503.リバースペイン(3)
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「テンテンさん! サヤさん!!」
切羽詰まった声が響く。
森の向こうから駆けてくる二つの影——リーズとココだ。
彼女たちの足元には、血の跡が散らばっていた。
「おぉ~? 増援か~?」
デーモンは鼻で笑いながらも、目を細めて二人を見据える。
その動きは面倒くさそうでありながら、獲物が増えたことを退屈しのぎとでも言わんばかりの余裕を滲ませていた。
「ア…タシ…より…サヤ…を…早く…!!」
テンテンは血に濡れた唇を震わせながら、リーズへと懇願するように言葉を紡ぐ。
その声はかすれ、今にも途切れそうだった。
サヤの体は地に伏し、胸がわずかに上下している。
呼吸のたびに「ヒューヒュー」と苦しげな音が漏れ、肺が損傷しているのが一目でわかる。
「!! すぐに取り掛かりますわ! テンテンさんはこのポーションを先に飲んでくださいまし!」
リーズはポーチから淡く輝く瓶を取り出す。
瓶の中で金色の液体がゆっくりと蠢き、光の精霊【ディア】がその光を受けて姿を現した。
風のように柔らかな光がサヤの身体を包み込み、少しずつその表情に安堵の色が戻っていく。
「おいおいー? 敵を目の前に悠長に回復させると思っているのか~?」
デーモンの声が響く。
ザッ。
「あなたの相手は私がします」
ココがデーモンの前に立ちはだかった。
風に舞う髪が頬をかすめ、剣を握る手に力がこもる。
瞳には、恐れよりも覚悟の色があった。
「…はぁ…はぁ…ダメ…アル…そいつに攻撃したら…ダメージが返ってきて…この有様アル…それだけじゃなく…そいつ自身無傷アル」
テンテンは血を吐きながらも、必死に言葉を絞り出した。
声が掠れながらも、呪いの性質をココとリーズに伝えようとする。
「そ…そんな…」
「…とんでもなく厄介ですね…」
二人の表情が固まる。
呪術【リバースペイン】——それがどれほど理不尽か。
目の前で重傷を負った二人の姿が、その力の証明だった。
「はぁ~お前じゃ無理だろうが…俺に【痛み】を教えてくれるのか? 俺様はラプラスの悪魔・第八級使徒【デーモン】。よろしくな!!」
デーモンは舌なめずりをしながら名を名乗る。
その存在だけで、空気が重く淀む。
「……私では勝てません…その代わり彼の能力を見抜いてください」
ココは一瞬だけ横目でリーズを見る。
その目には静かな意思が宿っていた。
ラプラスの悪魔——その名を冠する存在は、アモスデウス同様、危険度SSSランク以上。
勝てない戦いだと悟りながらも、何か一つでも突破口を見つけようとしていた。
「行きます!!」
ダッ!!
地面を蹴り、ココの身体が矢のように飛ぶ。
ガキン!!
その斬撃を、デーモンは鋭く伸びた爪で受け止める。
火花が散り、空気が震えた。
「良い剣撃だなぁ!! もっと来いよ!!」
デーモンの瞳が愉悦に染まる。
次の瞬間、彼の腕が鞭のようにうねり、爪が嵐のように降り注ぐ。
ズガガガガガガ!!!
岩が砕け、周りの草木が揺れる。
ココは足を滑らせながらも、紙一重でその爪を受け流し、再び斬り返す。
ヒュン!
空を裂く鋭い音。だが、デーモンの体がひらりと揺れて避ける。
激しい攻防が続く中、砂煙と光の粒が入り混じり、戦場はまるで幻のように揺らめいていた。
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