472.大司教クラルテ
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「こちらになります」
エルフ族のノームに案内され、エリスたちは重厚な木製の扉の前に立った。
扉には精緻な魔紋が彫られ、微かに光を放っている。
その向こうに、大教会デウスの最高権力者が待っているのだ。
ギィィ…。
扉が軋む音に、エリスたちは思わず息を呑む。
改めて背筋を伸ばし、気を引き締め、ゆっくりと扉を押し開け中に入った。
そこは広大な大聖堂で、天井は高く、光がステンドグラスを通して差し込み、床の大理石に虹色の光の模様を描いている。
周囲には柔らかい香が漂い、祈りの静けさと神聖さが空間を包んでいた。
中央には四人のエルフ族が立ち、整列していた。
一番奥には二つの石像が鎮座し、その間に年齢が最も高そうなエルフ族が静かに立っている。
恐らく、この人物が大司教であり、この場を統べる者なのだろう。
「お待ちしておりました」
大司教の声が大聖堂に響き渡る。
音の一つ一つに威厳が宿り、自然と視線が彼に集まる。
コツ…コツ…
その歩みは穏やかでありながらも、空間に重みを与えていた。
大司教はゆっくりとエリスたちに近づく。
「私は大教会デウスの大司教【クラルテ】と申します。以後、お見知り置きを」
フード付きの白いローブをまとい、年齢は70歳ほどに見えるエルフ族。
彼が大司教であり、同時にエルフ族を束ねる族長でもあることが、一目で分かる威厳が漂っていた。
「…久しぶりじゃのう…クラルテ」
思わぬ声に、エリスが口を開いた。
「え!?」
予想だにしない再会に、全員が驚きを隠せない。
「…もしかして…エリスさん…ですか…? ずいぶん小さくなりましたね…」
「まぁ…いろいろあったのじゃ」
どうやらエリスとクラルテには、昔からの縁があるらしい。
「どういうことでしょうか…お嬢様」
最も傍にいるココでさえ、事情を知らない様子だ。
「ココと知り合う前にクラルテと出会ったのじゃ」
エリスによれば、ラーニングの武者修行で森をさまよっていた際に出会ったという。
その時に意気投合し、光魔法【リメイクライフ】をはじめ、多くの魔法を習得したそうだ。
エリスは異世界転生者で、当時すでに固有魔法【ラーニング】を持っていた。
時は流れ、同じく異世界転生者であるウェルと出会った際、ラーニングを譲渡したのだった。
「当時、私も武者修行の旅をしたことがありまして…その時にエリスさんと出会いました」
クラルテもまた、己を磨くための旅をしていたようだ。
「まさか光魔法【リメイクライフ】をいとも簡単に習得なさるなんて驚きました」
「なんですって!?」
年齢は17歳ほどで短髪。
大教会本部守護精霊の中で最も若い水の【ウェンディーネ】が声を上げた。
光魔法【リメイクライフ】。
死ぬ直前に自身にかけることで、死後数分だけ生き返る上級光魔法。
命を操る魔法だけに、習得難易度は極めて高い。
それを簡単に習得したというクラルテの言葉に、ウェンディーネは驚きを隠せないでいた。
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