465.極悪人専門暗殺ギルド
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
サヤの問いかけに、ドナーの肩がピクリと跳ねた。
「が…がっはっは! な、なんのことだ? 俺はグリムリペアとは言ってねぇ! き、聞き間違いだ!」
笑いながらも目は泳ぎ、額には玉のような汗が浮かんでいた。
強気な口調のわりに、挙動はどう見ても不自然だ。目線を逸らすその仕草が、嘘の下手さを物語っている。
「…聞き間違い…? 怪しいでござるな」
サヤの鋭い視線が突き刺さる。
それもそのはず、誰が見ても怪しすぎる反応だった。
「…ふぉっふぉっふぉ…聞き間違いじゃよ…こんなところに三大闇ギルドの一角がおったら大変じゃわい」
ヴィヴィアンが慌てて間に入り、場をなだめるように笑った。
その声には、なんとか誤魔化そうとする必死さがにじんでいた。
「そ…そうとも! 俺はグリムリペアではなく、【グリムリーパー】と言ったんだ! 似てる名前だが全然違うぜ!」
苦し紛れの言い訳に、ヴィヴィアンは眉をひそめた。
その場の空気が痛いほど冷え込む。
「そ、そうでござったか…拙者の聞き間違いに、無礼を働いたことを詫びるでござる!」
サヤは深く頭を下げた。
どうやら、ドナーの下手な嘘を本気で信じたようだ。
その様子を見て、ヴィヴィアンは胸を撫で下ろす。
ドナーの額を伝っていた汗が、ようやく一筋、顎先から落ちた。
「しかし…どのみち闇ギルド…あまり一緒にいるのは好ましくないでござるな…」
サヤの言葉に、空気がまた重く沈む。
闇ギルドとは、彼女が幾度となく戦ってきた相手。
敵対関係であることに変わりはなく、馴れ合う気などさらさら無いようだ。
「ふぉっふぉっふぉ! 闇ギルドと言ってもいろいろおるからのぉ…この者たちは【極悪人専門暗殺ギルド】なのじゃ!」
ヴィヴィアンの言葉に、場の空気がわずかに動いた。
サヤの瞳が揺れ、ドナーが無言で腕を組む。
極悪人専門暗殺ギルド――。
それは、罪を逃れた悪人や社会の害を成す者だけを標的にする暗殺者集団。
グリムリペアは、法で裁けぬ悪を裏から裁くことを使命としている。
闇に生きる者たちでありながら、その存在は「影の正義」として裏社会に知られていた。
彼らは【解放軍】と手を組み、世界の均衡を保つために暗躍している。
構成員はわずか十人。どの一人を取っても、暗殺・潜入・情報収集のすべてに長けた精鋭。
依頼者の要望に応じ、秘密裏に任務を遂行する――それが彼らの生き方だ。
法律に縛られず、己の正義と秩序に従って動く。
最近では、【ブルガンリルム王国】とも正式に協力関係を結び、迫りくる【帝国ヴェルト】の脅威に備え始めている。
外の雨音が、宿の窓を打つように強くなった。
ヴィヴィアンは静かに外を見やり、老いた声で呟く。
「綺麗事だけでは王はやってられんのじゃよ。もちろん民を苦しめる存在なら容赦はせぬがのう!」
その言葉には、長年この世界を見続けてきた者だけが持つ重みがあった。
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