489.冥界でさまようショタワンコ
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
冥界。
精霊界の奥深く、生と死の狭間に存在する世界。
ここでは、死んだ者の魂が導かれ、やがて輪廻の輪の一部となって新たな生命として再び生まれると伝えられている。
だが、超科学都市【ラディソス】の最高責任者ラルスは、そんな説を一笑に付す。
「そんなのはデタラメだ。科学的に証明されていない」
彼はそう言って、いつも首を横に振る。
しかし冥界は存在した。
冥界の空は厚い雲に覆われ、紫と深い青が溶け合うように広がっていた。
光源は存在しない。それでも、かすかな光が世界をぼんやりと包み、静寂の中を風のような何かが通り抜けていく。
大地は灰色の砂と黒い岩が果てしなく続き、ところどころで地面がひび割れていた。
木々は枯れ果て、ねじれた幹が空に向かって手を伸ばすように突き立っている。枝には一枚の葉もない。
時折、遠くで囁くような声が響く。姿なき亡霊たちの嘆きなのか、風が奏でる幻聴なのかは分からない。
ただ、この場所が「終わり」であり、そして「始まり」でもあることだけは、確かに感じ取れる。
そんな冥界の奥深くで――
ズドドドドドド!!!
地響きを立てて、ひとりの犬族の少年が走っていた。
「うおおおおおお!!!」
ウェル・ベルク。
彼は肉体と魂を引き離され、魂だけの姿でこの冥界をさまよっている。
それでも、見た目は生前と変わらぬ肉体を持ち、砂煙を蹴り上げながら全力で駆け抜けていた。
ヒュン! ヒュン!
その背後には、黒い玉のような物体がいくつも浮かび、迫ってきた。
まるで生き物のように意思を持つように。
「超級闇魔法【シュヴァルツインフェルノ】!!」
ズドーン!!!
ウェルは振り向きざまに魔法を放った。
漆黒の炎が奔流のように走り、追跡者たちを飲み込む。
しかし――
ヒュン! ヒュン!
「うわああああああ!!! やっぱりダメだ!!!」
黒い玉は、炎に包まれても無傷だった。
燃え滾る魔力の波動の中、彼らは形すら崩さず、彼を追い続ける。
「ここがどこだかわからないけど、なんで俺は襲われてるんだあああ!?!?」
彼にはまだ、自分が冥界にいるという認識がない。
ラプラスに魂を飛ばされた後、気がつけばこの場所にいた。
その後も彼は、黒い玉から逃げ、隠れ、戦い続けていた。
全属性の魔法を放ち、剣を振るい、時には拳で打ち据えることさえした。
だが、何をしても傷ひとつつかない。
「何故か分からないけど腹は減らないし、眠くならないし、魔力も減らないけど…精神的に疲れる!!!!」
息を荒げながらも、ウェルは苦笑した。
半死者となった彼は、冥界では死者と同じ特性を持つようになっている。
肉体的な限界はない。けれど、心だけは確かに擦り切れていった。
……
……
「おいおい…俺を殺したやつが、こんなもんに逃げてんじゃねぇよ」
低く響く声とともに、空気が震えた。
ウェルの目の前に、影のように濃密な闇が形を取り、ひとりの男が姿を現す。
「お…お前は…!?!?」
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