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49.新たなるクエスト! 公爵家からの依頼

第3部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 ヒュドラ討伐から一か月。


 俺は休みながら、【気】と【魔】の融合を何度も練習し、ラーニングの見直しやヒュドラから得たスキルの確認を徹底していた。


 なにしろ、節約次第で30年は遊べるお金が溜まったからな。


 しばらくクエストに出る必要はない。

 だから今は、もう危険度Sランクの魔物に苦戦しないため、もっと強くなることに重点を置いた日々を送っていた。


 そして今回のヒュドラ討伐で、エリスお嬢様はA級冒険者に昇格。

 テンちゃんもA級冒険者に昇格。

 俺も正式にA級冒険者+2の認定を受けた。


 エリスお嬢様は、危険度Sランクのオークロード討伐のときに既に実力を認められていたが、素材がなかったため昇格できなかった。

 なので今回は昇格できてご機嫌そのものだ。


 俺が休んでいる間、エリスお嬢様はギルドで「暇つぶしじゃ」と言いながら治療師として働いている。

 じっとしていられないタチのようだ。


 テンちゃんはテンちゃんで「今日もバリバリ働くアル~!」と、危険度Aランクのクエストを一人でこなしている。

 ヒュドラ討伐の悔しさをバネに、武者修行のつもりでソロ活動だ。


 俺の助言を受けて、「無理はしない範囲で」を守っているらしい。

 たまにエリスお嬢様を誘っている様子。

 接近戦のスペシャリストと、防御や治療のスペシャリストのコンビは相性抜群だろう。


 俺はヒュドラ討伐により、ついに無印からA+2(プラスツー)になった。

 あと一段階上がればS級冒険者だ。


 A級冒険者では、貴族レベルの地位はない。

 あくまで世界の認識では「優秀な一冒険者」という立場に過ぎない。


 しかしS級冒険者は世界中で数が限られており、無印からS級に昇格するだけで、伯爵レベルの地位を得られる。

 中にはS級冒険者を引退して貴族になる者もいるほどだ。


 必ずS級冒険者になって、俺たちを暗殺しようとした闇ギルドを倒し、グランベル家を復興する――それがエリスお嬢様への恩返しになる。


 そのためには、危険度Sランクの魔物をソロ討伐しなければならない。

 まずそれをクリアしてから、S級冒険者への試験が待っているらしい。


 危険度Sランクの魔物をソロ討伐――【気】と【魔】の融合がもっと上手くいけば、かなり余裕で倒せるはずだが、なかなか難しい。


 ちなみに、俺は【気】と【魔】を融合させたスキルを【魔導気】と名付けた。

 もっと【魔導気】を使いこなし、俺は強くなる――!


 さて、そろそろ俺もクエストに出るか。

 試したい技もいくつかできるようになったしな。


 ギィィッ…。


 俺は所属するギルド【ルミネス・ゲート】の扉を開いた。


「アニキ! お久しぶりです!」


「アニキ! 体調はどうすか!?」


「アニキ! お嬢と姉御はでかけてまっせ!」


「お、おはよう、みんな」


 無能なおっさんと呼ばれていた俺が、今ではアニキ――。

 いまだに慣れず、少しくすぐったい気分だ。


 ちなみに今ここにはいないが、俺を追放したB級冒険者パーティ――剣士ビリー、拳闘士ユルゲン、魔道士カーリン――は、A級冒険者になるべく猛特訓し、クエストをこなしているらしい。

 成長が楽しみだ。


「さて、俺はどうするかな…」


 掲示板に貼られたクエストを眺める。


 その時、一人の中年男性がギルドに入ってきた。


「…頼む…冒険者の皆様…我が娘を助けてくれ!」


 ん? 誰だ?


「あ、貴方様は!! イーニアス・ロッドフォード様!!!!」


 冒険者たちがざわつく中、ミリアさんが先に話しかけた。


「イーニアス・ロッドフォード様って…まさか公爵家の方!?!?」


 冒険者の一人が声を上げ、ギルド全体が静かになる。

 なんだって!?

 公爵家――貴族の中でもトップクラスだ。

 エリスお嬢様もそこを目指してグランベル家の地位を上げようとしていたのに、そんな人がなぜ冒険者ギルドに!?


「お話を伺いますので、どうぞ待合室へ…。ギルドマスターを呼んできます」


 ミリアさんは驚きつつも冷静に対応する。さすがだ。


「あぁ…すまない…。私としたことが、気が動転していた」


 俺はクエストを受けず、カウンターでジュースを飲みながら様子を見ることにした。

 貴族のトップがギルドに来る――異例中の異例だ。


 しばらくして、ミリアさんが戻り、俺に声をかけた。


「ウェルくん、ちょっといい?」


「…わかりました」


 恐らく、先ほどの公爵家の件だろう。


 そして俺は、イーニアス・ロッドフォード様のいる待合室へ移動した。


 コンコン。


「どうぞ」


「失礼します」


 ノックをして待合室に入ると、返事をしたのはゲルドさんの補佐・クラーラさんだった。


 ガチャッ


 ドアを開けると、クラーラさん、ギルドマスターのゲルドさん、そしてうつむくイーニアスさんがいた。

 よほど深刻な様子だ。


「先ほどはお見苦しいところを見せてしまってすまなかった。

 私はイーニアス・ロッドフォード、公爵家・ロッドフォード家の当主だ」


 公爵家の当主――すごい人と会話しているが、緊張は見せず冷静を保つ。


「いえ、お気遣い感謝します。

 私はウェル・ベルク、冒険者ギルド【ルミネス・ゲート】でA級冒険者をやっている者です。以後お見知り置きを」


 子どもには見えない挨拶だが、相手が公爵家なので礼儀は欠かせない。


「貴殿がウェル・ベルク! 貴殿にクエストを依頼したい!」


 なんと――公爵家がまさかの俺指名!?


 どうなることやら……。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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