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461/620

461.ウェルは死んだのか…?

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 ラビリンスが壊滅してから三日後。


 あの地を覆った惨劇は、まるで世界の終わりのようだった。

 街の中心には焦げた大地と崩れた建物だけが残り、風が吹くたびに灰が宙を舞う。

 雨に濡れた瓦礫が冷たく光り、そこに人の気配はもうなかった。


 ラプラスの力によって、セシリアを含めたラビリンスの住民は一人残らず命を落とした。

 あの【死】から逃れられたのは、グリムリペアNo.3――【ドナー・ボルト】が雷の結界で守った冒険者たちだけだった。


 ただし、たった一人の少年を除いて。


___________________


 三日前。


 ウェルはラプラスの【死】に心臓を貫かれ、その場でピクリとも動かなくなった。

 空気が凍りつく。周囲の冒険者たちは息を呑み、地に倒れたウェルを囲む。


「ウェル!!」


 叫びが響く。

 雨の匂いを含んだ風が、焦げた地面を吹き抜けた。


「ウェル先生の身体が…どんどん冷たくなってる…!!」


 最初に駆け寄ったイザベラが、震える手でウェルの頬に触れた。

 その温もりが消えかけているのを感じ、顔が絶望に染まる。


「呼吸もしてないアル!」


「ウェル殿!! しっかりするでござる!」


「お願い! 目を開けてくださいませ!!」


 テンテン、サヤ、リーズが口々に叫ぶ。

 誰も涙をこらえられなかった。


「ウェル!! ウェル!!!!」


 エリスの声が雨雲のような重い空気を震わせる。

 彼女の肩は濡れた地面に崩れ落ち、両手でウェルの腕を掴んだ。


「すまねぇ…俺がついていながら…」


 ドナーは拳を握りしめ、唇を噛む。

 雷の痕がまだ残る手が震えていた。


「……あなたは悪くありません…あなたがいなければ誰も助かりませんでした…」


 ココは静かに首を振った。

 誰もドナーを責めることなどできなかった。

 彼がいなければ、アモスデウスの襲撃の時点で全員が死んでいたのだから。


 空が唸る。


 ゴロゴロゴロ…


 雷鳴が遠くで響いた直後、ぽつりと冷たい雫が頬を打つ。


 ポツポツ…


 すぐに雨脚は強くなり、やがてラビリンス全域を覆い尽くした。


 ザァァァァ…!


 打ちつける雨は、まるでウェルの死を悼む涙のようだった。

 それは、守れなかった悔しさと無念を、天が共に嘆いているようでもあった。


___________________


 そして現在。


 静まり返った宿屋には、重たい湿気と沈黙が漂っていた。

 外ではまだ小雨が降り続き、屋根を叩く水音だけが響く。


 かつての喧騒が嘘のように、部屋の中は冷たい空気に包まれていた。

 冒険者たちは疲れ果て、無言で椅子に腰を下ろしている。


 セシリアの執事ハルバートは、主の亡骸のそばに座り込み、動かぬ手を握ったまま微動だにしない。

 その瞳には、生きる意味を失ったような虚無があった。


 宿屋の一室――そこには、ベッドに横たわるウェルの姿があった。

 血の気を失った顔。まるで静かに眠っているかのようだが、胸の上下はない。

 傍らではエリスが椅子に腰掛け、じっと見守っていた。


 ガチャ。


「ウェルはまだお目覚めになりませんか?」


 扉を開けて入ってきたのはリーズだった。

 湿った外気が部屋に入り込み、わずかにランプの炎を揺らす。


「…まだじゃ…」


 エリスはかすれた声で答えた。

 彼女の目の下には濃い隈ができている。眠れていないのは明らかだった。


 どうしてもウェルの死を受け入れられない――いや、受け入れたくない。

 その想いはエリスだけでなく、この場にいる全員の胸にあった。


 ガチャ。


「ふぉっふぉっふぉ…少し良いかな?」


 扉の隙間から柔らかな声が響く。

 現れたのは魔導士にして国王、ヴィヴィアンだった。

「面白かった!」


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