05.終わりと始まり
第一部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
真っ暗だ。
ここはどこだ?
俺は今…。
何をしているんだ?
起きなきゃ…。
早く朝食の支度をしないと…。
エリスお嬢様とココさんに怒られる…。
、
…エリスお嬢様…?
どこにいるのですか?
俺は暗い道を歩き出した。
コツン
足元に何かが当たった。
それは
全身から血を流すエリスお嬢様の亡骸だった。
「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は目覚めた。
「はぁ、はぁ」
朝日が差し込み
夜の時間が終わったのがわかった。
眩しい。
焦点がイマイチ合わない。
夜の戦いで全身消耗したのだろう。
ぼやけた視界がはっきりしてきたら、誰かが俺を覗き込んでいるのがわかった。
「…いきなり大声を出さないでください…」
見慣れた顔だ。
猫耳で長い髪の美人メイドさん。
ココさんの顔が見え…。
いや、大きな2つのおっぱ…ゴホンゴホン!
2つの山で半分以上顔が隠れて見えない!
というか今どういう状況!?
よくよく考えたら後頭部が柔らかい…。
ま
ま
まさか!!!!!
これは!!!!!!!!!!!!
「ひざ枕!!!!!」
ゴス!
「おぶ!?」
「いちいち大声を出さないと気が済まないのですか?」
ココさんから脇腹に良いパンチをもらった後の
このゴミを見るような嫌悪感あふれた視線。
悪くない!!!!!!!
「…は、はは…いつまでもこうしていたいですね」
「気持ち悪いこと言わないで下さい。気持ち悪い」
気持ち悪い二度も言われた!!!
相変わらずの塩対応!!!!!!
...さて、これからどうしたものか。
屋敷は焼失して、エリスお嬢様はいなくなり、グランベル家は潰えてしまった。
そして、俺の身体に宿ったエリスお嬢様の魔法。
どう扱っていこうか…。
「まずは妾の人形を探すのじゃ」
今でもエリスお嬢様の声が聞こえる。
36歳にもなって未練がましいな。
「あらかじめ用意していたその人形は屋敷の地下にあるぞ」
………幻聴っていつまでも続くんだろう……。
「幻聴ではないわ! この覗きスケベひざ枕!!」
………あれ?
………会話してる…?
「………ココさん……信じられないのかもしれませんが……俺………エリスお嬢様の声が聞こえる…」
「あぁ、やっと聞こえたのですか」
知ってたの!?!?
昨日お嬢様の仇を取ってくれって言ってなかった!?
どういうことなの!?!?!?!?!?
「お前の頭の中うるさいわ!!!!!!
少し黙るのじゃ!!!!!」
……はい……。
「これは妾の魔法じゃ。
固有魔法『メタフォラ』でお主に『ラーニング』を譲渡する際に別の固有魔法『ペースト』で妾の魂と『ラーニング』をくっつけたのじゃ」
うん、つまりどゆこと?
「これによってお主に『ラーニング』を譲渡すると妾の魂もお主の身体の中に宿ったのじゃ」
「…と…ということは…!
エリスお嬢様は生きて……!」
「妾があれしきのことでくたばるものか!
しかし、想定していた最悪の手段であったがのう」
「…うぅ…ぐぅ…ぐす…よ…よがっだぁぁ!
いぎでぐれでぇぇぇぇ…」
「泣くでないわ鬱陶しい!
お主の頭の中はウザイから早く妾の人形を探すのじゃ!」
喜びに浸ることなく、女の子に怒られる36歳童貞のおっさんの、心境を一言で表すなら。
悪くない!!!!!!!
エリスお嬢様の指示に従い、焼け崩れたガレキを一つ一つどかしていくと地下への道が現れた。
そこへ降りて暫く進んでいくのだが真っ暗でどんどん先が見えなくなる。
「光魔法『ライト』を使うのじゃ」
光魔法『ライト』。
懐中電灯代わりになる程度のただ光るだけの魔法。
自分中心に光らせたり先まで照らしたりできる。
うん、魔法って超便利!
エリスお嬢様は移動中にアドバイスしてくれる。
地下通路を進んでいくと鉄の扉の目の前にやってきた。
扉の大きさは、だいたい大の男が人一人入れるほどでそれほど大きくはない。
鍵穴があるのだが、鍵は持っているのだろうか?
「下がってください」
へ?
ズババ!!!!
ドゴーン!!!
ココさんが鉄の扉を斬っちゃいました。
ええええええええええええ!?!?!?!?
強引!!!!!!!
「い、良いんですか?」
「もう必要ありませんからね。
斬れ味も試したかったですし」
ココさんが今持っている剣。
暗殺者たちとの戦いで折られてしまったが
新しく代用品として俺が作った。
土魔法『アイアンメイク』ソード。
土魔法で鉄の成分を凝縮させて剣の形にしたもの。
うん、魔法って超便利!(パート2)
この魔法は魔力量や精密度によって大きく変わり、一般魔導士レベルがやると中の下ほど。
しかし、俺が精製すると中の上ほどの性能があるらしい。
…あれ?
エリスお嬢様に譲渡されたのってラーニングだけのはずだよな?
魔力とこの魔法はいつ俺に与えられたんだ!?
「魔法を譲渡する固有魔法『メタフォラ』は魔法のみではないぞ!
『ラーニング』を扱えるレベルの魔力量も与えられるのじゃ!
そうじゃないと譲渡の意味がないではないか!」
この世界では魔法は鍛えれば誰でも使える。
そして魔力量は鍛えれば伸びる。
しかし、一生で伸ばせる魔力量は人それぞれで才能や種族によって異なる。
素質に大きく左右されるので魔法が使えても、誰でも一流の魔導士になれるわけではない。
そして、俺はこの世界では存在しない魔力量0という生物だ。
だから俺に魔力量なしで、魔法をそのまま譲渡されても、魔法が使えるわけではない。
うーん…なるほど…。
しかし、魔法の種類はどういうものなのか?
ラーニングの特性は自身が食らってから習得するもので、ラーニングを習得する前に受けた技も習得するのだが、俺はこんな魔法受けた記憶がないぞ?
「お主が寝ている間にできる限り魔法を浴びせたのじゃ。妾との魔法の的当てもこのためだったのじゃぞ?」
そういうことだったのか!
ラーニングはダメージ量関係なく受けた魔法や技を習得する。
ミスリルスーツで魔法耐性をつけても同じように習得する。
なるほどなぁ。
というより元々こうする予定だったのか?
「寝ているときに土魔法『アイアンメイク』で
お主の首の血管を斬って光魔法『ヒール』で
傷を直したときもあったのう。
あれは一石二鳥で良いアイディアであった!」
「思ったより出血したので慌てましたね」
なるほど。
これで土魔法『アイアンメイク』と、回復の光魔法『ヒール』を習得したのか
そういえば剣で襲われて首を切られて殺される夢を見たな…。
夢じゃなかったのか…。
改めてラーニングという固有魔法は受けなければ習得しないということを認識した。
ある意味、ドMじゃないと、もしかしたら使いこなせないのかも。
そんな話をしながら更に鉄の扉の先に進むと
イスに座っている人形が目の前にあった。
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