妹の部屋に案内しよう」


「ありがとうございます」


 こうして俺、イーニアス様、ジョーディ様の三人はリンジー様の寝室へ向かった。


 廊下の床は磨き上げられ、歩くたびに木材が微かに軋む音を立てる。

 壁には肖像画や盾飾りが並び、歴史ある家系を感じさせる。


 コツコツ…コツコツ…


「この部屋だ」


 ガチャッ。


 扉を開けると、メイドがひとり、ベッド脇で静かにリンジー様を看護していた。


 その隣で眠るのが、リンジー・ロッドフォード。

 長い茶髪を柔らかく枕に広げ、見た目は十五歳ほどの少女だ。


「娘の容態を診てくれ」


 イーニアス様の声に、背筋が伸びる思いだ。


「失礼します」


 俺はそっとリンジーお嬢様の手に触れた。


「【解析】」


 ラーニングの応用――攻撃を受けることで魔法やスキルを習得する固有魔法【ラーニング】。

 本来は攻撃後1分間で習得するが、この解析部分だけを利用することで、対象の状態を集中して捉えることができる。


 リンジーお嬢様の手に触れ、病態の原因に集中する。


 これは…毒か…。


「光魔法【キュア】」


 初級の解毒魔法で、弱い毒なら解除可能。

 リンジーお嬢様の身体が淡い光に包まれ、少しずつ元の状態に戻る。


「…これはダメか…」


 光魔法【キュア】では、彼女の体に潜む“毒”は完全に解けない。


「ラーニング3つ同時発動!

 【トリプルキュア】!!」


 光魔法【キュア】を三回同時発動。上位解毒魔法に匹敵する力だ。


 リンジーお嬢様の身体が再び光に包まれ、元に戻る。


「……ダメか……」


 うーむ…毒ではないのか?

 あるいは、通常の毒よりも強力な力なのか?


「【解析】」


 もっと深く集中する。

 容態を悪化させる原因――黒く、ねっとりした不快な力。


 イーニアス様とジョーディ様は心配そうに見守る。

 俺の手には汗が滲む。

 俺では治せなくても、せめて原因を掴むのだ。


 集中を続けること5分――


 ラーニング習得

 固有魔法【ポイズンカース】


 え? 習得してしまった!?

 解析に集中するだけで、間接的に魔法を習得できるのか……恐るべし、ラーニング!


 固有魔法【ポイズンカース】――自身の魔力を摂取させ、毒状態にする魔法。

 即効性はなく、じわじわと蝕む。術者の意思がなければ解除されない。


 なるほど。厄介な“毒”だ。

 最初に感じた毒は的中していたが、まさか呪いに近い固有魔法だったとは。


 道理で、あらゆる医者や治療師が手を引くわけだ。


 つまり、犯人を特定しなければ、リンジーお嬢様は救えない。


「リンジーお嬢様の容態の原因がわかりました」


「なんと!? すごい!

 今まで頼んだ人たちでは原因すらわからなかったのに」


「本当に君は特別に優秀なんだな」


 驚くイーニアス様とジョーディ様。

 しかし驚きはまだ序章に過ぎない。


「実はリンジーお嬢様は、

 固有魔法【ポイズンカース】――呪いに近い毒の魔法――にかけられています」


「の、呪いだと!?」


「はい。これは病気ではなく、誰かの意図的な行為です」


「……つまり…私の妹を暗殺しようとしているものがいると…?」


「……そうなります…」


 言いにくいが、可能性は非常に高い。

 驚いた様子はない。予測していたのか、ジョーディ様は。


「では、いつからリンジーお嬢様の容態が悪化したのか、

 その時の状況をお聞かせいただけませんか?」


 見た目は子ども、頭脳はおっさん。

 名探偵ウェル、ここに始動――。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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