461.ウェルは死んだのか…?
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
ラビリンスが壊滅してから三日後。
あの地を覆った惨劇は、まるで世界の終わりのようだった。
街の中心には焦げた大地と崩れた建物だけが残り、風が吹くたびに灰が宙を舞う。
雨に濡れた瓦礫が冷たく光り、そこに人の気配はもうなかった。
ラプラスの力によって、セシリアを含めたラビリンスの住民は一人残らず命を落とした。
あの【死】から逃れられたのは、グリムリペアNo.3――【ドナー・ボルト】が雷の結界で守った冒険者たちだけだった。
ただし、たった一人の少年を除いて。
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三日前。
ウェルはラプラスの【死】に心臓を貫かれ、その場でピクリとも動かなくなった。
空気が凍りつく。周囲の冒険者たちは息を呑み、地に倒れたウェルを囲む。
「ウェル!!」
叫びが響く。
雨の匂いを含んだ風が、焦げた地面を吹き抜けた。
「ウェル先生の身体が…どんどん冷たくなってる…!!」
最初に駆け寄ったイザベラが、震える手でウェルの頬に触れた。
その温もりが消えかけているのを感じ、顔が絶望に染まる。
「呼吸もしてないアル!」
「ウェル殿!! しっかりするでござる!」
「お願い! 目を開けてくださいませ!!」
テンテン、サヤ、リーズが口々に叫ぶ。
誰も涙をこらえられなかった。
「ウェル!! ウェル!!!!」
エリスの声が雨雲のような重い空気を震わせる。
彼女の肩は濡れた地面に崩れ落ち、両手でウェルの腕を掴んだ。
「すまねぇ…俺がついていながら…」
ドナーは拳を握りしめ、唇を噛む。
雷の痕がまだ残る手が震えていた。
「……あなたは悪くありません…あなたがいなければ誰も助かりませんでした…」
ココは静かに首を振った。
誰もドナーを責めることなどできなかった。
彼がいなければ、アモスデウスの襲撃の時点で全員が死んでいたのだから。
空が唸る。
ゴロゴロゴロ…
雷鳴が遠くで響いた直後、ぽつりと冷たい雫が頬を打つ。
ポツポツ…
すぐに雨脚は強くなり、やがてラビリンス全域を覆い尽くした。
ザァァァァ…!
打ちつける雨は、まるでウェルの死を悼む涙のようだった。
それは、守れなかった悔しさと無念を、天が共に嘆いているようでもあった。
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そして現在。
静まり返った宿屋には、重たい湿気と沈黙が漂っていた。
外ではまだ小雨が降り続き、屋根を叩く水音だけが響く。
かつての喧騒が嘘のように、部屋の中は冷たい空気に包まれていた。
冒険者たちは疲れ果て、無言で椅子に腰を下ろしている。
セシリアの執事ハルバートは、主の亡骸のそばに座り込み、動かぬ手を握ったまま微動だにしない。
その瞳には、生きる意味を失ったような虚無があった。
宿屋の一室――そこには、ベッドに横たわるウェルの姿があった。
血の気を失った顔。まるで静かに眠っているかのようだが、胸の上下はない。
傍らではエリスが椅子に腰掛け、じっと見守っていた。
ガチャ。
「ウェルはまだお目覚めになりませんか?」
扉を開けて入ってきたのはリーズだった。
湿った外気が部屋に入り込み、わずかにランプの炎を揺らす。
「…まだじゃ…」
エリスはかすれた声で答えた。
彼女の目の下には濃い隈ができている。眠れていないのは明らかだった。
どうしてもウェルの死を受け入れられない――いや、受け入れたくない。
その想いはエリスだけでなく、この場にいる全員の胸にあった。
ガチャ。
「ふぉっふぉっふぉ…少し良いかな?」
扉の隙間から柔らかな声が響く。
現れたのは魔導士にして国王、ヴィヴィアンだった。
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